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侍コーチが考える小学生年代で身につけておいて欲しいこと【技術編】

日本の育成年代のサッカーに駆け引きを!
子供達の脳に「駆け引き」をインストールせよ!

 

今回のテーマは、一般的に言われている教科書に書いてあるようなことではなく、現場で必要だなと感じる経験則からの内容を書いていきます。
 
普通のサッカーコーチとは求めるものが違うと思うので、 そう言うところも含めて楽しんでもらえたら良いかなと思います。
 
侍コーチがジュニア年代で身につけておいてほしいと思っていることを8つ挙げてみました。
 

1.駆け引きをしながらの運ぶドリブル


ここは一番必要で大事にしているので、めちゃ長いです(笑)

理由は、
「駆け引きはサッカーで最も楽しくて必要な技術」
だと思っているからです。

侍コーチが思うサッカーの最大の魅力はなんと言っても、

駆け引きが上手くなれば、運動能力が低いとされる選手でも活躍できる
ところです。

体の大きいDF相手に小さくて身体能力がない選手がスルスルかわして突破できたり、ゴリゴリの筋肉でフィジカルが強い選手が何度もぶつかりにいこうとするのに、線が細くて今にも折れそうな細い選手が相手に触らせずニョロニョロドリブルですり抜けていくプレーをしているところを何度も見てきました。

これって最高じゃないですか?!
これこそがサッカーの楽しさでしょ!
と侍コーチは思うんです。

フィジカルのある選手はそう思わないかもしれませんが・・・(笑)


私は32年間サッカーをやってきてフィジカル的に強くない子でも、
駆け引きを学べば、サッカーを一生涯楽しめるぞ!
ということを知ってほしいのです。


しかし、残念ながら
ジュニア世代の試合で見かけることが多いんですけど、

「いけぇ!」
「走れぇ!!」
「前に蹴れ!」

「負けるなぁ!!」
「やりきれぇ!!」

「あきらめるな~!!」
 
コーチングの8割がこの言葉で占められています。

さらに残念なのは、できない子供をダメだししている指導者・・・。
なんで子供にそれ言っちゃうのよ。
って思う。

その度に僕は悲しくなるし苛立ちの感情を覚えるんですよ。

子供の気持ち大切にしろよって!
ふざけんなよ!お前の無頓着な言葉がけが子供の心を傷つけてるよ!
子供はもう十二分に頑張ってるよ!
むしろお前が勉強して頑張れよ!って
「それはサッカーじゃないから」って

熱くなっちゃいました(苦笑)
でもね、それくらいの気持ちで子供を大切にしたいんです。

だって子供って、純粋じゃないですか。
その純粋な気持ちを踏みにじらないでほしいんです。

早生まれで体が一回り小さい選手や、体の動きがバラバラで運動が苦手な選手など、身体も充分に発達していないような小学生たちにパワーやスピード、ガッツを求めるんです。
そりゃすぐ辞めていきますよね。

言葉には出しませんが毎回試合の度に相手コーチに対して怒りを感じています。
だから、私は、相手コーチのネガティブコーチングをかき消すように、自分のチームの選手達の良いところを褒めまくるんです。
そうすると相手コーチがキョトンとした表情になって「?」が出るんですね。そして最終的に黙ります(笑)
 

指導者は、「駆け引き」の概念を学んで、相手と駆け引きをする技術や考えを教えてあげて欲しいなと思います。

そうすれば、体の小さい選手でも試合中に相手にぶつかられずにサッカーができる。

それどころか、身体の大きい相手やフィジカルのある相手をおちょくったり、操ることができる。

サッカーが楽しくないなんて思いをしなくてよくなりますよね!

