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T's BAR 73夜 TUBES

The Completion Backward Principle / TUBES

80年代に素晴らしい音楽を残したにもかかわらず、驚くほど知名度がありません。アメリカのチューブスです。

このアルバムを初めて聴いた時、これは掘り出し物を見つけたと小躍りしました。おそらく、誰よりも早く才能に気づいたのは私だと。
ただ、当時は彼らについての情報が手に入らず、レコードから聴きとるしかありませんでした。

ジャケットは、マイク・オールドフィールドさんの「チューブラベルズ」をパロディ化しているのでしょうか。上手くデザインされ過ぎていて、ジョークだとしても笑い所が分かりません。

デビューアルバムは、アル・クーパーさんがプロデュースしていましたし、その後のアルバムにはトッド・ラングレンさんが手がけたものもあります。
この「The Completion Backward Principle」に至っては、クレジットにデビッド・フォスターさんやスティーブ・ルカサーさんの名前が見つかります。
バンドの主体性は、どうなっているのでしょう?
時代とともに変幻自在に変化する、プロ集団なのでしょうか・・・?
実体が分からないまま気にしていると、YMOとからんだり、オリビア・ニュートンジョンさんと一緒に歌ったり、意外なところでバンド名を聞くことがありました。節操がないというか、器用というか・・・。
彼らが奇抜なスタイルで悪ふざけのようなライブを繰り広げるバンドだという文字情報には接していたものの、本当に良く分かりません。
米米クラブとか、爆風スランプみたいな立ち位置なのかな、と勝手に想像していました。
何しろ、音楽だけ聴いていれば、かなりマトモというか、相当なハイ・クオリティなのですから。

かなり気に入っていたのですが、その後、何年たっても彼らはメジャー・シーンで活躍することも、日本で話題になることもありませんでした。
まあ、私の先見性もこんな程度です・・・。
でも、商業的に成功したかどうかは別として、チューブスは良いバンドでしたし、楽曲も良い出来でした。
音楽好きでこのバンドを知らないのは勿体ないと、今でも思います。

このアルバムは、AOR的でもあり、産業ロック的でもあり、ニュー・ウェイブ的でもあり、80年代前半の音楽を幕の内弁当にしたような名盤です。