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【開発秘話】変わりゆく時代やニーズに寄り添う年賀状サービス「年賀家族」。制作現場の裏側に迫る

 年賀状サイトとしては高価格帯ながら、徹底した品質やデザインクオリティで多くのユーザーに支持される年賀状作成サービス『年賀家族』。リリースから13年目を迎えた今年も、辰年版としてリニューアルオープンし、11月1日(水)から年賀はがきの発売を開始しました。こだわりのデザインテンプレートは370種類以上、色や写真点数のバリエーションも含めると1,800点以上にものぼります。デザイン制作からサイト構築まで外注は一切せず、その全てを社内のクリエイターが手がけています。今回はそんな制作現場の裏側を、クリエイターの声を交えて紹介します。

『年賀家族』とは
使いたい写真と好みのデザインを選ぶだけで簡単にハイクオリティな年賀状がつくれる年賀状作成サービス。“写真が主役になる年賀状”をコンセプトに多彩なデザインテンプレートを取り揃える。テンプレートごとにデザインの色や写真枠の数を変えることができ、最大20パターンのデザインを同時注文できるのが特長。箔押し年賀状「HAKU」や、 ムービーを添えて送れる「動画付き年賀状」、10年後の元日に届く「未来への年賀状」など他では見ないような珍しい年賀状も取り扱い、時代やニーズに合わせた商品を“新しい年賀状の形”として提案する。 

 

始まりは結婚報告はがき作成サービス。「送る相手に合わせた特別な一枚を」

 さまざまなWEBサービスやアプリの開発を行ってきた私たちが『年賀家族』をリリースしたのは創業から2年後の2010年。当時、結婚式で流すムービーを制作するサービスを行っていたこともあり、結婚式の後に出す「結婚報告はがき」からヒントを得て年賀状作成サービスを始めました。結婚式でテーブルごとに撮った写真を使うとなると、送る相手によって使う写真を変えることになります。写真に合わせてデザインもいろんなパターンから選べて、それがパソコン上で簡単にできたら面白そう、そんな思いをWEBサービスとして形にしたのが『年賀家族』です。「送る相手に合わせた特別な一枚が誰でも簡単に作れたら、年賀状作りがもっと楽しくなりそう」当時のこの思いは10年以上たった今も変わることはなく、『年賀家族』のサービスの根幹をなしています。

“写真が主役になる” デザイン制作へのこだわり。ユーザーのニーズを研究し続けるデザインチーム

 『年賀家族』の使い方はとてもシンプル。ユーザーが豊富なテンプレートから好みのデザインを選び、そこに使いたい写真をはめるだけで簡単に年賀状が完成します。1,800点以上ものデザインを作り出しているのは社内のデザインチームです。その苦労や秘密をアートディレクター(SALT NAME:マイナー)とデザイナー(SALT NAME:チャパ)に聞いてみました。 ※弊社では社内をあだ名=SALT NAMEで呼び合っています

(左:マイナー 右:チャパ)

マイナー:デザイン制作で大事にしているのは“お客様の写真が主役になるかどうか”。写真が主役と聞くと写真枠が大きいとか、一枚の写真を全面に出したものとか、そういうものがわかりやすいと思います。それはもちろんですが、写真枠が小さかったり枠が多いデザインでどれだけ写真を主役に見せられるかが僕たちの腕の見せ所。お客さんのどんな写真をはめてもそこにしっかり目がいき、なおかつ写真とデザインがしっかり関連するような年賀状になっているか、ということは特に意識しています。

チャパ:広告デザインやプロダクトデザインのように一つの正解に向かってバシッと作るわけではなく、あらゆる可能性を探り正解がわからないままデザインを仕上げるという難しさはとても感じます。お客さんの注文作品を見ると、自分の狙いとは違った写真の入れ方をしていることもあり新たな発見になります。それをまた次の年の制作に活かす…ということを繰り返しています。でも狙って作りすぎて案外人気がないなんてこともあります(苦笑)

