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【ラノベレビュー 15】 『隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない』

こんにちは、Kanon です。今回は…

飴月先生の『隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない』の感想記事です。

あらすじ

人生オール80点。

そんな俺が託されたのは、元トップアイドル・香澄ミルの世話だった。

ファン対応がしみつきなかなかクラスに馴染めないミル。

そんな彼女に頼られるうち、俺たちは図らずも運命共同体になってゆく。

『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 』飴月 ファンタジア文庫 2022年5月20日 発行 より引用

こんな人におすすめ

  • 王道のボーイ・ミーツ・ガールものが好きな人

  • あざとかわいいメインヒロインが好きな人

  • ドロっとした悪感情を隠すサブヒロインの葛藤が好きな人

  • 鈍感系ラブコメ主人公が織り成す恋愛モノが好きな人

  • 自分の個性や価値観が周りに合わず悩んでいる人

  • 夢中になれるものが見つからない人

感想

スポットが当たったのはミル!けれど…

今巻の物語のメインヒロインとしてスポットが当たっていたのはミルでした。

しかし、幼馴染の蓮の気を惹くためにアイドルになり、ファンではなく蓮のためにアイドルを続ける冬華。

腐れ縁であり気軽に話せる同年代の異性ポジションに収まりながらも、蓮への恋心を抱く琴乃と、脇を固めるヒロインたちにも十分メインヒロインを張れるだけのポテンシャルがあり、蓮に対する思いの強さもひとしお。

丸戸先生の推薦文のとおり、「ヒロインみんな超重い、最高」でした。

もし続巻が出るのであれば、他のヒロインたちが主役の話も見ていきたい。そして蓮を奪い合ってほしい…

テーマは"恋愛"。でもそれだけでなく?

メインのテーマはボーイ・ミーツ・ガールから始まる恋愛だと思います。

しかしメインヒロインのミルはアイドル→普通の女の子になるということを思い描いています。

この「普通の女の子」というところがポイントで、序盤にミルフィーユの層を使った比喩が出てくるのですが、アイドルとしてのミルがファンを魅了するためのコーティングをした状態なのだとすれば、「普通の女の子」というのはそうしたコーティングのない、ありのままのミルということで。

誰かのために着飾った自分ではなく、ありのままの自分を受け入れてほしい。

これがミルの心の奥底にある願いであり、物語が進むにつれてその感情がはっきりとしていく巧みな展開で、後半になればなるほどページをめくる手が止まりませんでした。

「ありのままの自分を見せて生きていくんだ」というテーマが見え隠れしており、ただのラブコメではなく、青春小説としての一面も垣間見えました。

そして、そんなミルの気持ちは読者の誰しもが抱えているものではないでしょうか?(それを抱えていない読者はとても幸せだと思いますが)

私は、今まで強引に無視してきたせいで聞こえなくなった、本当の私の声が聞きたい。

偶像のままで走り続ける『みるふぃー』でも、普通じゃないまま庇われるだけの『香澄』でもなくて、今まで押し殺してきた、本当の『私』になりたいんだ。

偽って我慢して、何かを犠牲にするんじゃなくて。

私は私のまま、誰かに愛されてみたい。

『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 』飴月 ファンタジア文庫 2022年5月20日 発行 P.223 より引用

このシーンで恥ずかしながら私は泣いてしまいました…

総評

またひとりとんでもない作家さんと作品が出てきてしまいましたね…

後半になればなるほどミルやそのほかヒロインたちの感情描写も深いものになり、それぞれが抱える葛藤を見せられて、どんどん没入していくことができました。

続編、でないかなぁ…?

以上、『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 』 感想 レビュー ネタバレでした。


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