東京という静かな激流のなかで
「いろんなものが目に入ってくるなあ」
会社からの帰り道、渋谷のスクランブルスクエアのエスカレーターをのぼりながら、交差の隙間から下に見えた本のポップアップスペースを見てそう思った。
ふと、なつかしい曲が頭のなかに再生されたのだった。「東京のまちにでてきました。」というフレーズ。ーーくるりの『東京』という曲の冒頭だ。
東京に出てきて5か月が経つ。「もう5か月も経っていたのか……」と、カレンダーアプリで週末の予定を確認して改めて気づく。彼と同棲をはじめたこともあり、職を探した