マイナー:それあるあるですね。僕もよくわかってない頃に作ったデザインがいまだに人気があったりします(笑)。デザインチームとしては、「毎年人気がある、手堅い定番デザイン」と「お!と目を引く、尖った個性派デザイン」の2軸をテーマにバランスよく制作しています。こう言うと、個性派のデザインは売れないんじゃないかと思われるかもしれないですが、そんなことないんです。一見派手で使いづらそうに見えても、さっきお話したように“どんな写真を入れてもバシッと決まる”ように考えて作っているので、お客さんが写真をはめてみたらしっくりくることも多いようです。個性的なデザインほど写真とマッチした時の完成度は高いのでぜひ試していただきたいです。

ユーザーが使う写真やそのはめ方をいかに想定して作るかが『年賀家族』のデザイン制作において最も重要なポイントだといいます。だからこそ、お客さまの注文作品を見返したり、SNSで流行りのデザインや写真の構図を見たり、ニーズを読み取るための努力や工夫は怠らないそうです。

2人は最後に「ユーザーの反応を見ることができ、それをまた商品作りに活かすことができる内製の強みを武器に、これからもお客様の思い出の一枚を素敵に演出する年賀状デザインを作り続けていきたい」と話してくれました。

年賀状にサプライズ要素を。デザインの世界観と写真が一体化する「ナジーム」

 『年賀家族』では、サービス開始から6年目の2016年に「ナジーム」と呼ばれる特殊技術を取り入れたデザインシリーズが登場します。きっかけは「せっかく社内にデザイナーとエンジニアがいるから、それぞれの力を結集して他にはない面白いことができないか?」といった現場スタッフの声からだったとか。そこに、“写真をはめてみたがどうもデザインと雰囲気が合わない”という写真年賀状サイトでのあるあるな悩みを解消できないか、という課題解決のミッションが加わります。エンジニアは編集画面で画像に加工ができないか、デザイナーはどうすれば技術面と見栄えを両立させたデザインができるか、とそれぞれの知恵と技術を出し合い試行錯誤を重ねました。開発に関わったクリエイターたちは当時の様子をこう振り返ります。

最初は、写真を傾けられるんじゃない?っていう話から始まりました。写真合成って基本的に平面だけど、それを傾けて立体的に表現できたらデザインとも馴染んでリアリティが出るんじゃないか?って感じで。やり方はわかんないのに『やってみます!』って言ってとにかく調べて手を動かしてなんとか形になりました。(エンジニア談)

 ナジーム用のデザインは、写真と背景が一体化した世界観をつくることに最もこだわりました。特に実写背景モチーフで、トーンの合わせ方や影の落とし具合、写真のボケ具合などの細部を違和感なくデザイン表現に落とし込むのに苦労しました。最初は張り切ってバキバキに加工がかかるものを作ったのですが、実際には程よく馴染むものが人気だったりするんですよね。攻めと守りの塩梅を年々試していきました。(デザイナー談)

構想から数年の開発期間をかけて誕生したのが、選んだデザインに写真をはめるとその瞬間に画像にエフェクトと自動合成が処理されるという特殊技術。まるでデザインの世界観にピッタリと馴染むような画像処理がされることから「ナジーム」と名付けられました。デザインや画像加工に自信のある人なら、年賀状を自作する際にこうしたエフェクト機能を使いこなすことは簡単かもしれません。しかしこれが年賀状サイトの編集機能として誰でも簡単にしかも一瞬でできてしまう、というのは革新的なことでもちろん当時競合サイトではどこも取り入れていませんでした。

この特殊技術を採用した編集機能によって、ユーザーは自分の写真とデザインが違和感なく合わさり、まるでアート作品やポスターのような完成度の高い年賀状を作ることができるようになりました。2020年には自動処理に人物写真の切り抜きが追加され、よりナジーム感が増して飛び出して見えるような立体表現も可能に。作る人だけでなくそれを受け取った側にも「こんな年賀状見たことない!」「どうやって作ったのかな?」と驚きを与えてくれるナジームデザインは、“サプライズ年賀状”として現在もリピーターを中心に人気を集めています。

