売れる電子書籍タイトルを考える
*ブログに掲載している「kindle個人出版本を売れる本にするには」シリーズの中の、タイトル付けについての話題をこちらにも。
(1)キャッチコピーに学ぶ、売れる書籍タイトルの考え方
いま無名であれば、著者名で売れるということはないので、選んでもらうためにかなりかなり重要なのがタイトルと表紙になります。
まずはタイトルと表紙で興味を持ってもらい、
著者、値段、説明文、レビューで購入の判断をしてもらう、という流れですね。
タイトル付けはプロ編集者もみんな悩むところなので、売れるタイトルの付け方なんて言うことはできないのですが、なにかしらヒントになる話ができればと思います。
本のタイトルはキャッチコピーのようなものです。
キャッチコピーの役割は、見込み客に振り向いてもらい、次の文章(リードコピー)を読んでもらうこと。
電子書籍の場合は、タイトルでターゲットに振り向いてもらい、次に説明文を読んでもらいたいわけです。
ですから、kindle本を読んでほしい対象者が「ん?なんだろう?」「これは私向けの本かな?」「気になるな」と思ってくれるようにタイトルを考える必要があります。
誰向けなのかわからない、
読む理由がわからない(読むとどんないいことがあるのかわからない)、
なんていうタイトルでは、中味が良くても売れなくなっちゃいます。
伝説的コピーライター、ジョン・ケープルズによれば、成功するキャッチコピーのパターンは次の3つに集約されます。
1.ベネフィット
2.新しい情報
3.好奇心
一番効果的なのは、ベネフィット、つまり読み手の得になることを伝えることです。読むとどんないいことがあるのか、イメージさせるのですね。
次が、ニュース性のあるもの、新しい情報の提供。
3番目に、好奇心を刺激するものです。
さらに加えるとすると、
「手っ取り早くて簡単」「信頼性」を挙げています。
これらがタイトルに含まれているほど、ターゲットが振り向いてくれる可能性が高くなると言えるでしょう。
(参考:『ザ・コピーライティング』ジョン・ケープルズ著)
たとえば『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴)は、ベネフィット(勉強ができるようになる方法がわかるのでは?)、好奇心(そのギャルにはいったいどんなストーリーがあるのだろう?)、信頼性(1年で、偏差値40上げて、慶應大学などの数字や固有名詞があるため信頼できると感じる)が組み合わされています。
2の新しい情報というのは難しいですけど、ニュース性のあるテーマ、たとえば『電子書籍の衝撃』(佐々木俊尚)とか、いままでに聞いたことのない情報、たとえば『体温を上げると健康になる』(齋藤真嗣)なんかが該当するかなと思います。
「手っ取り早くて簡単」というのはビジネス書・実用書タイトルによく見られますね。
『たった1分で人生が変わる 片づけの習慣』(小松易)
『巻くだけダイエット』(山本千尋)
などです。
なるべく1のベネフィットはおさえつつ、新しい情報や好奇心、手っ取り早くて簡単、信頼性を組み合わせられないか考えるのがいいのではないでしょうか。
(2)電子書籍だから意識したい、タイトル付けのポイント
売れる本にするために、タイトルの作り方をキャッチコピーに学ぼうという話をしました。
書店に行って本のタイトルをチェックしてまわったり、売れている本のタイトルを分析したり、アマゾンのランキングをチェックするっていうのはやるといいですね。
ただ、電子書籍のタイトル付けは、紙の本とはちょっと違う部分もあります。
今日は電子書籍のタイトル付けで意識したいことについてです。
1.短くシンプルなタイトルにする
紙の本は長いタイトルもけっこう多いですが、電子書籍の場合、なるべく短くシンプルなほうがいいです。
読みたいkindle本を探すとき、四六判の単行本の大きさで見て選ぶわけじゃないので。
小さなサムネイル画像で選びます。
私はiPhoneでkindle本を探して買ってますが、サムネイル画像はせいぜい2.5×1.7センチくらいの大きさで見てます。
この中に長いタイトルがあっても、まず読めない。
もちろん、画像と別にタイトルは表示されますが、せっかくの表紙画像がよくわからないのでは不利です。
電子書籍界のスーパースター、漫画家鈴木みそさんは、このへんすごく意識されてます。
『マスゴミ』っていうタイトル、小さなサムネイル画像でもインパクトありますよね。
ビジネス書・自己啓発書で(しかも無名な人が)このくらいの短いタイトルは難しいですが、
なるべく短くシンプルにというのは意識するといいと思います。
そして、サブタイトルで補足します。