むしろ、サッカーが楽しくて仕方がなくなるはずです。なぜなら、そこに相手との駆け引きがあるからです。駆け引きはゲーム的要素があるので、楽しめるのです。

実際に、
早生まれで身体も豆のように小さく、試合に出られずベンチだった選手が、駆け引きを身に着けて、今じゃチームの中心選手で
チームに欠かせない存在になりました。
こんな子供を沢山育成してきましたし、これからもいくらでも育成できます。

わかりやすく説明すると、「駆け引き」というアプリを、脳にインストールする。
そしてトレーニングして、脳と体を連動させて最適化する。
「駆け引き」のアプリが脳にインストールされた選手が1人でも多ければ活躍しますよね。

これを多くの人は、「あの子は才能があるから~」「センスが違うから~」という最もらしい言葉で済ませてしまうんですね。

子供には個性があるので、「駆け引き」のアプリをインストールした先にどういう選手になるのかは、わかりません。
足が速い、体が強い、賢い、体力がある等。
アプリインストール+個性がその子の特徴になっていきます。


しかし、多くの子はこの「駆け引き」のアプリがインストールされていない状態で、目先の勝敗を求められてわけがわからないまま頑張らされている状態なんです。それは面白いはずがありませんよね。

そして、イケイケヤレヤレの指導者もその「駆け引き」が、何かを理解していません。それでは面白いサッカーなんかできるわけがないんです。
 
「さっきから、駆け引き 駆け引き言ってるけど、駆け引きって何?!」

はい、確かに駆け引きの正体を言ってませんでしたね。

私は駆け引きを、
「相手の重心の逆をつくプレー」と考えています。

どれだけ相手がパワーを持っていようが、相手に触らせなければパワーなんて無力化しますし、スピードのある選手なんて、スピードを出させなければ怖くなくなります。

そういった、
相手の重心移動を意識したプレーを小さい頃から磨いて身につけて欲しい
と思っています。

「うん?駆け引きだったらドリブルじゃなくてもいいんじゃない・・・?」

鋭いですね!
その通りです。

ぶっちゃけた話、相手の重心を観察してその逆をつく意識さえあれば手段はパスでもシュートでもなんでもいいんです。
それだけでも駆け引きは十分磨かれます。
 
しかし、
ドリブルが最も駆け引きを磨きやすく、伸ばしやすい技術なんですよ。
 
なぜなら、
1人で磨くことができるから。
パスやポジショニングや、その他のプレーで駆け引きしようとすれば、
必ず「味方」の存在が必要になるんです。

でも小学生年代ってサッカーを始めたての選手がほとんどで、サッカー未経験者がいるとボールコントロールができないので、駆け引きに至るまでの練習が成立しないことが多いんです。 

最近、チームで戦術や小難しいことをやろうとしてるチーム増えてますけど、概念や考え方を教えるのは良いですが、個人の駆け引きができてから、段階的に教えてった方が効果的かなと感じています。


でもドリブルなら1人からまずトレーニングできる。
1人でも相手を見て、相手を誘って逆を取ろうとチャレンジできるんです。
この時点で認知・判断が養われています。
そういった部分でも、ドリブルで駆け引きを磨くことは育成の効率も良いんです。
  
「おい!!足出すなっ!!」
「お前ら!!守備ちゃんとしろっ!!」
「球際もっと行けぇ!!」

上記のようなことを相手チームのコーチや選手が何度も言っていたら、駆け引き集団の完成ですね〜!

これはね、フィジカルモンスター達が無力化していくので、めちゃめちゃ気持ちいいですよ〜。

是非ともそんな個人戦術を持った集団を目指してください!そして中身のあるサッカーを日本中に広めてほしいです。

そして、これは駆け引きを学べば誰でもできますし、フィジカルがある子であれば、駆け引き を覚えたらもう誰にも止められない選手になれると思います。
 
そういった駆け引きの概念を持った選手を育成していくことが日本サッカーの底辺からレベルアップしていくことにつながっていきます。

日本でサッカーをやる子供達全員が学んでほしいですね。まさに駆け引きの習得こそが、サッカーの教科書です。これを日本全国の子供達がマスターしたら、とんでもなく日本のレベルは上がります。
 
「駆け引き」=デフォルト設定
です。

そんな脳に駆け引きがインストールされた選手にロンドを教えれば、ボールポゼッション率95%も夢じゃないです。(笑)


