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ワンカップを愛する娘、逃亡する

東京の学校は5/31(日)まで休校が延長になったそうです。
我が家には小学生の子どもが二人います。下の子は1年生女子。21番染色体が3本あるダウン症をもって生まれてきました。

明るくお調子者で可愛がられるタイプの彼女。入学式の次の日から休校になってしまいましたが、休校の意味を理解できません。「がっこう、いきま~す!」とまるで「アムロ、行きます!」とばかりに毎日ランドセルを背負いながら言っていました。その度に学校は休みであることを説明し、ランドセルを降ろすよう伝えるのですが、「なに~?なに~?」と全く理解しないまま、次の日には「がっこう、いきま~す!」と張り切っていました。

そんな生活も1週間すると、「がっこう」の「が」の字も出なくなりました。やばい、学校の存在を忘れてしまう!と危機を感じた私は、ママ友から教えてもらった「学校チャイム」というアプリをダウンロードし、毎日チャイムを流しては「きをつけ、礼」と挨拶を強要しておりました。

自粛生活で、たまに庭に出るくらいでほとんど外に全く出ないままさらに1週間。久し振りにパパと兄と庭に出て遊んでいたのですが、久し振りの青空の下で解放感に満ち溢れたのでしょうか。

パパが目を離したすきに家の門を開け、外の世界へ逃亡しました。

パパが家に駆けこんできて「〇〇がいなくなった!」と叫ぶとまた飛び出していきました。私も慌ててスマホを持ち、息子に留守番を頼み捜索に出ます。
彼女の行動範囲は限られています。歩いていく場所は、学校、学童、公園くらい。学校は門が閉まっていて、周りにはいない。学童にもいない。大好きなブランコと滑り台がある公園にもいない。やばい。やばいよ。とうとうやらかしたよ。とうとうこの日が来たよ。警察にお世話になる日が・・・。

いつか、こんな日が来るかもしれないと覚悟はしていました。好奇心旺盛の彼女が行方不明になってしまうことがあるかもしれないと。でもまさか、ジャムおじさんを目指すパパの隙をつくとは思わなかった。いつも「パパ~、ねぇパパ~」と甘えて掌の上で転がしているパパを置いていくなんて。

警察に電話する前にもう一度落ち着いて考えてみました。彼女が好きなもの、行ったことがあるところ。どこだ、どこだ。
そうだ、いつも公園へ行った帰りや病院で頑張ったあとにコンビニへ行く。ご褒美のコンビニ。まさかとは思うけど、念のため行ってみよう。

きょろきょろしながら自転車をこぎ、馴染みのセブンイレブンへ行き、自動ドアを開けると。

いました。かわいいワンピースを着て、キョトンとした顔でたくさんの大人に囲まれている娘が。

「○○~!」と思わず名前を叫びながら駆け寄ると、馴染みの店長さんや店員さん、初対面のお客様が「あ~良かった良かった」と笑顔を向けてくださり。
ありがたいやら申し訳ないやらで、ひたすら謝り倒すママでした。

伺ったところ、一人でやってきて「できる~」と言いながらカゴにポンポン商品を入れていたと。店員さんが声をかけると「パパが来るから」っぽいことを言っていたとのことでした(そこまで話せないので店員さんが解釈してくださったのだと思います)。

レジで商品が山盛り入ったカゴを預かってくださっていて、「どうしますか?」と聞かれたので「全部いただきます!本当にありがとうございます!」と言うと、
「でも、これはいらないですかね?」とカゴから取り出して見せてくださったのが、ワンカップの日本酒。しかも2本。
娘よ、どうしてこれをチョイスしたんだい?しかも2本。
店員さんがとても気を使ってくださり、ワンカップは辞退させていただいて、他の商品を購入させていただきました。全部で3000円近かった。お財布が痛い。

娘に一人で外に出てはいけないことを言い聞かせると大泣きしていましたが、家に帰ったら自分で選んだポテトチップスを美味しそうにほおばっていました。ちょっと憎たらしい。

今回は本当に反省しました。家の敷地内でも油断してはいけません。昨日できなかったことが今日はできるようになっている。もう門を一人で開けられるようになったんだ。危険です。危ないです。ほんとに無事で良かった。

そして、彼女がこの町で生活していくうえで、地域の皆さんのサポートがこんなにもありがたいんだということも実感しました。

早速、BoTというGPSを購入しました。とりあえず、いなくなってもどこにいるかすぐにわかるように。かわいいポシェットに入れ、常に持たせています。できることは何でもやっておかないと。でも、このGPSをどこかでポイっとされたらおしまいなんですけどね。

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