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ゴッホ展 響きあう魂 へレーネとフィンセント@東京都美術館

東京都美術館で開催していたゴッホ展に行ってきた。

私は絵が得意でも詳しい訳でもないが、1年に2〜3回は美術館に足を運ぶ程度に、絵画鑑賞をするのが好きだ。

ゴッホ展に行こうと思ったきっかけ

今回行こうと思ったのは、ラジオでゴッホ展のことを紹介していたからだ。

オランダの美術館から借りた作品を展示していて全世界を巡っているから、次いつ見られるか分からないという話が印象的で、見に行きたいと思った。

あとラジオリスナーとして日々、浜辺美波が宣伝してるCMを聴いていたのもあり、身近に感じていたこもあった。

あーこのゴッホ展はすごく貴重な展示会なんだとそのときに思った。

今回の展示会を通じて思ったのは、絵を鑑賞している間は他のことは一切考えずに、ただ目の前にある絵だけに集中することができる。そして説明や絵を通して、想像を膨らませることができる。

それがすごく心地よいと思った。

今までももちろんそうやって作品と向き合って鑑賞はしていたのだけど、その当たり前のことに気づいていなかった。
大きな進歩かもしれない。

絵画鑑賞という行為自体も、高貴な感じがして自分がなんだか賢くなったかのような気分になれるので心地よさもある。

思い立ってチケットを予約

そしていざ行こうと思い、オンラインでチケット予約をしようとしたら、かなりの人気で全然予約が取れないという状況になった。

日付指定で21日前から予約ができるということで、ぎりぎりの展示会最終日になんとか予約をすることができた。

ゴッホ歴代の作品

実際に行ってみて、行ってよかったと思った。

ゴッホといえば、ひまわりが最も有名な作品であるが、それ以外でゴッホのことを私はあまりよく知らなかった。

今回のゴッホ展は、へレーネというオランダの富豪によって収集されたゴッホの作品を展示しているクレラー=ミュラー美術館から借りてきた作品を展示している。ゴッホが画家として作品を描き始めた27歳から、亡くなるまでの彼の生涯の作品が網羅されていた。

ゴッホのひまわりからは想像し難い、まだ色を使わずに、白いキャンバスに黒で書かれた農村の風景や、農家や養老院人物画など、彼らの生活のリアルを描いた、現実味のある質素な作品も多数展示されていた。

ゴッホは初めからひまわりのような作品を描いていたのではなく、初期は地味な作品を描いていたという事実に驚いた。

地味という表現は適切ではないかもしれないか、農村や農家の人々の厳しい暮らしなどを絵で表現し、日常をリアルに再現した作品であった。

フランスで作品を作るようになってからは、かなり色合いも鮮やかになり、ゴッホのひまわりのような、もしくはそれ以上に鮮やかな作品を描いていた。

でもその頃からゴッホは体調が思わしくなく、その頃には無くなるまであと数年になっていた。

私にはその頃の鮮やかな作品たちが、自分の命を削って描いているようにも感じた。

夜のプロバァンスの田舎道

最後の方には、今回の目玉となっている作品の
「夜のプロヴァンスの田舎道」が展示されていた。

これはゴッホがフランスのプロヴァンスで描いた最後の作品だという。

ひまわりに次ぐ作品を作りたいと思い、力を入れて取り組んだ作品のようだ。

糸杉と共に躍動感と迫力のある作品だった。背景のうねり模様のようなものが絵の中の景色が生きているかのように見せつつも、タイトルにある夜の田舎道の風景を落ち着きのある作品になっていた。

私はその作品をみていて純粋に素敵だし見ていて落ち着くなと思ったが、糸杉はどうやら死の象徴らしい。

というのも1890年に亡くなる1年前から、ゴッホが糸杉を用いた作品を繰り返し描いていたという。

この頃はもう精神的な病で療養所にいた時期であるから、死を隣り合わせに感じながら、作品を描いていたかもしれない。

死を感じるからこそ、これだけゴッホが魂を込めてこの作品に注いだのではないかと想像する。

それにしてもゴッホが画家となったのは27歳のときで、その10年後の37際に亡くなっており、非常に短い画家人生だったということに驚く。

ゴッホが亡くなった後に、彼の名前が世の中に知れ渡ることになったわけたが、これもゴッホの弟の夫人やその子供、そして今回の展示の題名にもあるへレーネというオランダの富豪が、彼の魅力に気がついたからこそ、こうやって世界中の人に支持される画家になったと思うと感慨深い。

今までは美術館に行くことはあっても、ここまで画家の人生や生い立ちを考えることはなかったから、私も少しは大人に近づいた気がする。

まあ年齢的にはそこそこいい大人ですが。

来年はフェルメール展があるようなので、そちらもぜひ行ってみたいと思う。

東京都美術館へ続く道
東京都美術館正面


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