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【エンジニア対談】越境転職を経験した若手エンジニアに聞く“キャリア形成”と“成長機会”

雇用の流動化に伴い、職業選択の自由がより一層進む今、採用市場では「リカレント教育」が注目されています。その背景には、様々な業種でDX化が推進され、IT人材の需要が高まっていることや、働き手である個人の人生観やキャリア観が変わったことがあります。

特に20代では、自分の望むキャリアに合わせて成長機会を与えてくれる勢いのある産業や企業に異業種×異職種の横断をして「越境転職」する人が増えています。

参考データ:「異業種×異職種」転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速 (株式会社リクルート

今回は、越境転職経験を共通点に持つエンジニアである次郎山岡に、新しいキャリアを目指した経緯や成長につながったエピソードを取材しました。


iOSアプリエンジニア 次郎 Jiro (写真右)
新卒で専門商社に入社し5年間営業として、全道の農業に関わる企業や生産者に対して
経営課題の解決につながるソリューション提案に従事。
2023年8月にソルトワークスのエンジニア研修生として3ヶ月間カリキュラムの履修やOJT教育を経て、同年10月にiOSアプリエンジニアとして正式入社。

バックエンドエンジニア 山岡 Yamaoka (写真左)
建築業界の技術職、公務員を経て、2019年にSES企業でエンジニアとして一からキャリアを積む。その後、友人との共同起業を経験し、複数案件のフロント・バックエンド開発を担う。
2024年1月にバックエンドエンジニアとしてソルトワークスに入社。

20代で経験した越境転職のきっかけ


─── 異業種・異職種を経て、エンジニアになろうと思ったきっかけは何ですか?これまでの経歴も踏まえて教えてください。

次郎:僕は新卒で専門商社に入社し、営業職としてキャリアをスタートしました。深耕営業による折衝や関係構築を通じ、成約した際の喜びや達成感はありました。ただ、営業主体の会社だったため、社内でのキャリアパスには営業職以外の職種へのステップがあまりなく、他職種への転職を目指そうにも、今の環境や自身のスキルだけでは横の広がりが見えないと感じていました。

そうした理由から、もともとものづくりに興味があったことや、パソコンに触れるのが好きだったことをヒントに、モノを売る経験を経た次は、そのモノ自体をつくる技術を身につけ、日々手応えを感じられる仕事に就きたいと考え、エンジニアに絞って転職を決意しました。

入社5年目の終わりに、エンジニア転職に備えてプログラミングスクールに通うことを決め、潔く退職しました。周りからは「今から始めるのは無理なのでは」と反対されましたが、そのことばで反骨精神が醸成されて、絶対やってやると思いましたね。

─── 反対されたことがかえって成長の糧になったのですね。ソルトワークスを知ったのはそのころですか?

次郎:そうですね。いよいよ会社を退職して、通うプログラミングスクールを決めようと思っていたときに、高校・大学で同級生だった枠連からソルトワークスでエンジニア研修生を募集していることを聞きました。すぐにリファラル応募をして面接や性格適性検査を経て合格しました。今思うと本当にグッドタイミングだったと思います。

─── なるほど、何とも良いタイミングでの出会いでしたね。山岡はいかがですか?

山岡:僕がエンジニアになろうと思ったきっかけは「テレビドラマ」です。

公務員を辞めて、1ヶ月くらい仕事をせずに自由に過ごしていたのですが、そろそろ仕事を始めなければと思っていたときにちょうど再放送で観ていたドラマが「リッチマン・プアウーマン」でした。主演の小栗旬さんがエンジニアとして若くして成功を収めたIT企業の社長役を演じていたんです。

当時はプログラミングに触れたことがなかったのですが、意味のわからない不明な文字列(コード)をゴリゴリ書いている姿が純粋にかっこよくて、どんな世界観なんだろうと興味が湧きました。画期的なサービスをリリースして組織が大きくなっていくストーリーにも強く惹かれて、プログラマーやエンジニアという職に興味を持ちました。

ちょうどそのころ、情報系の大学に通っている友人がいたので、プログラミングの話を聞いて、次第に本格的にエンジニアを目指すようになりました。公務員も辞めたし、ひとつ挑戦してみようと決意してITの世界に足を踏み入れました。

成長の鍵は1年目でどれだけ手を動かせるか


─── エンジニアに転身しようと行動を始めて、取っ掛かりとなった習得言語を教えてください。

次郎:僕はiOSアプリ開発に用いる「Swift」から学び始めました。
そもそもエンジニア研修生がiOSアプリエンジニアを育成する目的で募集されていたので、必然的にとっかかりとなったという感じですね。スキル習得は、社内で用意されていた3ヶ月間の教育カリキュラムに加えて、動画(YouTube)を活用しました。

3ヶ月の研修期間はひたすら覚えたことをアウトプットしての繰り返しでした。自分で手を動かそうにもひたすらにエラーが出ていたのでつまずいたら先輩に聞いて、わからなかったことは持ち帰って学習を重ねました。

山岡:僕が最初に触った言語は「Java」です。エンジニアを志して入社したSES企業では入社後2ヶ月間でJavaの研修があったので、サーバーの基礎知識を身につけました。

初めてアサインされたプロジェクトは、研修期間に学んだサーバーサイドの開発ではなく、JavaScriptを用いたフロントエンドの案件でした。そもそも「JavaScriptって何?」という状態だったので、必死に自分で調べたり、コードを書いて動かしてみたり、業務と同時進行で学び、徐々に慣れていきました。

どんな案件がきても期待に応えられるよう腕を鍛えるために、同期メンバーと一緒にプライベートでいろんなシステムを開発しました。
たとえば、位置情報機能を活用した飲食店を検索できるWebサービスを開発したり、簡易的なSNSをPHPを用いて作ったりしました。これらの経験は、実際のプロジェクトに活かすことができましたし、自信にもつながりましたね。

プロジェクトの実務で自走できたときに初めて成長を実感

─── 技術の伸びを実感した瞬間はいつでしたか?