2.相手DFを見てパスを選択できるようにする


2対1は相手DFを見てプレーの選択をしたい

技術的な話になりますが、2対1で攻撃の場面になった時に、子供達を見ていると、ほとんどと言ってもいいくらいの割合でパスを出すんです。それは全然良いのですが、そのパスを出す時に、相手DFを見ていないんです。味方だけを見てパスを出す。パスを出す時に判断をしていないんです。相手DFがパスを守ったらドリブルができるし、ドリブルのコースを守ったらパスができる。相手DFの守り方を基準にプレーを判断してほしんですね。でも、これは実際にプレーするとわかるのですが、難しいんですよ。どうしても失敗したくない心理が働いて味方だけを見てパスをしてしまう。だからこれはコーチに教えてもらわないとできないと思います。特に少年団やクラブチームでサッカーをやってる選手ほどズラしますおそらく「やりきれぇ!」ってコーチングが理由なのか、全てが曖昧なのです。そして、自分の判断ではなく、判断させられているリアクションのプレーなのです。別に「パスの優先順位」とか「パスの原則」とか、そんな小難しいことはどうでもよくて、自分のプレーの判断基準を味方ではなく相手にする考えを持って、判断力を磨いて欲しいです「なんとなくパスを出した」とか、曖昧さを減らしていくことが重要でしょう 。


3.空間認知能力(ボールの落下地点を把握する力)

身長は高くないし、ジャンプ力も決して高いわけではない。でも、やたらとヘディングが強い選手がいます。彼はボールの落下地点の予測が的確なんです。ヘディングはジャンプ力じゃないんだな。と見るたびに学びになります。
その一方で、空間認知が低い選手はクリアボールを被ったり、処理が下手で大ピンチを招いてしまうんです。ロングキックとクリアばかりしてくるチームだと、落下地点を間違える選手はチームとして致命的になってしまいます。そこで、この空間認知能力をどう鍛えるかですけど、ヘディングのやりすぎはジュニア年代としては、脳に悪影響なので、遊びで野球のキャッチボールでフライをキャッチとかをやってほしいですね。

女の子でしたけど、バレーボールをやっていた選手もヘディングのタイミングが抜群でした。今の子は、サッカーしかしていない子が多いので、上半身が使えない子が多いです。重心移動を学ぶなら柔道、空間認知力は野球、バレーボール、体のバランスは体操など、できるだけ、サッカーに偏らないように運動してほしいです。

4.シンプルに前を向ける(ターン)

試合をやっていて、やっぱり前を向ける選手って、チームいると助かりますし素晴らしいです。

特に、
狭いスペースや相手が来ていない状態が把握できていてターンを選択できる選手の感覚は最高です。
 
相手が来てない状態のターンって結構簡単そうに見えて難しいんです。

おそらく「ボールをとりあえずピタッと止める」って文化が日本にあるからじゃないかなぁと思っています。

これは本当にやめた方がいいと思います。相手の状態に応じた判断のあるピタ止めならまだいいのですが、練習の為の練習でピタ止めを固定化してしまうから、試合でも前が空いているのに、ピタ止めして、2回目で前に行く癖がついてしまうですね。

相手が来ていても来ていなくても、まずはその場で後ろ向きにボールを止めてしまう。
あれは間違いなく「ボールをしっかり止めろぉ!」の弊害だと思っています

監督さん、その言葉間違ってるで~!と相手ベンチまで行って言ったろうかなと思ってしまいました(笑)もう子供がうまくなるわけないからかわいそうで・・・。
判断をともなったファーストタッチはたくさん失敗させて、試合中にガンガンチャレンジさせてあげてください。

5.GKとの1対1をしっかり決める

 

GKとの1対1は、まぁ入らないですね(笑)
完全にフリーなのにキーパーの正面に当てたり、変なシュートフォームになってゴールマウスのさらに外に外したり。
GKにぶつけるゲームじゃないぞ!!と冗談で言ったりしていますが・・・(笑)

 「DFと1対1」とか「2対2」とか、対人のシュート練習ではなく、
「GKと1対1」のシュート練習をもっとやらせてあげてください。
シュートが下手くそというよりは、日本はシュート練習の絶対量が少ないと思います。又、メンタル的にも、日本の子供は日常生活で禁止されることが多いので、~しなければならない。~してはいけない。ということが潜在的に刷り込まれていて、一番大事なGKとの1対1の場面で、「シュートを絶対決めなければならない。」という過緊張になり練習なら簡単に入るシュートが入らなくなってしまうような精神状態になっていることを多く感じます。場数踏んで改善を繰り返していけば、できるようになるのでゴールを奪う感覚を身につけさせてやってください 。

