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詩誌「三」71号掲載【夏の終わりの雨は】正村直子
夏の終わりの雨は
ずいぶん長い
テーブルの上には
しっけたクッキーと
一週間前の新聞
そしてこもった咳がひとつ
この夏 風邪をこじらせて
肺炎をわずらった父は
いっそう小さくなった
はす向かいで
骨のういた喉を上下させて
おいしそうに
コップ一杯のビールを飲む
ダイニングだけ灯したあかり
エアコンからは
ほこりをひっかけた音がする
この雨がやんだら
夏は終わってしまう
きっと終わってしまう
ぼつぼつぼつと
大粒の雫が窓をつたっていった
2023年9月 三71号 正村直子 作
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