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【ボーイ戦術書】No.31 「ボーイ的確定申告マニュアル Vol.4 経費の話-後編-」

経費になるか考えている時が
段々楽しくなってくる……ならない?

 前編では交通費・消耗品費などのベーシックな経費を取り扱った。後編ではいよいよルックス商売らしさ全開の経費が登場する。早速本題へ入ろう。

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 ちなみにここからはやよいの青色申告には登録されていないオリジナルの勘定科目を使用する。あらかじめ作っておこう。

https://support.yayoi-kk.co.jp/subcontents.html?page_id=26674

 管理しやすいように、追加するにしても数は少なめに。自分の中で科目の定義はちゃんと決めておこう。

衣装代

 自腹で準備することはなかなか無いと思うが、コスプレ用衣装・コスプレ用ウィッグなど、明らかに普段使いしないような衣服代を計上。他にはほぼ仕事でしか使わないようなエロ下着なども計上できると思う。

 指名で映える、ちょっとオシャレな下着程度なら使用率に合わせて「按分」すると良い。勤務中以外ほぼ穿かないのなら9割~全額でも良いのではないかと思う。

入力例1
10000円のコスプレ用衣装購入 事業10割
科目:衣装代
取引手段:自分が使った方法
摘要:何に使ったか
取引先:買った店
金額:10000円

入力例2
5000円の下着セット 事業割合8割
科目:衣装代
取引手段:自分が使った方法
摘要:何に使ったか、元値と按分割合を記載するとよい
取引先:買った店
金額:4000円

 他にも指名用や宣材写真用に普通の服を用意することがあるかもしれない。これも計上できるかと言われると微妙なライン。パンツはともかく普通の服は按分2割行けば良い方なのではないかと思われる。ホストやゲイバーなど、着衣で接客するタイプの仕事ならもっと高い割合で計上できるのではないかと思うが……。

 当然「じゃあパンツもダメじゃね?」という話になるので事業用パンツはしっかり管理しよう。それか全部30%計上とかにしてしまえば良い。

 アクセサリーの類はコスプレ用でもない限り通らない。おそらくただの贅沢品判定になる。


ルックス維持・向上費(仮称)

 名称は何かそれっぽいのを自分で考えてください。ここがかなり一般職と差別化できる部分であり、腕の見せ所。一般的な職業で容姿に関わるものは計上不可。一般職で容姿と業務が関係するかと言われると、ない(……という事にしておかないと色々問題なのだろう)。良い方が色々楽なのは皆さん重々承知だとは思うが、それを国として言う事はまずできないだろう。

 給与収入者の場合は給与所得控除あるんだからそれで我慢して、という感じか。自営業で容姿が収入に直結するのなら、こうやって経費に計上してみろという事なのではないかと思われる。

 ウリセンボーイはルックスが収入に直結するため、ルックスへの投資が事業に関係無いとは流石に言えまい。個人的に行けると思っているレベルのものを紹介(実際にOKかどうかは別)しよう。


化粧品代

 前編で消耗品費に含めるかどうか迷ったのは、こちらに入れた方がスッキリするからという話。見た目に気を遣う若年層男性は普通にうっすらファンデとメイクくらいはしているので段々計上する意義が薄れてきてしまったが、「ルックスが収入に直結する」のワードでなんとか突破できると思う。女装系なら問題なく計上可能だろう。

入力例
アイブロウ代
科目:容姿向上費
取引手段:自分が使った方法
摘要:化粧品代 アイブロウ など
取引先:買ったところ

 なんとなくアイブロウにしたが、化粧水や乳液だと説得力に欠けると思ったから。さすがに生活用の香りが強すぎる。一応計上できないわけではないと思うが按分割合はおまかせ。安価なものならともかく、ブランド物の化粧品など高いものを使っているならさすがに按分必須かと思われる。

 ハイブラコスメで書いた眉と、1000円くらいのコスメで書いた眉で指名に差が出ると立証できるのなら全額計上できるのかもしれないが……できますか?


ジム代

 筋肉が売れるゲイ業界ならではかもしれない。体型のキープおよび筋肉増強のためにジムに通っているのなら経費計上しても問題ないのではないかと思う。

 按分はおまかせ。俺は週5出勤で週4~5回ジムに通っている。ジムで運動してからの方がパンプアップしていてお客さん受けも良い。ジムでのトレーニングも仕事と自信を持って言えるので全額経費でも問題ないかと思っている。ただしそれなりに説得力のある体つきをしていないと万が一調査等で突っ込まれた時に疑われると思うので、ちゃんと通って結果を出そう。

入力例
ジムの会費 全額事業計上
科目:容姿向上費
取引手段:自分が使った方法
摘要:ジム会費 按分の場合元値と割合記載
取引先:ジムの名前か運営会社
金額:○○円

 ジム会費はほとんどクレジットカード払いか口座直接引き落としだと思われる。事業用に登録した口座から引き落とされるのなら、やよい青色申告の「スマート取引」を使えば記帳忘れもなくせて楽。


