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「アフリカをリードする”サムライ”へ」サムライインキュベート代表榊原が目指すアフリカ投資とは?

※この記事はSamurai Incubateが管理するMediumで配信したものをバックナンバーとして転載しております

「アフリカへのインキュベーションは、地球へのインキュベーションであるー。」そう語るのは、サムライインキュベート代表の榊原。

今回は今までアフリカで投資活動をしてきた中で感じたことや、これからどのような役割を現地で担っていこうと考えているのか、アフリカ現地のリアルな情報と併せて語ってもらいました。

プロフィール

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榊原健太郎 / Kentaro Sakakibara
創業者 代表取締役社長
1974年愛知県出身。関西大学卒業後、1997年医療機器メーカーに入社し営業を経験。その後、インピリック電通(現 電通ダイレクトマーケティング)にてダイレクトマーケティング戦略を経験し、アクシブドットコム(現 VOYAGE GROUP)の創業期に営業本部の立ち上げやアライアンス戦略などに従事。
2008年に株式会社サムライインキュベートを設立。同社代表取締役。現在、国内外の創業期スタートアップ累計170社以上への出資・インキュベーションを行う。

アフリカの起業家の特徴

— これまでアフリカを訪問をする中で、イスラエル、日本など他国の起業家も見てきた経験も踏まえて感じている、アフリカの起業家の特徴などはありますか?

起業家のパッションはどの国も同じなのですが、一番大きな違いは国を背負っている志の高さですね。
先日ケニアで開催したイベントは、ナイジェリア、モロッコ、カメルーン、ケニア、タンザニア、セネガルの6カ国からスタートアップが来てくれたのですが、最終プレゼンで自国の民族衣装を身に纏いプレゼンを行う起業家もいて、まさに”国を代表しているのだという意気込みや雰囲気を感じました。

— 属性や年齢に違いはありますか?

アメリカやヨーロッパへの海外留学経験を持つ人も多いです。留学した地で就職してしまう人も多いのですが、最近では自国に戻り、現地で事業を立ち上げている方が多い印象です。本当に国を良くしたいという高い志を持って戻ってきています。

— 起業家から受ける事業のプレゼンテーション内容には何か違いはありますか?

社会課題に目を向けた内容が多いですね。2009年頃の日本の起業家は、スマートフォン普及の背景からモバイル事業の内容が大半だったので、当時は事業を具体化するために弊社で事業案を考えることも多くありました。

しかし、今のアフリカで言うと、銀行口座、住所、テレビがない、十分な教育を受けていないなど、先進国になる前の社会課題に目を向けた事業を自ら立案している場合がほとんどです。日本とは大きく異なる環境で、前提を覆すような事業内容に驚かされることも多々あります。

アフリカの実情と日本企業の可能性

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— 社会背景が異なっても、日本の企業が現地で事業を創っていくことはできるものなのでしょうか?

実際、現地でVC投資をしている日本企業もありますし、売る方法などを変えればできます。例えば、月額制の(空調)サービス提供がアフリカの顧客にとっては高く、購入が難しい場合、時間単位で提供する、日払いで利子をつけて提供する、支払い側を5人組にするなどの支払いのしくみ自体を工夫することでサービスや商品を提供する方法があります。

お金の支払い方法を変えれば、すでに他地域で展開している事業もアフリカ市場を対象マーケットとして展開をしていくことが可能です。日本や他の地域と条件が異なるのであれば「どういうやり方なら売れるか」を考えればいいんです。

— アフリカ進出に関して、上司や社内説得する必要がある方もいると思うのですが、アフリカの実情はどうなのでしょうか?

失業率の減少、安全性の高まりは年々増しています。ケニアはキャッシュレス率が第1位(※2019年12月27日現在 JCAキャッシュレス指数2019調べ)で、テクノロジーが現地の様々な課題を解決していっています。

例えば、主な移動手段であるタクシーは、ほとんどがUberで、利便性や安全性が以前よりも高まっています。
また、中間層の月収が約3万円であるのに対し、Uberのタクシー運転手の中には約7万円程を月に稼ぐ運転手もいます。Uberが新たに優良な雇用を生んでいます。。高層ビルもばんばん立ち始めていますよ。南アフリカの都市部は中国と同じくらいの先進国だと感じますし、欧米企業やトヨタも現地で車を製造しているほどです。

— アフリカと相性のいい業種などはありますか?

プラットフォームやマッチング、サービスなどのIT系の会社ですね。2009年頃、日本で普及したIT系の会社の方が刺さりやすい様に感じます。インフラがまだまだ未完成な点や、少額資金で始められる点から、メーカーよりIT系企業の方が事業展開はしやすいと思っています。

サムライインキュベートがアフリカで目指す役割

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— アフリカのスタートアップエコシステムは、どのような状況なのでしょうか?

盛り上がりつつありますが、他地域の様に投資のエコシステムはまだまだ成熟していないのが現状ですね。だからこそサムライインキュベートが率先してエコシステムの発展に寄与していきたいなと思っています。

イスラエル進出の際も、日本企業の投資額がサムライインキュベートの進出前の2013 年から2016 年にかけては約 20倍になり、進出企業の拠点数も25 社から 57社へ倍増しました(※2019年12月27日時点 経済産業省 イスラエル企業連携調査成果報告書調べ)。

アフリカでも私達が活動し、起業家と共に成果をあげていくことで、投資や日本企業の進出をより活発にしていけると思っています。現地でシードVCとして貢献できることはまだまだたくさんあって、未成熟で課題が多いからこそ、我々や日本企業が持つ独自の知見を使って現地に貢献していきたいと思っています。

— コミットする際に気をつけていることはありますか?

たくさんの国、スタートアップにただ投資するのではなく、”愛”を持って接することですね。

色んな社会問題って、愛情の欠如から生まれることが多いんですが、日常のコミュニケーションでも愛情って大事ですよね。さらにオンラインだと”ぬくもり”が伝わりにくいので、より愛を持って丁寧にコミュニケーションを取るようにしています。すると、失敗したとしても、また違う形でいつか大きなリターンとして返ってくると思っています。

そして、エコシステムを盛り上げることはもちろん、継続的に、持続可能な形でしっかりとコミットするようにしています。

— 榊原さんが描いているベンチャーキャピタルとしての将来像はどういったものなのでしょうか?

起業家が成功することで、そこからまた新たな投資、そして雇用を生み出し、その国の人がみんなが笑顔で「うちの国って最高だよね」って言っているような未来を創りたいと思っています。事業など金銭的なリターンだけではなく、社会的なリターンを生み出す一躍を担えたら幸せですね。

— アフリカへの出資に興味を持っている人へのメッセージは何かありますか?

地球へのインキュベーションであるという気持ちをぜひ持ってほしいですね。日本も数十年前の戦後だった頃は発展途上国でした。そこから世界中で売上げを立てる企業を生み出し、産業を築いてきたノウハウを日本は持っています。それをもっと活かしたいなと思っています。

社名を「サムライインキュベート」と名付けたのは、スポーツなどでは”サムライジャパン”と日本代表チームを呼ぶように、”ビジネス業界でサムライスピリッツを持っている日本人”を束ねて、最終的に地球をインキュベーションしたいからなんです。

自社だけではなく、世界をリードしたいと思っている方、ぜひ日本のリーダーシップを一緒にとっていきましょう!

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<文・写真=とにー(鳥井 美沙 )>