たまにはゆっくり旅したいねって、鬼怒川温泉あさやホテルにて
人生最後の夏休み。
その終わりに女ふたりで温泉旅行に行った。
大学に入ってから何度も共に旅をした気の置けない友人で、たまには全部忘れてゆっくり旅したいねって。就活お疲れさま、卒論頑張らなきゃね、でも一旦忘れよう!の旅をした。
軽自動車を1台借りて横浜から栃木へ。
ドライブ自体は久々ではなかったけれど、運転はお互い久々。親以外乗せるのいつぶりだよ〜って最初はドキドキしていたけれど、やっぱり身体は覚えているものだ。スカイツリーを横目に見てビュンビュン走る首都高は最高に気持ちが良い。
ド平日なのに意外と混み合う首都高を苦ともせず、2000年代のドラマ主題歌イントロクイズをしたりして往路を満喫した。
薄っすらと黄に色付く木々。夏と秋の間を車で駆け抜けるのはなんだかワクワクした。
東北自動車道を北上し着いたのは鬼怒川温泉、あさやホテル。鬼怒川温泉で一番の老舗旅館で、創業は130年になるそうだ。
あさや といえば宮崎駿監督のアニメ『千と千尋の神隠し』の湯屋「油屋」を彷彿させるロビーが有名だ。
エントランスを潜ると本館の真ん中が吹き抜けになっているのが見え、全体にパイプオルガンの音が響き渡る。
静かで壮大なその空間には立派なソファが沢山あり、パイプオルガンの音色と共に何時間も居座れてしまいそうだった。
私たちが選んだ部屋は和室で、夕食の間に布団を敷きに来てくれる。日本ってやっぱ素敵。おもてなし最高!
(ひとセット取った後で失礼...)
館内はアミューズメントパーク並みのラインナップで、カラオケもゲーセンもBarも岩盤浴もあった。全てツケ払いでcheckout精算のため、手ぶらで館内を楽しむことができたのは嬉しい。
夕飯はブッフェ形式で、和洋中のコーナーの他にシェフが目の前で焼いてくれるステーキや天ぷらのコーナーもある。蟹なんかもあった。
この写真は盛り付け第一陣ではあるが、セーブしようと思っても取りすぎてしまうくらい浮かれさせてくれるラインナップであった。
デザートも多数あってお腹いっぱいでしあわせ^^
お風呂は本館に大浴場と屋上に露天風呂、別館にもう一つ大浴場があったので、どの順番で周ろうかとワクワクした。
私たちは夕食前に大浴場、夕食後に露天風呂を堪能した。「あさや」の看板の光が消灯する頃、露天風呂から空を見上げると幾つもの散りばめられた星が見えた。数え切れないくらいの、写真におさめられそうなくらいはっきりとした星が見えた。
名前も何も知らないけれど同じ湯に浸かっていた者同士、星が綺麗ですね、あれは大三角かなって話している時間は、湯気交じりに穏やかで温かかった。
お風呂を出て、そのままBarに向かった。星座をモチーフにしたカクテルがあり、私は双子座(手前の黄色)、友人は魚座(奥の緑色)のカクテルを選んだ。
満天の星を見たあとに星座のカクテルを嗜むのは粋だった。「大人の女だね私たち」って友人はにやにやしていた。二十そこそこの若僧のくせにね。
一泊二日のあさやホテル。大満足であった。
『千と千尋の神隠し』の世界観に迷い込んだ私たち。ラインナップ豊富で完璧であるが故の非日常性と、人々や自然のおもてなしがつくるエンターテイメント性に溢れた一種のテーマパークであったと言える。
あさやテーマパークで浮かれていた私たちはcheckoutにも館内スリッパを履いて行ってしまった。前に並んでいたおじ様に「お姉ちゃんたち、そのままじゃあ帰れないよ!」と言われるまで気付かなかった。
恥ずかしかった〜〜〜〜
なんだか夢の国を出る時に似ていたように思える。checkoutしたら現実。夢から覚める時間だよって。
「たまには全部忘れてゆっくり旅したいね」
若僧の私たちには少し高いお宿だったけれど、心から満足のいく旅であった。
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