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【ラノベレビュー 18】 『君は僕の後悔 2』 【個人的な2022年No.1作品】
こんにちは、Kanon です。今回は…
今回はしめさば先生の『君は僕の後悔』の2巻の感想記事です。
あらすじ
浅田結弦は、中学時代の恋人、水野藍衣と再会し、数々の対話を経て再び心を通わせた。
一つの『後悔』を乗り越え、平穏な日々を取り戻した結弦。
しかし、落ち着いたのは束の間、今度は読書部員の『小田島薫』の様子がおかしくなり始める。
部活に来なくなるのを皮切りに、学校も無断欠席し始める薫。
薫を大切に思うのと同時に、彼女の『事情』の一端を知る結弦は、薫のために奔走し始めるが……薫はことごとくそれらを拒絶した。
薫の心に生まれた新たな『後悔』と『孤独』が、二人の関係性を大きく変えてゆく。
後悔を抱えた少年少女の、恋と対話の物語――第二弾。
前巻の内容はこちら
感想
今巻の主役は結弦と同じ読書部員・薫
前巻では結弦と藍衣の関係修復のために、結弦の背中を押す役目を担っていた薫。
基本的に薫は自分の世界を持ち、自分の世界には誰も踏み入れさせようとしないものの、他人に対しては優しく接することのできる人間です。
自分の知らない男をとっかえひっかえしている母親のことを見捨てず、「母親には自分がいないとダメだ」と母親から離れることはありません。
また、自分のことを助けてほしいという結弦への気持ちを抑えて、本来であれば恋敵である藍衣に対して、
「『ユヅが心配するようなことは何もないから』……って言われた。それから、『それより藍衣のこと見てあげて、って伝えといて』」
と藍衣を通して結弦に伝えるといった、とにかく自分の気持ちを押し殺して、大切な人が幸せになることを考えられるのが薫です。
母親にとって薫は…
しかし、薫が母親のことを大事に思っていても、母親から薫に対してはそのような気持ちを感じることができません。
自分のことを優先するのではなく、新しい愛人を作り、愛人に対してのみ好意を向けられることを望み、また愛人からの好意によってのみ満たされる母親。
そんな母親に対する薫の感情は、この一文に表されています。
私の家族はお母さんだけなのに……私は、お母さんにとって、『一番じゃない』って言われているようで、それが一番……悲しかった。
薫が母親のことを大切に思っているのにも関わらず、母親はそうではないという一方通行な愛情が悲しいですね…
結弦にとって薫は…
結弦にとって薫は、「大切な友人」です。
僕にとって、薫は確かに、そうとしか言い表せないような相手だった。彼女の悩みを解決して、また、今まで通りに関わり合っていきたい。そう思っていた。
薫と母親の関係とは違い、薫が結弦を大切に思っているのと同じように、結弦も薫のことを大切に思っています。
しかし、結弦にとって薫は"1番"ではない。
それは、結弦にとっての暫定の一番は藍衣だからです。
この"1番じゃない"というのが薫にとっては重要なことで、薫の母親は愛人を作るものの、その愛人からすると"1番じゃない"のでいつまでも幸せになれないという様を、薫はずっと見てきました。
「一番じゃないのは、苦しいもん……」
1番になれないことをわかっているから、薫は自分の気持ちに嘘をつきます。
そして…
大好きだから、さよならしよう
結弦にとっての1番になれないことをわかっている薫。
「ユヅの一番になれないのが分かっているのに、傍にいるなんてできない…」
そういわれて、結弦はなんのことかわからない様子。
それをわからせるためにとった薫の行動は…
![](https://assets.st-note.com/img/1676625151792-wbXvsbjsYb.png?width=1200)
キス。
そして…
「大好きだから、さよならしよう?」
このひとことを残し、薫は結弦の前から消えようとします。
薫の行動の土台となる心理・経験の描写。このシーンへもっていくまでの構成。そして しぐれうい先生のイラストの、薫の表情… すべてが嚙み合ってて完璧すぎました…
切ない恋物語が好きな私は、このシーンがエモすぎて死にかけてました…
薫の気持ちにようやく気付いた結弦は、対話によって薫の本当の気持ちを引き出す
1巻で結弦が薫に言われたこと。
それは「もっと駄々をこねろ」ということでした。
今度はその言葉を、結弦が薫に返します。
そうして結弦は薫の本心を、行動ではなく"言葉"で引き出します。
「……もっと、あたしのことも理解してよ」
薫が流し目で僕を見て言った。
薫の濡れた目に、漣に反射する月光や、星の光が映って、キラキラしていた。
「もっとあたしのこと知って……それで……」
薫は呟くように言った。
「あたしのこと……好きになってよ」
一番になれないことが分かってても、それでも「好きになってよ」と駄々をこねることにした薫が、可愛くて、健気で、祈るような気持ちの吐露がもう最高です…
薫と藍衣
藍衣は結弦に対して、『大好きだから、好きになって?』と言っています。
そして結弦は藍衣の告白を今は保留にしている状態での、薫からの告白。
今後の展開としては、結弦が薫と藍衣のどちらを選ぶのか?になっていくと思うので、どうなっていくのか、またどのような終わりを迎えるのかすごく楽しみですね。
薫と藍衣は対象的で、最初から最後まで結弦のことが大好きで、純粋に「大好きだから、好きになって?」と気持ちをぶつけた藍衣。
一方で、自分は身を引くことを考え、結弦の幸せを願って「大好きだから、さよならしよう?」と言った薫。
私個人としては、薫と一緒になったほうが幸せになれると思う…ッ
総評
薫の葛藤に自分の心情がリンクしてしまって、読んでてひたすらつらかった(誉め言葉です)
「大好きだから、さよならしよう?」
この一言にすべて持っていかれました。
1巻の時点で今年のTOP3に入る作品だなと思っていましたが、2巻も含めて間違いなく今年一番自分に刺さった作品(暫定)になったと確信しました。
切実にアニメ化を願う。
けどその前に早く3巻お願いします…
以上、『君は僕の後悔 2』の感想 レビュー ネタバレでした。
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