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『図書館でお腹が鳴りそうなのを防ぐ術の伝道』の回

図書館の自習スペースを使い始めたばかりのとき、わたしの頭の中は『みんな~。おれ勉強してるよ~。難しそうな内容の勉強してるよ~。みんな~』といったような愚かな考えに支配されていた。図書館ミーハーだったころのわたしは、図書館で勉強している自分に完全に酔っていた。しかし普通に考えて、図書館の自習スペースなんて「自習スペース」という名前が付いているほどであるから、みんな勉強するために使っている。そんなことは当たり前であるにもかかわらず、図書館で勉強するといった行為になんかこう、めっちゃ勉強してる感というか、わざわざ勉強しに来てていつもより勉強してる感があるというか、とにかくそんなよく分からない勉強してる感をわたしは感じていた。要は勉強してる感。ただ、初めこそ勉強してる感に酔ってはいたが、図書館では適度に周囲の視線があり、すぐに横になることもできないため、次第に家よりも集中して勉強できるようになっていった。

しかし、図書館での勉強には集中を阻害する危機が潜んでいる。それはお腹の音。朝から勉強をしていると、わたしの場合はだいたい10:30ぐらいにお腹が鳴りそうになるファーストインパクトが訪れる。こんな静かな空間でお腹の音が鳴るなんて恥ずかしい・・・。でもそんなとき、わたしはお腹の音が鳴ってしまうのを防ぐ術を心得ている。そう、それは至って単純明快な方法、思いっきりお腹をへこませるといったものだ。お腹をへこませることによって、あの「鳴るよ~、鳴るよ~、鳴るよ、鳴るよ、鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ」といった、だんだんとお腹に迫ってくる空腹感を「クウゥゥゥン」と吸収するような感じで抑えられるのである。これができるようになってから、わたしは何も恐れることなく図書館での勉強に集中できるようになった。・・・いや、まだ恐れるものが一つ残っていた。それは屁。あれは毎回なによりもスリリング。クラッシュバンディクーの上から岩が転がってくる強制スクロールのステージよりスリリング。

ただ、そんなお腹が鳴らないようにする術を心得ていても、たまに来る超ド級のお腹が鳴りそうな感じには要注意だ。『あ、お腹が鳴りそうやな』と思いお腹をへこませていると、「鳴るよ~、鳴るよ~、鳴るよ、鳴るよ、鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ鳴るよ」「いや、まだ来んのかい!」と、吉本新喜劇の「乳首ドリルすんのか思ったらせんのかい!」というぐらいに焦らされることがある。そうなるともうね、ひたすらにお腹をへこませ続けて耐えなければならない状況になりまして。すると次第に腹筋の限界が近づいてプルプルしてきまして。でも緩めた途端に特大の一発が来そうで来そうで。ただひたすらに自分の腹筋の筋力が試される、そんなときがたまにあるのです。そしてたまに根負けして鳴ってしまうときがある。グゥーーーキュルキュルキュル。「すんのか~い」ならぬ「鳴んのか~い」。鳴んのかい・・・。




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