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私の100冊③~古典篇①~

時間が空いてしまいましたが私の100冊を続けます。前回はこちらです。


今日は古典篇その1です。何が古典なのかは適当なので、「これは古典じゃない」「こっちが古典に入っていないのはおかしい」とお考えの方はぜひご自分の古典篇を作ってください(そしてよかったら教えてください)。


16.吾輩は猫である(夏目漱石、KADOKAWAなど)

漱石の猫です。小学生の時に親に買ってもらって読みました。といっても当時はよくわからず、何年も読んでいるうちに少しずつわかるところが増えていったという感覚です。ストーリーが続いていくというよりは、個別のエピソードがたくさんある感覚の本で、わかるところだけ拾って読めるので小学生でも楽しめるかもしれません。苦沙弥先生を猫が(心の中で)やりこめているシーンが楽しくて、漱石も楽しく書いていたのではないかと思います。近代文学は特に女性の扱いが「うわあ」となることも多く、これから読んでどう感じるかは私自身にもわからないですが……。


17.カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー、新潮社など)

これはもしかしたら私が生涯に読んだ小説ベストかもしれません。ドストエフスキーはやたら難しいと思われがちですけど、カラマーゾフはキャラが立っていて比較的読みやすいと思います。大学時代に『罪と罰』を読んで、「なにこれすごい!!!」と思ってすぐ本屋さんに行ってカラマーゾフを買いました。『罪と罰』は最初の部分を読むのがしんどいのでね……ドストエフスキーはじめてなら実はカラマーゾフがおすすめです。神について、人間について、こんなに考えている人がいるんだな、と思いました。正直初回読んだときは「大審問官」のところはあまりよくわからなかったんですが、何回か読んで、一行ごとに頭をがんがん殴られているような衝撃を受けました。私が一生懸命考えても、この人の考えにはまったく足元にも及ばない、と思うことが幸せでした。イワンが好きです。


18.不思議の国のアリス(ルイス・キャロル、岩波書店など)

子供向けと思われがちな気がしますが、論理を逆手に取ったジョークは大人になってからでないと味わいきれないと思います。大人になってから読むと「そういうことか!」とわかって楽しい。数学とか論理に興味がある人、みんな読んだらいいです。いつか全部英語で読みたいです。


19.動物農場(ジョージ・オーウェル、早川書房)

オーウェルは最初に『1984年』を読んで、後味が悪いので読んだのを後悔したんですが、懲りずに動物農場も読みまして、後味が悪いので後悔しました。しかしそれでも面白いです。これはロシア革命とソ連を風刺していると言われますし実際そうだと思いますが、しかし権力は社会主義政権に限らず普遍的に腐敗するので古臭くなっていません。「自分の理想がいつの間にか変質している」というテーマに読むこともできるし、やはり今でも読まれるべき本だと思います。


20.すばらしい新世界(オルダス・ハクスリー、光文社)

ディストピアものをもう一つ。こちらはどちらかというと、中にいる人が幸福を感じているタイプのディストピアです。『1984年』(ジョージ・オーウェル)のディストピアはちょっとしんどそうだけど『すばらしい新世界』の中では暮らしていけそうかなと私は思ったんですがどうでしょう。今私たちがいる世界もユートピアだとはまったく思えませんし、よりましな世界で生きている人(未来人とか)にとっては私たちの世界も十分すぎるほどディストピアです。早く哲学的ゾンビになりたいなと思っているんですが、この『すばらしい新世界』も悪くなさそうです。


21.ガリヴァー旅行記(スウィフト、岩波書店)

ガリヴァー旅行記もよくダイジェスト版が子供向けの本に入っていて、あの小人がガリヴァーを縛っているシーンだけ知られてるんですけど、全部読んだ方がいいです。風刺小説なんですよね基本的に。だから当時のことを知らないとわからない部分もあるんですが(注がついてます)、当時のことを離れても楽しめます。ディストピアものとして読むこともできますし、あとは星新一のショートショートのブラックな部分が好きな人が読むといいかもしれません。現代も人間嫌いの人間ってたくさんいるじゃないですか。でもガリヴァー旅行記の人間嫌いにはなかなか追いつけない。「神はなぜ人間を放置しているのか」という問いをドストエフスキーと同じくらい考えられる人間がなかなかいないように、「人間ってクソじゃない?」という問いをスウィフトくらい考えられる人もなかなかいません。そういう巨大な「考える人」に会えるところが古典の楽しさだと思います。


あと79冊(!)。次回はあまり間が空かないうちに更新したいです。ではまた次回に。

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