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不思議の国のアベノマスク(1)

当然フィクションですが、タイトルで不愉快に感じる方は読まないでください。読んでる途中で、違うなと思った方も、その時点で(本気で怒る前に)読むのをやめてくださいね。
一方で、もっとこうしたら面白くなるというアイデアがあれば、どんどん、加筆・修正して、勝手にあげちゃってかまいません。

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ある昼下がり、静かな自宅のリビング。
アベノマスクは妻と一緒に、お茶を飲んだりペットの犬をなでたりテレビを見るふりをしていましたが、本当はすっかり退屈していました。
そんな時、アベノマスクは小太り眼鏡の白うさぎが大きなスマホでSNSを見ながら走り去るのを見て、必死で白うさぎを追いかけました。
ところが、白うさぎを信頼して追いかけたアベノマスクは、大きな穴に落ちてしまいます。

一番下まで落ちると、そこは奇妙な部屋で、小さな布製マスクがありました。
アベノマスクが付けるには小さすぎるので悩んでいたところ、テーブルの上には小瓶とメモ用紙があって、「みんなに配ればパッと解決」と書かれていました。
アベノマスクがそれを飲むと、顔が小さくなってサイズがぴったりになりました。
マスクがフィットしたアベノマスクは、奇妙な部屋を出ようとしますが、鍵がありません。
困っていると、目の前で不織布マスクが大量に大安売りされていました。
その箱には「私を付けて」と書かれていたので、アベノマスクもそれを付けると、面の皮がどんどん厚くなって、困ったアベノマスクは泣き出して部屋は水浸しになりました。
このままでは危ないと思ったアベノマスクは、布製マスクを付け直したのでした。

流れ着いた海岸では、検事長や新聞記者たちが「黒川杯」をしていました。
アベノマスクも仲良しだったので一緒に遊ぼうと思いますが、白うさぎを見てまた追いかけます。

その途中で、アベノマスクは教育熱心な夫婦に出会い、遊びに誘われます。
あまり関わりたくないと思ったアベノマスクでしたが、二人は「教育勅語」を持ち出して懐柔し、アベノマスクの妻と仲良しになります。
三人で遊び始めたのを見て、あとは近畿財務局がよろしくやるだろうとその場を離れたアベノマスクは遂に白うさぎの家にたどり着きました。

白うさぎに「この原稿を読んで」と言われて読んだアベノマスクは、またしても面の皮がどんどんと厚くなります。
そこへ秘書官が現れて「支持率をアップする」と、環境大臣に「ゴミ袋に感謝のメッセージを書こう」と発表させるも、「大臣の仕事はそこじゃない」と冷笑され、それっきり大臣は行方不明になってしまいます。

秘書官が支持率を挙げようと躍起になっている間に、アベノマスクは給付金の特定世帯を特定できないまま、全世帯にすることでその場を切り抜けて、また白うさぎを追いかけます。
秘書官はにやにや笑いを浮かべて、消えてゆきました。

逃げた白うさぎを追いかける途中で、アベノマスクは「桜を見るティーパーティ」に迷い込みます。
そこにはお金で集めた沢山のお友達が待っていてくれました。
遠くから来てくれたお友達は前日からホテルに宿泊して、チャーターされたバスで朝一番で駆けつけてくれたそうです。
ホテルでは前夜祭も開かれて、楽しく過ごしました。ホテルは特別なお客様に特別な価格で接待しましたが、せっかく出席者ひとりひとりのために大量に手書きされた領収書はみんなどこかへ消えてなくなってしまいました。
募ったが募集されたわけでは無い人々は、アベノマスクを友達と勘違いして、一緒に写真を撮ったりして楽しみましたが、自分たちの方が利用されていることは気づいていませんでした。

お花畑を後にしたアベノマスクは、次に年老いた芋虫と話します。
そこで「東京オリンピック、やめませんか」と言ったところ、芋虫の逆鱗に触れてしまいます。
蝶に変身した芋虫が「1年延期ならいいよ」と言うのを聞いて、やっとウィルス対策をやる気になったアベノマスクは、また現れた、にやにや笑いの秘書官に促されて、お友達とのティーパーティに出かけます。

ふと見ると、家にいたはずの妻は旅行に行き、お友達とレストランの外でティーパーティを開いていましたが、アベノマスクは白うさぎを追いかけるのに忙しくて、気づかなかったフリをして通り過ぎました。

いかれ防止屋のネットユーザーたちは、ネットで「なんでもない日」を願って歌とダンスを共有して楽しんでいました。
アベノマスクは白うさぎの行方が知りたくて参加しますが、全く彼らのやっていることのコンセプトが理解できず、話しが通じません。
そこへ突然、白うさぎが乱入してきましたが、ネット・ユーザーたちから
「対策が遅い」と時計を壊されてしまいます。
少しは懲りたかと思ったのも束の間、白うさぎは「保身、昇進」と言って、また走り出しました。
アベノマスクは、もう白うさぎを追いかけるのが馬鹿らしくなってきました。

庭の生け垣の迷路で、アベノマスクは公文書に黒いペンキを塗っている官僚に出会います。せっかく書いた議事録をシュレッダーにかけたり、ハードディスクを壊そうとしている官僚もいました。
アベノマスクは、「どうしてそんなことをするの?」と聞きますが、官僚は「あなたの嘘を本当にするため」とだけ答えて、黙々と作業を続けます。
アベノマスクは、意味が分からないという顔をして通り過ぎると、竹の中の女王に出会い、持続化給付金ゲームに招待されます。
それは、税金を使って中小企業に資金を運ぶというシンプルなゲームでしたが、プレーヤーが次々とパスをつないでいくと、パスをするたびに手数料が発生して総額が目減りするという、おかしなゲームでした。
アベノマスクは「ルールが複雑で良く分からない」とさじを投げますが、それが原因で裁判にかけられてしまいます。
アベノマスクは、最初は自分の味方かと期待した裁判官が「総合的に判断した」としか口のきけないロボットだったことが分かり、だんだんイライラしてきました。「やっぱり頼りになるトランプ兵のブラック・リバーがいないとダメだな」とつぶやいても、ブラック・リバーは退職金さえもらえれば、もう、こんな危ないゲームにはかかわりたくありません。
「民度だ」「青い飛行機だ」「赤いライトだ」「持ち逃げだ」なんだと自分の手に負えないことを皆が一斉に話だすのを聞いて、アベノマスクは「早く外国に行きたい」との思いがつのり、ついに「閉会だー!」と叫びます。

ふと気が付くと、アベノマスクは妻と一緒にリビングにいました。
芋虫を思い出して「東京オリンピックはどうなった?」と言うアベノマスクでしたが、妻に「あなたは夢を見たのね」と言われ、無添加無農薬のお茶会に誘われるのでした。

つづく?


写真の使用許諾に感謝します。
Photo by Jan Kaluza on Unsplash