T'S BAR 102夜 THE VELVET UNDERGROUND
The Velvet Underground & Nico
いろいろな音楽を聴いても、必ず帰ってくるアーティストのひとつが、ヴェルベット・アンダーグラウンドです。
この時代のニューヨークに行くことができたら、どんなに素晴らしいだろう。
時間も空間もリアルに交わることはできませんでしたが、それでも、自分の芸術に対する態度を形作ったのは彼らからの影響だと思えます。
このアルバムに収録されている名曲「Femme Fatale(運命の女)」は、ニコ のことではなく、その頃、アンディ・ウォーホル の映画によく出ていたモデルの イーディ・セジウィック という方のことなんですね。
ウォーホル と一緒に写っている写真などはとてもキュートで、心を病んでいたとは思えませんでした。(というか、みんな病んでた。)
ボブ・ディランに心変わりしたことで、ファクトリーからは離れてしまったようですが、ドラッグの過剰摂取で亡くなったときは、まだ28歳だったとか。
このアルバムを良く聴いていた当時は、ファクトリーに関連する写真でしか知りようが無かったのですが、彼女は若かった私にとってもある意味 Femme Fatale で、好きな女性のタイプの原型になった気がします。
(今思えば、17歳から10年間お付き合いして、結局別れてしまった女性が似ているんだなぁ。)
半世紀近く前の日本の子供が、60年代ニューヨークのアート・シーンをちゃんと理解などできているハズは無く、イーディさんについての思いも、ほとんど妄想のようなものだったでしょう。
今は、彼女の映画などが入手できるようになって、昔とは違った側面というか、辛い真実に迫った情報にも接することができるようになっていますので、いつかちゃんと向き合ってみたいと思っています。
60年代末、ウォーホルは「未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」と言いました。そして、その未来は今、現実になったように思えます。
実はその後「15分で有名になれるだろう」と言い換えてもいますが、どちらにしても当たっていますね。
ヴェルベット・アンダーグラウンドを聴いていると、どんどん話が脱線できてしまうのですが、今夜は イーディ・セジウィック に浸ることにします。
このアルバムは、死ぬまでに、また何度も聴き返すことでしょう。