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卵が嫌い

別にアレルギーがあったとかではなく、昔から卵が嫌いだった。
どうして卵が嫌いだったのかわからないけど、記憶にあるのはゆで卵の白身が喉につっかえたことで嫌いになったんだろうと推測する。

自分から好んでは食べない。単体で食べることができない。
給食やお弁当に入っていて仕方がなく食べるというかんじだ。
味わうもへったくれもない。
完全栄養食なんだろうけどそんなの気にしちゃいない。

みんなは毎日のように食べているみたいだが、私は本当に食べなかったし作らなかった。

娘が高校生になって毎日のお弁当を作るのにやっぱり卵焼きが入っている方が良いのかと思って、卵焼きを作る四角いフライパンを買った。
娘は甘い卵焼きが好きだというので毎日のようにお弁当に入れた。
ある時、その作っている卵焼きがどうしても食べてみたくなって端っこの方を少し口に入れてみたら甘さも手伝ってか美味しく感じた。
『卵って美味しいんだ』40歳後半の気付き。

そうすると面白いもので、美味しい味玉を食べた時の記憶が甦ってきた。
スーパーのお惣菜コーナーでパートしていた時のこと。
「この味玉、賞味期限1日切れちゃったから食べていいよ」
店長が持ってきてくれた。
この時「卵を食べられないんです」とは言えず、とりあえずもらった。
バックヤードだったので、他のパートの人はもうすでに開けて食べている。
あまりに美味しそうに食べているから、なんだかつられて私も一口食べてみた。
「美味しい」
衝撃的だった。味玉を開発した人は誰だろう。お礼を言いたい。

それ以降卵好きになったわけではないのだが、時々卵を買っては自分で味玉を作るようになった。
目玉焼きも、しょうゆをかけると焦げた白身とマッチして美味しい。
私は卵嫌いを克服できた。
ずいぶん大人になってからのことだがやっぱり嬉しいものだ。

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