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テントはないが、キャンプに行く事にした

苦手な事や遠ざけていた事を突然やってみたくなる衝動が、40歳を過ぎたらやってきた。

子供の頃に1度食べて苦手だと思っていた食べ物が、何かのきっかけで大人になってから食べてみたら美味しいと感じて好きになったり、やっぱり苦手だなと感じる事と似ている気がする。

大人になった自分が、改めて好きかどうかの再確認といったところだろうか。

もちろんこれまでにも、こんな感情が無かった訳では無いが、以前よりも、心に余裕が出てきたのと、色んな経験をしてきて、一旦立ち止まってみたら、何となく出来るような気がしてきたのだ。10代の頃の何も怖いものがなかった無敵状態の自分とちょっと似ている。周りの同級生も似たような事を言い出して、40歳とはそういう歳なのだろうか?人それぞれだとは思うが、次の50歳に向かって生きていくのに、老後という文字もちらつき始める。

昔でいうと、もう40歳はあの世が見える年齢でもあったが、今は人生100年時代。まだまだ先は長い。とは言え、親を見ると動けるには限度があるなと冷静に思い始める。だからこそ、出来る事を、出来るだけ、出来るうちに、やってみたい思いも出てくる。

「20歳は、もう10代とは違うんだぞ!成人としての振る舞いを身に着けろ。」
「30歳にもなって‥‥、20代とは違うんだぞ!若者の見本となるように振る舞え。」
日本では、年齢で区切られて、誰かが作った年代別の装いをし、年相応と言われる振る舞いを求められてきた。年齢によってやっても良いこと、やったら恥ずかしい事が暗黙の了解で決められているように感じていた。

ところが30代半ばでスペインへ来たら、似合う似合わないなんて気にせず自分の好きな服を着て、やりたいことをするのに年齢は関係ないと言われ、将来よりもを生きている人達が住んでいる場所だった。間逆過ぎる考えに最初は戸惑いつつも、だんだん暮らしに慣れはじめ、そして迎えた40歳。
まだまだやりたいことが出来るんだ!と思ったら、「いまさら」「歳だから」「私にはもう」という言葉が消えていった。代わりに、「もう1回やってみようかな」「行ってみようかな」「挑戦してみようかな」という言葉が湧いてきたのだ。

泉のように湧き出した再確認したい事や躊躇して出来ずにいた事の1つがキャンプだった。

ハイキングが趣味となった今、時々見かけるキャンパーが気になっていた。こんなところで泊まれたら気持ちいいだろうなあとは思うものの、実行するまでには至らなかった。

では、なぜ今なのか。

実は、日本でもキャンプが流行っているというので、調べてみると数々の便利グッツや、おしゃれな道具や服装。テントを彩るデコレーションに、美味しそうなキャンプ飯の数々‥‥凄ーい!と思いつつ、ざっくり生きてる私には無理だ、こんなの出来ないと、あと一歩を渋らせていた。

そう言えば、スペイン人はどんなキャンプの仕方をしているのだろうと、ふと疑問が湧いてキャンプ経験者に話を聞いてみた。
「テントを飾ったりしないし、近くにあるハイキングコースを歩いたりして軽く体を動かしたら、後はパンにソーセージ挟んで食べるのよ。そしてテントで寝るだけだよ。それが凄くいいのよ。」実にシンプルだった。

これなら出来そうと思った。そして大人になった今だからこそ、ある程度はお金で解決出来ることもある。

今まで苦手だと思ってきた理由は、過去のキャンプ体験が小学生の時で、夏休みの地域交流会だったこともある。知らない人とグループを作られ、全員参加のレクリエーション、与えられた寝袋の寝心地の悪さ、決められた食事などがあった。団体行動が私は苦手なんだと気付く前で、みんなが参加するから、自分も参加するものだと思っていた頃である。

今なら自分で決める事ができる!自分が居心地のいいと思う人達と、食べたい食事を作って、快適なテントで寝ることが出来るのだ。そう気づいてからは気持ちが楽になって挑戦してみたくなったのだ。

与えられた苦手な事に挑戦するのは苦痛だが、自分からやってみようかなと思った時は何かを克服できるサインなのかもしれない。そして、自分でやると決めないとなかなか前に進まない。だから来月実行すると決めた。

キャンプグッズは、何一つ持っていなかったので、ネットで探しつつ、ぶらりと立ち寄ったスポーツ用品店で安売りに出ていたテントと椅子を買った。まだまだ準備するものはあるが、まずは最初の一歩である。

北スペインではテントを張れる場所が決まっていて、無料のキャンプ場はかなり少ない。殆どが有料で特にビーチサイドは早めに予約をしないとすぐに埋まってしまう。環境保全の観点からあえて有料にして、人数制限などをしてコントロールしているのである。

場所はもう決めてある。
ハイキングをした時にここに泊まってみたいと思った場所で、国立自然公園に指定されている野生動物が生息する山の中だ。

さて、私はキャンプは好きになれるのか、やっぱり苦手なのか‥‥

正直、老後あの世もちらつかない訳では無いが、まずは年齢に縛られないを生きるスペインスタイルで50歳まで駆け抜けてみようと思う。

将来、自分の人生を振り返った時に、自分の好きで溢れている事を信じて、再確認と挑戦は続けていきたい。

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