10月24日に、大切なあなたへ。~茜色の約束と花の名に向けて~

こちらは僕が以前深夜テンションで適当に書き連ねたものをそれっぽく改編したものです。



2007年の10月24日、僕の大好きな二組のアーティストがシングル曲を発売した。いきものがかりの「茜色の約束」、BUMP OF CHICKENの「花の名」。

どちらも有名なタイアップが付いていたので、メロディだけは聴いたことある、という人も多いだろう。
茜色の約束は2007年10月24日にリリースされたいきものがかりの楽曲。「SAKURA」、「うるわしきひと」、「夏空グラフィティ」のリリースで徐々に知名度を付け、いよいよお茶の間にも認知され始めたという時期に茜色の約束は発表された。auの「LISMO!」のCM曲として何となく覚えてる方もいるんではなかろうか。

そして花の名は2007年10月24日にリリースされたBUMP OF CHICKENの楽曲。「天体観測」のリリースで一気に知名度を上げたが、なかなかメディアに出ることはなく、そこまでの世間的な人気はなかった。が、前年の「涙のふるさと」がCM曲として流され、花の名は「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の主題歌に抜擢され、いよいよ世俗的な、大きな知名度を獲得しはじめようとしていた。

この二曲の関連性は、ただ同じ年の同じ日にリリースされたというだけではない。それぞれのアーティスト史に残る名曲であり、"わたし"と"あなた"の儚くも尊い関係性を見事に描いた最高傑作のバラードなのだ。

どちらも"大切なあなた"に向けて歌われた曲であり、この"大切なあなた"の切り取り方や捉え方が、いきものがかりらしかったり、BUMP色が出てたりで面白い。
茜色の約束から歌詞を見ていこう。

"茜色した日だまりの中 無口な風が二人を包む"
"ほらあなたが私の手を引くから 怖がる心も強くね なれるよ"
-茜色の約束-

茜色の約束の世界には、明確に二人の人間が出てくる。恐らく"わたし"と"あなた"だろう。Aメロでは二人で実際に歩く描写がなされ、Bメロではあなたと私の関係、私から見たあなたの存在を実際の行動になぞらえて綴っている。ここから、

"この道の先をまた二人で 歩いていこう 歩いていこう"
"あなたに出逢えた茜の空に ほらあの日と同じことを願うよ"
-茜色の約束-

どんどんと、あなたへの想い、あなたへの誓いが込められた歌詞が続いていく、純粋な思いを歌にのせた、この上ないラブソング。


対して花の名はどうだろう。

"一緒に見た空は忘れても 一緒にいたことは忘れない"
"生きる力を借りたから 生きているうちに返さなきゃ"
"あなたが花なら たくさんのそれらと変わりないのかもしれない そこからひとつを 選んだあなたただけに歌える唄がある 僕だけに聴こえる唄がある"
-花の名-

こちらも、歌い手がいて思いを伝えたい"あなた"がいるのは同じ。ただ、明確にあなたは今となりにいるのか、今会おうと思えば会える距離なのか、その距離とは物理的な距離なのか心の距離なのか、断定はされていない。非常に読解力をフル活用させられる歌詞であり、このもどかしい世界観がまさしくBUMP OF CHICKEN、という感がある。
「好き」とか「愛してる」という簡単な言葉では置き換えられない、ラブソングの範疇を越えたラブソング。


また、この二曲の歌詞を比べてみると見えてくることもある。例えば、「涙」「笑顔」という物の切り取り方。

"だから 涙も笑顔も繋いだこの手も 幾重の写真に負けない想い出"
-茜色の約束-

"いつか涙や笑顔を 忘れた時だけ 思い出してください"
-花の名-

人との触れあいや大切な人との時間において、泣く、笑うという感情表現は必須で、ただ思い出として残るだけではなく、その行為自体に意味を持つ。あなたと泣いて笑ったこと。あなたが泣いて笑っていたこと。全てが尊い。


また、

"だから 泣いて笑って繋いだこの手は すべての言葉に負けない約束"
-茜色の約束-

"簡単な事なのに どうして言えないんだろう 言えない事なのに どうして伝わるんだろう"
-花の名-

どちらもそれぞれ、大サビと一番の歌い出しという、曲の中でもとても重要なポジションに来ている歌詞だ。「言葉を言う」という行為は実はとても信用できなくて、言葉がなくとも伝わることが"わたし"と"あなた"の間には存在し、それは言葉よりも確かに信用できる。そうやって人と人は繋がっていく。

と、細かな解釈も所々似ていたりするわけで、ここまでに完成された二つのバラード、どちらも凄すぎるし、二つが同じ年の同じ日にリリースされたことが、本当に奇跡すぎる。
いきものがかりとBUMP OF CHICKENのファンも、そうでない方々も、「茜色の約束」「花の名」をじっくり聴いてみてほしい。
皆さんの周りの「大切なあなた」を思い浮かべながら。

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