山岡初めて独力で要件通りにシステムを開発し納品を達成できたときです。
エンジニアになって2年目くらいからプログラマーとしては自走してできるようになっていましたが、その企業では分業制ということもあって、クライアントとの折衝や設計・要件定義といったSE業務はやったことがありませんでした。

それから2年くらい経ち、友人と二人で受託開発会社を共同起業しました。もちろん上司や先輩がいない状況だったのですが、クライアントとの折衝を含む開発の全工程を独力でしなければならず、初めてなりに調べながら取り組みました。要件通りシステムが完成し納品することができたときは、駆け出しのころを思い出して、やっとここまでこれた!と思いましたね。

山岡のエンジニア軌跡
※成長のターニングポイントやその時々のモチベーションをグラフにしてもらいました

次郎:僕は、エンジニアのキャリアをスタートしてこの7月で1年を迎えるのですが、成長を実感できるようになったのはつい最近のことです。

教育カリキュラムが終了するころには、3ヶ月前と比べれば少しずつ理解はできるようになりましたが、成長を感じたかというとまだ全然でしたね。
「つむぐ」「コンビニフォト!」と続けて自社サービスの改修や機能追加を乗り越え、実務をこなせるようになって振り返ったときにやっと成長の実感が得られました。

次郎のエンジニア軌跡
※成長のターニングポイントやその時々のモチベーションをグラフにしてもらいました

─── 自走してプロジェクトの実務を乗り越えたときに成長を実感したということですね。具体的にどんな感覚がありましたか?

次郎:システムの改善要望がきたときに、初めは該当する部分がどこなのか目星がまったくつかなかったんですね。
全体から細かくコードを見にいっていたのですが、徐々に「この動きをしたいのであればこの部分の処理かな?」と予測が当たってきて、その勘の精度が良くなっていくことを実感していきました。

葛藤しながらもひたすら手を動かすことに向き合っていましたが、トライアンドエラーの積み重ねの中で、ちょっとずつスキルアップしているのだと思います。

山岡:僕も同じような感覚でしたね。
プログラミングは本読んで学んだ気になってしまってはいけなくて、学んだことを実際に手を動かしてコードを書いていく、そうしていくうちに段々上達していくものだと思います。周りをみていても手を動かすことができるかどうかで、1〜2年目でかなり成長差が出ている印象なので、エンジニアとしてキャリア形成していくにあたって通るべき道なのだと思います。

業種・職種を越境しても活かせるポータブルスキル

─── エンジニア以前の仕事の経験で今に活きていると思う点はありますか?

山岡:公務員時代は、財政を担う税に関する仕事をしていました。業務上、個人・法人さまざまな人とのコミュニケーションが求められたので、エンジニアになってからも受託開発の顧客折衝で役に立ちました。

また、人のお金を扱うという特性上、絶対にミスが許されない場面がありました。そのため、仕事を進めていく上での作業確認や注意力が癖づいていて、現在の業務にも活きています。

次郎:営業で培った傾聴の姿勢や、コミュニケーションを通じて相手の信頼を得るスキルは職種が変わっても活きています。エンジニアとしてはこれからですが、そのなかでも社内の人と信頼関係を築いたり、相手から学ぶ姿勢を持ったりすることを自然とできているのはこれまでの経験のおかげです。

今後エンジニアとしてより技術をつけていくことができれば、開発におけるポリシーや判断ができるようになっていくと思います。その際は、営業時代に身につけた仕事の進め方を活かして開発に取り組みたいです。

いろんなアプリに触れ開発の幅を広げたい、開発環境の自動化を推進

─── 今後取り組みたいことを教えてください。

次郎

現在はSwiftを用いたアプリ開発に専念していますが、今後はさまざまな言語にも挑戦していきたいと考えています。新しい言語を学ぶことで、サービス全体のシステム構造をより深く理解できるようになりますし、バックエンドやフロントエンドのエンジニアと対話する際にも、技術的な議論ができるようになりたいと思っています。
シンプルに自分のアプリを作りたいので、技量を上げていきたいです。

山岡:現在進行形で開発環境の業務効率や安全性をより図るため、自動化の取り組みを推進しています。

具体的には、開発で必要なソフトウェアを一括インストールできるパッケージツールと仮想サーバーを用いた開発環境のセットアップの効率化や、作業からテスト、本番環境への公開までを正確かつ迅速におこなうことができる仕組みづくりを試みています。
既存メンバーの作業負担の軽減や、新しいメンバーが入った際にスムーズに開発に入れる環境を構築して、働きやすさを追求していきたいです。


取材中に垣間見えた、次郎、山岡のコミュニケーションスキルの高さ。非エンジニアであるインタビュアーに対する専門的な話を伝える言語化力や、相手に合わせたコミュニケーションの取り方は、きっとこれまでの経歴の中で培ってきた賜物であり、畑違いのキャリアに転身したとしてそれまでの経験やスキルは一生もので、掛け算となり強みになっていくものなのだと感じました。
これからもふたりの活躍を楽しみにしています…!

株式会社ソルトワークスHP