最近の個人出版本で、うまいなと思ったのは杉本ゆみさんの『のびのび不登校~アスペルガー中学生1800日の記録』です。
タイトルは短くシンプルな「のびのび不登校」。
サブタイトル「アスペルガー中学生1800日の記録」で、どういう本なのか説明しています。
電子書籍で受け入れられやすい体験談系で、明確なベネフィットがあるわけではないですが、「のびのび」という言葉がついていることで「不登校やアスペルガーの子を持ち、悩んでいる人がちょっぴりラクになれる」という感じが出ています。
かなりレベルの高いタイトル付けだなぁと思いました。次に挙げる検索キーワードもバッチリです。
2.検索キーワードを意識する
kindle本を買う人の多くは、アマゾン内でキーワード検索をしています。
そのキーワードに関する、まとまった情報を知りたい、お金を払っても情報を得たいと思っています。
ここでちゃんと自分の本が候補に上がるようにしたいですよね。
対象読者はどんなキーワードで検索するか考え、それをタイトル、サブタイトルに入れます。
タイトル、サブタイトルに入れるのが難しければ、検索用タグに入れることになりますが、
タイトル付けの際に意識することは重要です。
3.本の内容を示すタイトルにする
タイトルに偽りあり!というのは、電子書籍の場合かなりマズイです。
タイトルで期待して本を買った人は、「思ってたのと違う!」と感じたらレビューにそれを書きます。
電子書籍はレビューが大きな判断材料なので、「こういう内容を期待したのに、全然違った」星1つ!というのが付くとその後の売れ行きに影響が出ます。
紙の本でもタイトルに偽りありと言いたくなるのは多いですが・・・・・・、電子書籍ではとくに、読者の期待を裏切らないよう注意する必要があります。
なんとなく紙の本の売れているタイトルをマネしてしまうと、逆に売れなくなってしまうので注意しなければなりません。
(3)売れる書籍タイトル9つの型
書籍タイトルの型ということで、普段私が使っているキャッチコピーの型をベースに考えてみました。
なんとなく売れている本のタイトルをマネるだけだと失敗するおそれがあるので、前述した注意点も頭に置きつつ、アイデアのとっかかりとして使っていただければ。
<売れる書籍タイトル9つの型>
1.ズバリ型
ベネフィットをズバリ言う。(あるいはコンセプトをズバリ)
『あなたの会社が90日で儲かる!』
『「体を温める」と病気は必ず治る』
『目は1分でよくなる!』
2.質問型
質問されると答えが気になるので、記憶に粘るフックになる。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
『なぜ社長のベンツは4ドアなのか?』
3.命令型
キャッチコピーでは、ストレートな命令は潜在意識で拒否反応が起こりやすいため、~なら~しなさいという限定命令、~するなという否定命令がよく使われる。書籍の場合、ストレートな命令型もよく見られる。
『服を買うなら捨てなさい』
『お金は銀行に預けるな』
『いつまでもデブと思うなよ』
『スタバではグランデを買え』
4.呼びかけ型
あなたのための本ですよ、と呼びかけて振り向いてもらう。
『文系でもわかるビジネス統計入門』
『B型自分の説明書』
5.ニューコンセプト型
新しい価値観、世界観を提示する。
『ナリワイをつくる』
『里山資本主義』
6.ギャップ型
普通は結びつかない言葉をつなげて、ギャップで目を引く。
『ホームレス中学生』
『クビでも年収1億円』
『13歳のハローワーク』
7.パッケージ型
◯◯の教科書、◯◯の法則のように、偏在する知識を一つのパッケージにして提示する。
『入社1年目の教科書』
『億万長者専門学校』
8.ストーリー型
体験談であることを伝える。体験談の電子書籍では、このパターンが使いやすそう。
『ダーリンは外国人』
『ツレがうつになりまして』
9.比較、列挙型
勝ち組負け組を並べたり、対になるものを並べたりする。
『金持ち父さん 貧乏父さん』
『話を聞かない男 地図を読めない女』
『ゾウの時間 ネズミの時間』
*ここでは著者名・出版社名を省略させていただきました。
9つの型に分けてみましたが、もちろん厳密に分かれるわけじゃなくて、組み合わさっていたり、ここに入らないパターンもあると思います。
キャッチコピーのアイデア出しをするときは、いろいろな角度から考える必要があり、こういった型が役に立ちます。
本のタイトルも、こういう型を使いながら角度を変えてアイデアを出してみるといいのではないでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?