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【1分で読める】それをお金で買いますか ー 市場主義の限界

世の中にはお金で買えないものがある。だが、最近ではあまり多くはない。いまや、ほとんどあらゆるものが売りに出されているのだ。
いくつか例を挙げてみよう。

序章 市場と道徳より

今回は、「ハーバード白熱教室」や、「これからの正義の話をしよう」などで有名な、マイケル・サンデル氏の著書「それをお金で買いますかー市場主義の限界」について要約と感想を書いていきます。
(主観を含んだ要約になっていることをご了承ください。)



【1分で読める】要約

「市場勝利主義」を平易な言葉で言い換えるならば、
「この世の全てを商品として扱う自由競争社会を望む思想」
ということになるのではないか。
そんな社会の実現には以下の2つの観点から心配が付きまとう。

その1つ目が不平等(不公平)の観点である。
商品として扱う"モノ"が増えると、お金と交換できる"モノ"が増える。
そして、お金の価値がより高まる。
その結果、お金を"持つ者"と"持たざる者"の間に存在した不平等が、
より痛みを伴って大きくなる

また、2つ目が腐敗(堕落)の観点である。
「愛はお金で買えるか」といった議論のように、商品化することによってその品位が堕落してしまう"モノ"もこの世には存在する。
それは、「善き生」に関わる"モノ"(例:愛、友情、命など)や公共性の強い"モノ"(例:選挙の票数、公共施設の命名権など)などである。

これらの観点による心配を防ぐには、
商品化して良い”モノ”と商品化してはならない”モノ”といったように、
商品化の線引きが必要であるが、
個々人が感じる境界線は異なるため、容易ではない。

従って、昨今の市場勝利主義社会においては、
これらの観点における道徳的議論が必要である。
そして、この議論は不足している。
我々が実際に触れることができる、身の回りの問題であるにも関わらず。


この本から得た考え

資本主義的な考え方は、
(資本主義が最適な考え方かどうかはさておき)
経済成長にとって必要であることは間違いない。

しかし、人生において「善き生」を追い求める以上、
道徳的な判断基準を捨ててはならないし、
道徳的な線引きを常に意識していなければならない。


感想

最近まで、人生から制御不能なものを省きたいと考えていた。
例えば、
「レジの待ち時間は制御不能なので、課金制にして並ばなくても良いレーンを作ればよいじゃないか(≒行列を避ける権利の商品化)」といった具合に。
そのため、
どちらかと言えば、市場勝利主義的な価値観を持つ人間であると思う。

本書においても、行列を避ける権利のような具体例が数多く登場し、
それぞれについて、どのような観点において問題なのか、
「なんとなくダメじゃない?」という感じていた部分まで、
明瞭に説明している。

その中で、自分に道徳的な観点が欠けていたことを感じた。
そして、少なくとも自身の中で、道徳的な線引きについて、
議論できるような体勢でいる必要があると感じた。


(なお、その上でも、行列を避ける権利の商品化は良い案だと思う
 ケースバイケースだが。)


今週の一曲

トウキョウ・シャンディ・ランデブ
 /MAISONdes feat. 花譜、ツミキ

ツミキっぽい、キャッチー過ぎる一曲。
サビがフライディ・チャイナタウンにしか聞こえない。

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