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「カトリック学校における教育の宗教的次元 ―評価と刷新のためのガイドライン-」②「第二部 カトリック学校の風土の宗教的次元」


 こんにちは、Salt運営員会委員の小林由加です。今回は「カトリック学校における宗教的次元」(1988)の第二部をお伝えします。第一部では、青少年と彼らを取り巻く社会をよく見ることが強調されました。第二はカトリック学校の風土の特徴をあげながら、教会の使命に一致するよう呼びかけます。

(一)キリスト教学校の風土とは何か?
 生徒がカトリック学校に足を踏み入れた瞬間、「新しい環境に入った」という印象を持つことを大切です。新しい環境とはイエスがおられると意識されること。そのため、十字架像も役立ちますが、何よりも教師が宗教的風土を創り出し、キリスト教的価(みことば、秘跡、振る舞い、調和のある人間関係、他者に対する応答)が尊重されることが風土を生み出します。

(二)カトリック学校の施設状況
 カトリック学校には、心地よく幸せな家庭的雰囲気が必要です。簡素で福音的清貧を保ちながら、現代に必要な教育機器を備えることも求められます。生徒も自分たちの「家庭的な学校」を整理整頓することで、エコロジカルな意識が育ちます。何よりも教会との関係を深め、典礼行事を一緒に行うことも重要です。

(三)学校の教会的・教育的風土
 『キリスト教的教育に関する宣言』(1965)は、カトリック学校が組織から共同体(コミュニティー)としての学校に変容するよう呼びかけています。なぜなら、カトリック学校の使命は信仰と文化を融合させることにあるからです。ヨハネ・パウロ二世は、次のように述べています。

「カトリック学校は自らの本質に従って、男性女性を人間として、またキリスト者としての完成に導く。そして同時にその信仰の成熟を助ける。このことは、キリストを信じる人々にとって一つの現実の二つの側面である」(Insegnamenti,VIII/1 March9,1985)

(四)開かれた共同体としてのカトリック学校
 カトリック学校は家庭と連携し、教会と一致し、国家への敬意を持って共通善の追求をする開かれた共同体です。キリスト教的教育は全人類を一つの大きな家族とみなし、平和、正義、自由、民族の進歩、困難な国への援助に協力します。カトリック学校は国際社会を意識し、善き市民の育成に貢献する共同体となるよう呼びかけられています。

参考文献
・「カトリック学校における教育の宗教的次元―評価と刷新のためのガイドライン-」(1988年公布カトリック教育省文書)解説・翻訳 浦善考、『神学ダイジェクト111号』上智大学神学会神学ダイジェスト編集委員会、2011年。
・『キリスト教的教育に関する宣言』(『第2バチカン公会議公文書全集』)サンパウロ、2001年。

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