#Reverb 34 マレーシアで和牛肉料理を楽しむのが困難な理由


困難であるからこそ、挑戦したくなります。


私の個人的な見解ですが「牛肉が好きな人は元気である」という印象を持っています。本当に個人的な見解なのですが、でもそう感じています。気力が欲しいなって思う時は牛肉を食べるようにしています。

今回の日本出張では西脇と言えば神戸牛。今回は久野さんのご案内で「究極の和牛」に出会うことが出来ました。


牛尽くしと聞いて、正直最後まで楽しめるか不安でした。なぜなら先ほど「牛肉が好きな人が元気な印象」と表裏一体ですが、「牛肉は元気な時でしか食べ続けられない」といういう印象があったからです。しかし、その予想は簡単に裏切られました。


今回、連れてって頂いたお店は「肉料理 樹」。


ここは神戸牛の生産者の経営のお店で焼き手のプロフェッショナルもおられるお店です。


通常神戸牛は育てた後、屠殺場で検査され市場でセリにかけられます。
セリというのは買い手が売り手を選びます、つまり、生産者は売り手を選べません。
生産者であっても、直接お客様に提供するなど許されない。そんな世界だそうなのです。驚かされました。
しかしここのお店「川岸畜産」様は違います。


セリにかけられた後、牛肉を自分達で買い戻します。どんな値段であろうと買い戻すそうです。そして納得のいく提供方を選びます。

天塩にかけて育てた牛。納得いく方法で美味しく食べてほしい。
川岸畜産様はそういうお店だそうです。

ここでの神戸牛。全然くどくない。だから九平治さんの日本酒にも合う。
牛肉料理なら肉ならビール欲しくなるところですがこの肉は普通ではありませんでした。様々な牛肉料理を日本酒と美味しく頂き、元気を頂きました。


ちなみにマレーシアという国は宗教用の理由で「豚肉」をメインで販売しない、料理に使わない、というのはご存知の方も多いと思います。実は特定の肉を食べないのは豚肉だけではありません。ヒンドゥー教や仏教の一部の方は宗教上「牛肉」を食べません。もちろん宗教上に制約のない場合は美味しく頂く方も多いです。


Hibikiは寿司屋なので、牛肉はあくまで「オプション」です。お寿司の前に和牛料理を提供することがあります。ばらちらしに和牛をアレンジしたこともあります。寿司屋なのに和牛にもこだわる理由。それは様々な日本食スタイルを楽しんでほしいからです。

同時にHibikiでは火を扱う場もお客様に見て頂けるようになりました。お寿司は魚をメインに扱う、とても繊細な料理です。今まで以上に煙や香りに気をつけていきたいと思います。

和牛はマレーシアでは人気ですが、しかし、神戸牛は手に入りません。私たちが満足するクオリティの和牛をマレーシアで常時提供するのはとても難しいです。それは宗教上の理由で食べれないひとと、和牛が大好きな人が混在するからでもあります。提供する場合は焦点を絞って提供することが重要です。そして制約もあります。日本でハラル認証のもと輸出できるのは、たった2つの屠殺場からのものしかないのです。
ライセンスを取るのにはさまざまな壁が立ちはだかります。



マレーシアでお客様に美味しい和牛を食べてほしい、そのためには自分はまず今何が出来るか。色々なことを考えながら、美味しく頂きました。
「肉料理 樹」、黒田庄に来た際は、外せないお店です。


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