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八支則のヨーガ 4【プラーナーヤーマ】

プラーナーヤーマ 呼吸の統制

考えを瞑想に向ける技術としての呼吸法の練習。
呼吸は考えの状態と密接に結ばれており、一定のリズムで心地よく呼気と吸気とその間を保つ呼吸法が考えに瞑想の準備を整える。

『ヨーガって何?』パラヴィッデャーケンドラム

瞑想は、「さぁ、瞑想でもするか。どっこいしょ!」と急にできるものではなく、それなりの瞑想のムードを高めていくことが大切になります。

伝統的な瞑想のステップでは、瞑想の準備としてプラーナーヤーマ、呼吸法を行います。
具体的には、座る姿勢(アーサナ)を整えた後、ナーディーシュッディ(ナーディーショーダナ)と呼ばれる、片鼻呼吸を行います。

鍛錬としてではなく、瞑想前に考えを落ち着かせることが目的ですので、ハタヨーガのナーディーショーダナのようにクンバカ(呼吸の静止)を入れたりはせず(入れてもよいです)、吸う息と吐く息の長さも均等に、長さも3拍分程度と短めです。
それだけでも、5〜10往復ほど繰り返していると随分考えのザワザワや気持ちが落ち着いてきます。

また、呼吸だけを行うプラーナーヤーマと、呼吸をしながら考えの中でマントラを唱えるプラーナーヤーマがありますが、瞑想前に行うにはどちらでも良いとされます。

聖者ラマナ・マハリシは、

「私はプラーナーヤーマよりむしろ、プラーナヴィクシャナムを好みます」

と語っていたそうです。

プラーナヴィクシャナムでは、呼吸をコントロールしようとはせず、自然に起こっている呼吸の様子をしばらく眺めます。
深くてリラックスした呼吸、浅くて速い少し緊張した呼吸、どんな呼吸でもOKで、それをただ観察します。
呼吸は観察されると緊張して浅くなる性質がありますが、それもそのままにしておくと自然にリラックスした呼吸が戻ってきます。

瞑想に慣れてくると、プラーナヴィクシャナム、呼吸の観察を通してウパーサナとして「呼吸として現れているイーシュワラ」を想ったり、呼吸以外にも心臓の鼓動、内臓の代謝、体温などとして、「この肉体と重なって現れているプラーナに気づいている(目撃している)自分自身」を確認することで、ニディッデャーサナ(熟考瞑想)の導入としていくことができます。

鍛錬としてのプラーナーヤーマ

先に触れたクンバカなどを伴うプラーナーヤーマは、瞑想のための経典であるヨーガスートラではなく、『ハタヨーガ・プラディーピカー』など近代のハタヨーガの経典で紹介されるものです。

肉体の鍛錬を目的としたプラーナーヤーマを実践する場合、適切な先生の指導の下で行うことが大切だと思います。

呼吸法(プラーナーヤーマ)によるクンダリーニ・シャクティの覚醒を目的とした書籍やYouTubeなどもありますが、自分でコントロールできない状態、状況下でのクンダリーニ覚醒は身体的、精神的に危険を伴うものです。

アシュターンガ・ヨーガ(アーサナ・ヨーガの流派の方)でも、クンバカを伴う強度の高いプラーナーヤーマは、最低セカンドシリーズ以上を日常的に練習する人だけが行ってもよいとされているそうです。

ヨーガスートラを含むヴェーダの伝統の教えにおいては、クンダリーニとサマーディは関係がなく、むしろ「蛇(クンダリーニの比喩)には手を出すな」ということが先生たちによって言われます。

さらに言えば、サマーディの体験すらもモークシャ、解放自由には必須ではなく、普通の人が普通に理解できる知識によって得られるものがモークシャだと教えられています。

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