「ナジーム」の凄さや驚きは実際の編集画面で体験してもらうのが一番伝わりやすいので、これを読んだ方にはぜひ一度お試しいただきたいです。「ナジーム」の技術は特許を取得しているため、まさに『年賀家族』だけでしか味わえない特別な体験です。

コロナ禍での挑戦。動画付きや未来へ託す“新しい年賀状”商品の開発

 コロナ禍は、年賀状業界にとっても変化の多い数年間でした。会えない人や遠くにいる人に年賀状で近況を伝えよう、と“年賀状出す派”が増えた一方で、コロナ禍を機に“年賀状廃止”の動きも加速。年賀状仕舞い用のデザインを売り出す業者も現れ、年賀状を取り扱う私たちとしても試される日々でした。しかし私たちは年賀状を出す派に寄り添ったサービスに本気で取り組んでいる企業。「大切な人や会えない人のために出す価値のある一枚ってどんなものだろう」「年賀状文化を衰退させるのでなく今こそその素晴らしさを伝えるために自分たちができることって何だろう」そんなことをスタッフ一人一人が改めて考え、商品やコンテンツ作りに向き合いました。そんな中で誕生した年賀状商品が「未来への年賀状」と「動画付き年賀状」です。

(左:「未来への年賀状」イメージ 右:「動画付き年賀状」イメージ) 

 コロナ禍で家族との時間や自宅にいる機会が増えた背景をヒントに、「大切な人=自分や家族 にあてた年賀状が数年後に届いたら感動が倍増しそう!」という社内クリエイターのアイデアを形にした「未来への年賀状」を2020年の『年賀家族』で新商品として発売しました。これは専用キットの年賀状にメッセージを記入し、届け先を指定して返送してもらうことで10年後の元日に指定先住所へお届けする、というもの。家族みんなでメッセージを書く寄せ書き風や、成長した我が子へ向けた親からの手紙風など、デザインも専用のものを複数パターン用意しました。コロナ禍で家族の絆や大切な人を思う気持ちが強くなった人々にとって、これまでにない“新しい形の年賀状”として好評を博しました。
 さらに、コロナ禍の二度目の冬となる2021年には「動画付き年賀状」を『年賀家族』の商品ラインナップに追加しました。こちらは、デザイン面に二次元コードを載せることではがきとともに動画メッセージを届けることができる年賀状。会えない人に文面以上の思いを伝えるには動画が最適だという考えから発案し商品化したのですが、会えない祖父母に孫の姿を見せてあげたい、結婚式は挙げられなかったが親しい友人や親族にはビデオレターで結婚報告をしたい、など当時のニーズにはまって多くのユーザーに注文いただきました。発売初年は特に反響も大きく、翌年からは動画付きの年賀状商品を扱う他社サービスも増えました。“年賀状の新定番”になりつつある「動画付き年賀状」は、今後若い世代に年賀状を出すきっかけとしても広がっていくことを期待しています。

多様化していく時代だからこそ、年賀状を。これからもユーザーに寄り添った一枚を追求

 近年はSNSやコミュニケーションの多様化によって、手紙や年賀状を出す人が減りました。紙でわざわざ送る、相手の住所を調べて送るといったこと自体に手間や煩わしさを感じるという声も多く聞かれます。だからこそ、本当に大切な人にはこだわりの一枚を送ってほしいと私たちは考えます。年賀状は本来その年の感謝の気持ちを伝えるもの。ビジネス年賀状や、もらったからとりあえず返す…という年賀状はこれからどんどん不要になっていくかもしれませんが、大事な人への年賀状は出し続けたい、枚数は減っても出すなら良質なものにしたい、と考える人はまだまだ多いはず。そんな人たちに寄り添い、より特別な一枚を作るお手伝いをするのが『年賀家族』です。「今の時代だからこそ年賀状を出してみようかな」「年賀状ってやっぱりいいよね」そんなふうに思う人が一人でも増えるように、時代やニーズにあわせた新しい年賀状の形をこれからも提案し続けていきたいと思います。