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詩誌「三」68号掲載【暖かくなれば】正村直子

二十七時の授乳時間
ちいさな灯りの中で
毛布にくるまれた子を抱きながら
暖かくなれば、と思ったりする
哺乳瓶をくわえて
握りしめていた手が柔らかく開くとき
私なしでは生きられないいのちの前で
私は次の季節を待ってばかりいる
ああ、暖かくなれば・・・

スイッチをいれた暖房が動き出すまでのわずかな静寂
ミルクをチクチク飲む音だけを聴いている

2022年12月 三68号 正村直子 作


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