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感情を捨てて核心をつかむ

人の文章に向き合ったときに、軽やかにその核心にアクセスしたい。

混合物から純物質を精製するように、情報の余分な要素を取り除けるようになりたい。苦手な言葉遣いや表現であっても、論旨には価値があるかもしれない。できることなら感情のさざ波を立てずに、純粋に論旨を得たい。 
そこで実際の精製について調べ、同じように文も精製できないか考察した。

精製とは

混合物を純物質にすること。
不純物を取り除き、単一のものにする。
仮に文における純物質が論旨であるとすれば、不純物とは何だろう。

文における不純物とは

不要な修飾語、
冗長な表現、
言葉の誤用、
単なる感情吐露、
余計な情報、
順序の混乱、
矛盾する内容、
迂遠的な言い回し、
効果のない比喩、
あいまいな主語、
平坦でつかみどころのない構成、
見通しにくい前後の文脈、
・・・・・
(まるで作文の授業のようだが)

いっそのこと精製の手法を使ってみる

精製にはいくつかの手法(出典:wikipedia、下記)があるので、多少こじつけの感はあるが文の要約に応用できないか検討してみよう。

精製1:再結晶
化合物を溶媒に加熱して溶かし、冷却したり溶媒を蒸発させたりすることでより純度の高い結晶を得る精製法。
 文を再結晶する:すべての語句をバラバラにして、再構成する。

精製2:蒸留
液体の化合物を加熱し、一度気体にしたのち凝縮させる精製法。
 文を蒸留する:主語と述語だけにする。その後、はずした言葉から必要なものを再度加えていく。

精製3:再沈殿
化合物の溶けた溶液と化合物をあまり溶かさない溶媒(貧溶媒)を混合することで目的の化合物を沈殿として得る精製法。
 文を再沈殿する:主語と述語だけにした文と、元の文を並べて比較し、それらを混ぜ合わせた第三の文を作る。

精製4:昇華
固体の化合物を一度気体にしたのち再び固体として行う精製法。
→ 文を昇華する:文体を変える。丁寧語にしたり、別の言い方にしたり。自分で読みやすい形に変換する。

精製5:カラムクロマトグラフィー
シリカゲル等との親和性の差を利用した精製法。
→ 文をカラムクロマトグラフィーする:自分で同じ趣旨の文を書き、比べてみる。

気をつけたいこと

書き手の感情を考慮しない。それを読む自分の感情を持ちこまない。
精製の手法は、淡々と機械的に。雑文の雑味を取りのぞいて、平明な文にすること。

ちょっと近道?

「そんな面倒なことをせず、AIにやらせればいい」という指摘もあるかもしれない。チャットAIなら「以下の文を簡単に要約、箇条書きにして」とプロンプトすればいい。
試しに、私の文章をチャットGPTで簡略化(いわば自動精製)してみてた。一見するとよくまとまっているが、じっくり読むと主旨が変わっていたり言葉が適切でなかったり、おかしな部分が多いことに気づく。このようにAIを使っても不完全な要約になる恐れがあり、結局は確認作業が必要となる。場合によっては手作業の方が早いかもしれない。

手作業の良さ

確かに、この精製の手法はかなり手間がかかる。数学なら手計算だろうか。なるべくなら暗算を用いたい。つまり文と対面したときに精製手法で書き出さずとも、頭の中でそれに似たようなことができれば、目的は達成できる。
その前提として、一度はこの手法を使い、文を手作業で精製してみたい。手作業を通じて得られるものは多いし、意外に楽しいかもしれない。

気分よく読み、伝わるように書く

今回の精製の手法、どのていど実効性があるかはこれから試そうと思う。
これは自分が文章を書くときの心構えとしても有効だろう。
より厳密に行うには、論理学、分析哲学、統計学などの手法を学ぶべきかもしれない。とは言え、フレキシブルに、多少は粗い解像度で情報に接した方が良さそうな直感がある。それに気楽な方がいい。

まずは読書やネット(特にSNS)などで、多様な書き手の文を感情的になることなく、論旨を的確にくみとれるようになれれば理想的だ。
(後日、成果や発見があればこの記事に追記していきます。)

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