プロテイン代

 ジム代と同様の理由。プロテインは食品ではあるものの、タンパク質補給を目的に作られておりボディメイク目的での使用が明確。売れるためのルックス維持に直結する経費としては一応の説明が付くと思う。按分割合は自信があれば全額計上で。

 「プロテインを食事代わりにしているんだけど、どうしたらいいの?」という人はご自分で考えてほしい。自分がやりたいように計上してみては。

 入力例はこんな感じ。

プロテイン代 全額事業計上
科目:容姿向上費
取引手段:自分が使った方法
摘要:プロテイン 按分の場合元値と割合記載
取引先:買った店
金額:○○円

 プロテイン以外のサプリメント代は計上しない方が良いと思われる。ただの贅沢品判定されかねない。「それホントに効果ありますかね?」と言われて科学的根拠まで示せるのなら、止めはしない。


トレーニング用品

 トレーニングウェアなどに使用。常識的な値段であれば普通に計上可能と思われる。按分割合はお任せ。1着何万円もするようなトレーニングウェアでジムに通うような人は中々いないと思うが、高いものほど按分割合低めな方が何かと安全。

 いくらルックス商売とはいえ、収入に対してルックス経費の割合が高すぎると「ただの贅沢を経費に入れてるのでは?」と疑われるどころか「収支がおかしいので他に資金源があるのでは?」などとあらぬトラブルを呼ぶ可能性もある。せっかくの経費計上に合理性が無くなる上に無用な隙を作ってしまうので、やりすぎは禁物。

 入力例はプロテインとほぼ同様のため省略。俺はトレーニング用手袋や腹筋ローラー、プッシュアップバー、ヨガマットなどもアリだと思っている(特に、通っているジムに無い器具の場合計上しやすい)手袋は「お客さんの肌に触れる手が荒れないように」とか、「マッサージをするので」など、事業との関連性をしっかり述べられれば問題ないだろう。


美容院代

 ルックス商売において髪型は命。この辺りは身だしなみという事で一般職でも整えるとは思うのだが、ボーイ業の場合収入に直結するので計上可能だろう。按分割合はおまかせ。出勤が多いなら全額計上でも行けなくはないのではないかと思われる。

 いくら髪型が大事とはいえ、こちらも限度があるのはお忘れなく。計上できるのはせいぜい1ヶ月2回くらいまでか。まず無いとは思うが、毎日のように専属でセットを依頼しているようなレベルまで行けば異常な頻度でも計上可能と思われる。

 入力例は省略。基本はジム代等と同じで摘要と取引先を弄ればOK。


脱毛代

 プライベート案件と判定されやすいため、それなりのテクニックが必要。最も大事なテクニックは脱毛後の見た目。テクニックではないと思うかもしれないが、「毛が薄い方がキャラとして成立するようなタイプであること」こそ最も説得力が高い。特に女装系は最強の説得力。ただしいくら説得力があろうと出勤日数や時間が少なければ意味は無い。

 そして高額な脱毛サロンを使う場合は低めの按分割合と納得できる説明が必要。たとえば年間で30万かかったなら3割くらいまでにしておくとか。

 入力例は美容院代などと同様の為省略。

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 だいたいこんなものだろう。他にも自信があれば経費計上してみるといい。目安は「ただの贅沢、ただのプライベート用と判定されないもの」だ。値段が高いものほどその判定をもらいやすいと考えてほしい。

 おそらく気になっていると思うが、整形代はまず無理。ボーイ業が本業で毎日フル出勤、かつ一生ルックス商売を続けるつもりでもないと按分すらアウトと思われる。どれだけ説明しようと、プライベート目的と判定されるだろう。ボトックス注射等の切り貼りしない美容処置的なアレらもほぼ確実にアウト。按分すら許されないと思われる。

 あとはエステティックサロン等もかなり厳しいだろう。高いプライベート性、ただの贅沢(というか、明らかに必要なさそう)だと判定されるのが主な理由。化粧品代やジム代などを経費計上しているのなら尚更だ。そして、脱毛や美容院と違ってエステの効果は正直わかりづらい。「エステまで行く必要ありますかね?」と言われて納得の行く答えは出せるだろうか。

 お客さんの経営するエステなら無理矢理接待交際費に計上する事も出来なくはないだろうが……まぁやってみればいい。


 経費計上はあくまでテクニックの1つ。無理矢理計上しても「コイツ経費多すぎじゃね?」と変に目をつけられる可能性が高まるのでオススメできない。今回紹介したものはプライベート性も高いので尚更だ。

 ボーイ業の確定申告はルックス関連費用にどれだけ納得の行く説明をつけつつ計上できるかで相当な差が出る。一般職でも役立つ税控除等の話はまた今度。

紹介した経費計上テクニックは
用法用量を守り、計画的にお使いください。

市場調査とかやってみたいですね。