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「カトリック学校の風土」について考える

 こんにちは。Salt運営委員会委員の有馬です。
 小林委員の記事「カトリック学校の風土」について、日本の学校の文脈の中で考えることができそうな記事を、ご紹介します。
 ご紹介する記事は、浦善孝「もう一つの教育システムとしてのカトリック学校」『福音宣教』2007年12月号、2007年、pp. 12-21です。
 記事を書かれた浦神父様はイエズス会司祭で、この記事を書かれた時は、国内のカトリック学校に所属していらっしゃいました。
  次に引用する内容は、私が「カトリック学校とは?」ということを考えさせられた部分です。

たとえば、「キリスト教的教育」と「学校教育における教科教育」は、二者択一で選択されたり、どちらかが優先されたりする類のものではない。すなわち、カトリック学校の特徴は、聖書や要理を教えたり、宗教行事を準備し主宰したり、ボランティア活動を行なったりすることによってだけもたらされるものではないのである。

浦善孝「もう一つの教育システムとしてのカトリック学校」
『福音宣教』2007年12月号、2007年、pp. 18-19.

 浦神父様は、アメリカのカトリック学校についての研究から、カトリック学校も、公教育を担う教育機関として、第一に生徒たちに学力を身につけさせ、知識に基づいた正しい道徳判断ができ、民主主義に貢献する若者を育てることを使命としていると述べた上で、次のように続けます。

すなわち、カトリック学校の特徴は、福音的価値観を土台に据えながらリベラル・アーツ(liberal arts)を生徒に教えることによって実現される。具体的には、英・数・国・理・社、そして体育、芸術、技術家庭を教え、クラブ活動を指導することによってそれは実現されるし、加えて、思春期にある生徒たちが求めている個人的な勉学や進路の指導、日常会話や生活指導に関わる会話、そして種々のカウンセリングによっても実現される。宗教科の授業や宗教活動、式典などで生み出されるキリスト教的雰囲気は、生徒が獲得した知識や諸能力の使い方に根本的方向性を与えるものである。もし、生徒がこのような世話のもとで育てられたならば(nurture)、彼ら、彼女ら自身が、自分たちの学校の特徴を自然と生み出して行くだろう。

浦善孝「もう一つの教育システムとしてのカトリック学校」
『福音宣教』2007年12月号、2007年、p. 19.

 「彼ら、彼女ら自身が、自分たちの学校の特徴を自然と生み出して行くだろう」。
 「カトリック学校とは?」という問いを考える続けるヒントを、生徒たちの姿や、生徒たちとの関わりの中から見出していきたいと考えています。


〇参考文献
浦善孝「もう一つの教育システムとしてのカトリック学校」『福音宣教』2007年12月号、2008年、pp. 12-21

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