碾茶と玉露

 桜が散り始め、八十八夜が近づいてくるとお茶の新芽が伸びてくる。

それまで濃い色をした茶園が明るい緑色に変わる。そういう時期に茶園に覆いをすることでうま味を新芽に閉じ込めて作るお茶が碾茶と玉露だ。碾茶はあまり聞かないお茶だが抹茶の原料であり、碾茶を石臼で挽くと抹茶になる。

 抹茶と玉露はどちらも太陽の光をさえぎるので、新芽を収穫した時点ではどちらのお茶も作ることができる。実際に私は玉露を作っている途中で機械が壊れてしまったことがあり、その後はそのまま碾茶工場へ新芽を持って行ったことを覚えている。

 どちらのお茶も収穫してからすぐに蒸すので緑茶の一種になる。蒸した後、そのまま乾かすと碾茶になり、揉みながら乾かすと玉露になる。もちろん、実際には玉露に合わせた栽培方法と碾茶に合わせた栽培方法があるので全く同じものではないが、限りなく近いいわば兄弟といえる関係だ。

 その為、玉露を使ったスイーツはあるけれど味的に抹茶で代用できる事が多く、いまいち広がってないのが現実である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?