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T’s BAR 114夜 ORCHSTRAL MANOEUVERS IN THE DARK

Organisation  /  ORCHSTRAL MANOEUVERS IN THE DARK

80年代初期、正体不明のバンドにもかかわらず、彼らのシングル「エノラ・ゲイの悲劇」は、やたらと流れていました。
こんなポップで能天気なサウンドに載せて、原爆を投下したB-29爆撃機を歌うなんて、どういう神経なのかと思っていましたが、毒を笑いに包むモンティ・パイソン的な諧謔精神ととれば許せなくもありません。

当時の世界は、アメリカとソビエトの冷戦下にあり、イギリスは、サッチャー政権でギスギスしていました。
このアルバムが発売された2年後のことですが、イギリスから遠く離れたフォークランドで発生した紛争を一瞬で戦争状態にしたような政権です。
バンドが何等かのメッセージを込めて制作したと考えても不自然ではないでしょう。

ヒット曲はディスコでもかかるほどポップでしたが、アルバムはクラフトワークから続くエレクトロの流れを継ぐものという感じで、バンドとしてもニューロマンティックの仲間ではなさそうですね。

程よくアーティスティックで、ポップなヒット曲もあるという、この中途半端な立ち位置が良かったようで、当時はずいぶんと繰り返し聴きました。

でも、クラフトワークほどの革新性も無く、徹底した一貫性も無いことは、今になってみると魅力とは言い難く、なによりもこの音色のせいで、今聴くのはちょっと退屈を感じてしまいます。
好きだったんだけどなぁ。