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心を読むiPhone

初日中止。

その一報が届いたとき、胸が張り裂けそうだった。

同時に思った。
わたしが行く予定の2日目はどうなるのか。
開催するとなっても向かってくる台風を越えて東京から現地へ行けるのか。

哀しみと不安と焦燥とでぐちゃぐちゃになった心を抱えて眠れなかった。

いま、わたしは晴れ渡る広島の空の下にいる。

予定してた飛行機が予定通りに飛んだのは、奇跡か。


朝からそれはもう胃をキリキリさせながら、開催可否の連絡を待っていた。

開催予定。の文字に、また胃をキリキリさせながら飛行機の運行情報とウェザーニュースを何度も見た。

ANAのサイトは「定刻」の表示を出し続けていた。

飛行機が飛び立ったとき、涙が滲んだ。

ポルノグラフィティの故郷、因島で開催されるアニバーサリーライブ。

その会場に刻々と向かっている。これは現実?

・  ・  ・

飛行機に乗るときはいつも音楽を聴いていて、もちろん今回はポルノグラフィティを流した。

iPhoneでアーティストを選択して、シャッフルを押す。

流れてきたのは、夕陽の色。
空の歌は毎日の天気予報にやきもきしてきた身にしみた。

そして、そらいろ。

「いつでも見上げる空色はふるさと」

まじか。

彼らのふるさとへ向かっているときに。これはやばい。

そして天気職人。

こんなん震えるわ。

全ポルノファンが切にお願いしてた空を青色に塗ってくれる天気職人さん。

iPhoneて心読めるん??と思いながら、約1時間のフライトは順調に進む。

そして機内アナウンスが流れた。

「投機はまもなく広島空港へ向かって降下を始めます」

その直後、昭仁は高らかに歌い出した。

アクセル全開で 君に会いに行くよ
ハンドル握る手に 力がみなぎるぜ
渋滞も信号も苦にはならないよ
真っ直ぐ行くぜ わき目もふらないで

キミへのドライブ/ポルノグラフィティ

たしかに向かってるよ…飛んでるけど。
(本来は彼女を怒らせた彼氏が車に飛び乗って…という曲)


単純に気持ちにリンクした曲に意識が向くだけでしょ。
と、思うかもしれない。

侮るなかれ、わたしのライブラリは400曲近くポルノグラフィティである。

もしかしたら、わたしはiPhoneを所有しているけれど、その実iPhoneに操られているのかもしれない。

・  ・  ・

初日参戦の人たちを思うとやりきれない思いで手放しで喜べないけど。

彼らにとって大切な大切な故郷公演ができるのは本当に良かったと思う。

どうか無事に。それだけ。

sami.

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