150夜 30 / ADELE
彼女が歌い出した途端に、その場の空気が変わりました。
「19」「21」「25」と、素晴らしい作品を送り出してくれていたアデルの6年ぶりとなるフルアルバムです。
もう新譜は望めないのではないか、出たとしても過去作を上回るのは難しいだろう、なんて思っていましたが、1曲目から耳を持っていかれて作業中の手が止まりました。
私の中では、現役女性ヴォーカリストのトップに返り咲きです。
心を揺さぶる声は相変わらず、歌唱力にはさらに磨きがかかって深さが増したようです。
楽曲も彼女の歌が最も強い武器であることを理解していて、奇をてらわず、スタンダードな作りになっています。
変わり映えがしない、と言うこともできそうですが、これが彼女のストロング・スタイルなのです。
過去作と同様に、これから先も長く再生され続けることでしょう。
アルバムとしてのバランスを考えてか、バラエティ感は持たせていますが、前半と後半のスローナンバーに彼女の真骨頂があります。