6.ダッシュ⇨ストップ(急に止まる)

 


サッカーの技術というより、身のこなしになりますが、みんな走ったら走りっぱなしで、止まれない(笑)
マジでっ!?って笑ってしまう位に止まれない(笑)

ストップをかけようとはするけど、止まれず相手にかわされることが多いです。
 
運動能力が低い子は、身体に刺激を与える為にも鍛えてあげる必要があると思います。

脳から身体への伝達速度が遅いのであれば、トレーニングの回数を増やしてあげて、脳と身体の伝達回路を刺激してあげます。

身体能力は上がらないかもしれませんが、身体のバランスが良くなったり、身体感覚の向上は感じられます。

ってことで「走れぇ!!」と同じくらい「ストップ!!」ってコーチングも大事にしてください(笑)

今の子は小さい頃から身体を存分に動かして遊べる環境にいない子が多いので、恐ろしい程に体のバランスが悪い子がいたり、前転ができない子も多いです。一言でいうと、自分の体を自分で動かせないのです。

身体全部を使って遊べる環境があれば最高だと思いますが、特に都心だと遊べる環境がないので、わざわざサッカーや陸上などのスクールに通っている子も多いですね。方法はなんでもいいのですが、全身運動ができるような練習をしてほしいですね。

7.前進する→キャンセル

 
1つ目の「駆け引きをしながら運ぶドリブル」とほぼ同じになりますが、
とても重要なので別物として書くことにしました。
 
サッカーにおいてキャンセルする概念は超重要

勉強に置き換えるなら「国語」とか「算数」レベルだと思ってください。
わかりずらいですかね(苦笑)
これを抜きには語れないということです。 

子供のサッカーってほぼ本能でやっているので、皆恐ろしい程にボールに向かっていくし、とにかく前に突っ込んでいきます(笑)

だから、指導者が前に進めない時は、キャンセルすること。つまりそのまま突っ込まずに、止まったり、やり直しをすることを教えてあげる必要があります。

相手は攻撃の侵入経路を塞いできたり、進ませないために全力で守備をしてきます。

相手が守備で戻る力と反対に動けば時間やスペースは簡単に生まれます。

そうやって押し引きを繰り返すことで、気づけば相手をコートに押し込んでゴール前に到達している
これがポゼッションやビルドアップの「正体」です。


3歩進んだら2歩下がらせる、そんな押し引きのプレーも教えてあげてください。

8.ボールがない時に、DFがいないところに動く

ボールがない時に、ボールを見てずっと待っている子が多くいます。
こういう子を減らしてあげたいです。
やり方は簡単です。

「ボールがもらえなそうだけど、今どこに動いたらボールがもらえるかな?」

と問いかけてあげれば、相手DFがいないところに動き出します。

それができるようになって来たら、「ゴールを取りたいんだけど、
どこに動いたらいいと思う?」と問いかけて下さい。
答えは言わずに、考えさせてあげてください。

スペインでは、団子サッカーを見たことがありません。
幼稚園生でもポゼッションしています。
これは考え方を教えられれば、日本人でも間違いなくできます。

難しく考えず、相手DFがいないところでボールを受けるだけです。
何事も本質はシンプルなので、子供に理解できる言葉でシンプルに伝えてあげて下さい。

 他にもありますが、とりあえずこの8つの中で、1つ以上できる選手を育成していきたいですね。
 
伸びしろある選手が、成長していく過程を一緒に過ごせるのは幸せなことですし、人が成長する姿を見る喜びと感動が大好きです。何より子供は無条件でかわいいですね!
 
ここまで読んで頂きましてありがとうございました!
∞感謝∞

P.S
成長していく子供の共通点
①人のせいにしない
②素直で真面目で謙虚
③自分の意思でプレーしている
④コーチにも仲間にもリスペクトがある
⑤自分から話せるコミュ力

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