介護したくない親が要介護になった時の話 2

これは前回の続きです。

要支援と要介護

厳密には違うのかもしれませんが、「要支援」という状態は介護サービス予備軍として管理下に置かれる状態で、「要介護」という状態になってはじめて介護サービスが始まりまるイメージです。

そして「要介護1」というのは「要支援2+認知症」の状態が当てはまるので認知症でない場合は「要介護2」を市に認めてもらって初めて介護サービスを受ける形になるようです。つまり「要介護1」のレベルは飛ばされる感じですね。

そういった仕組みもわかりませんでした。そして「要支援」と「要介護」は受けるサービスに大きな違いがあります。

特に「特別養護老人ホーム」は「要介護3以上が必要」です。これは重要なので覚えておいてください。

やっておかなければならなかった事5
介護度についての理解

高齢者の健康維持

まともな高齢者であれば健康的に暮らしていけるのかもしれませんが、私の父のように生活習慣病まっしぐらな人間はそんな事を考えて生活していません。

最初に栄養の偏りで入院した時にすこし考えたのですが「軽費老人ホーム」という施設があります。食事つきで月に7万円くらいから入れるところもあります。好きなものばかり食べて生活させるくらいなら、こういうところに入った方がよいのかもしれません。

ところが連絡してみると、受け入れ体制に「要介護2まで」となっていたとしても、電話で問い合わせてみれば「階段の上り下りに不自由がない方のみ」だったりします。

はっきり言って階段の上り下りに不自由しない人は要介護認定されません!

結局はカタログを請求しても実際の内容とは異なるので、そのあたりはよく確認する事が必要です。

ただしそういった施設に入るという事は、住んでいる場所もなくなります。もし要介護2の状態まで進んでしまった場合に、引き取りを強制されるおそれもあります。そうなれば、きっと自分の家に引き取るしかありません。

そう。特別養護老人ホームは要介護3からですし、順番待ちがあるのですぐには入れません。つまり要介護認定されてから要介護3以上で受け入れてくれる場所が見つかるまで自分の家に引き取らなければならない可能性があるのです。

やっておかなければならなかった事6
要支援の状態の時に施設を視野にいれておく事
ただし、残り資産と相談しないと自分が引き受ける事になるかもしれない

ケアマネージャーに相談しよう

退院してから困ったのは通院です。足が弱って自力で病院には行けない。しかし薬を処方してもらわないといけない。という事で、ケアマネージャーに相談すると訪問医療のサービスが受けられるとの事。さらに薬も薬局が届けてくれる。

もちろん有料のサービスです。しかし介護タクシーを毎回使う事に比べれば全然安いです。訪問診療が月に2回で1万円くらい。薬の配達が数百円くらいです。使わない手はありません。

さらに歩行器とポータブルトイレも介護保険が適用されます(要支援ではダメ)。そういった手配もすぐにしてくれます。

ゴミ出しも市のサービスがあって、玄関前のボックス等に入れたごみを回収してくれます。これも1000円くらいだったかな。

リハビリも訪問で来てくれるように手配してもらいました。部屋の中でのリハビリになりますが、退院後の回復の為にも必要でしょう。

介護が始まれば困る事はあります。でも、みんな似たような事に困るのでそれに対するサービスも結構あるのです。すべてを子供が面倒みる必要はないのです。それを教えてくれたり、相談に乗ってくれるのがケアマネージャーさんです。自分ひとりで抱える前に必ず相談しましょう。

やっておかなければならなかった事7
介護サービスへの理解

自分の家族を大事に

うちの嫁さんは「最後はうちで見てもいいよ」とは言ってくれますが、うちには高校受験を控えた子供もいます。余計な問題を増やしたくありません。

それよりなにより私が嫌なんです。父と暮らすなんてまっぴらごめんです。苦労してでも家を出たのに、好き勝手に生きた最後を私が引き受けたくなかったのです。

「俺が守るべきなのは、この家庭だけだから」

もう本当に選択肢が一つも無くなるまでは受け入れるつもりはありません。でも、なぜ自分がそう思うのかについてはちゃんと話をしましょう。自分が親に対してどう思っているのかを配偶者と共有する必要があると思います。

例えば「義父が倒れてから、急に冷たい人になってしまった、、、、」と思われたりしたら困りますよね。そういう理解をお互いで共有しておかないと、何かあった時に決断した「意図」が伝わらない事があります。

「わかってくれるはず」なんていうのは、自分の甘えです。最後まできちんと伝える努力が絶対に必要です。

やっておかなければならなかった事8
配偶者への説明

自分と親との関係の整理

結局のところ、一番やっかいなのは「自分の気持ち」です。親戚への体裁もあるでしょう。世間体もあるでしょう。でも一番整理しづらいのは、自分と親との関係です。

自分がどう思っているかをちゃんと理解させる必要があります。

自分も、自分がどう思っていたのか理解していない場合もあるのです。

そういった心の整理が絶対に必要です。私は下記の事をしっかり伝えました。

あなたを父親だと思っていない
今ある大きな仏壇を引き受けるつもりがない
墓は引き継いでもよい(父が長男で、私は一人っ子だからしかたなく)
家で面倒見る気はまったくない
金を出すつもりもない

言っても伝わらないと思ったので手紙で出しましたが、結局ちゃんと伝わりませんでした。でも、私に頼る事は出来ないくらいは悟ったようです。

親だからと言って、何から何まで子供がやる必要はありません。行政サービスを受ける手続き等はしますが、生きる為に必要な事を助ける事はしません。好きに生きた人には、果たすべき義務があります。

結局、介護の前に自分自身の心の整理が絶対に必要です。

食事だけ与えればよいのか。話し相手もするべきなのか。自分らの時間を削って散歩につれて行くとか、介護なんて限度が無いんです。だからこそ線引きが大事です。

ここまではやるけど、これ以上はやらない

あらかじめ決めておくと、急な出来事にも対応できるはずです。「せめて死ぬ前に一言謝ってほしい」「最後にありがとうと言わせたい」とかそういう事を期待するのはやめた方が良いし、そんな事されてももうやり直す時間はないのです。

だから落ち着いて「自分がやらないと後悔するライン」を引くのが大事でしょう。

やっておかなければならなかった事9
自分と親との関係性の見直しと、どこに線を引くか考える

介護保険とは

今回の事があって、日本ってのはつくづく良い国だなと思いました。たいして年金が無い人からはあまり取らず、余裕のある人にはしっかり払ってもらうようにできています。

正直言えば、この程度しか払ってない人間が受ける資格があるの?ってくらい充実しています。

以前は、そういったサービスが充実していませんでしたが、介護保険はそのサービスの金額の7~9割を介護保険で払ってくれます(うちは1割負担なので9割が介護保険から)。

そしてそういう後ろ盾があるからこそ、デイケアサービスや高齢者サービスという業者が成り立つのです。親方日の丸の保証があるから、業者がそれを狙ってくれる(介護してくれる)。

昔のように奥さんがワンオペ介護しなくてもすむように。

でも、こういう事を知らないで押し付けられて離婚してしまう家庭もありますよね。そういう状況に陥らない為に必要なのは何よりも「情報」です。それについては自分から情報を集める為に動く必要があります。でも決して無駄にはならないはずです。

いつか来るその日について準備してみてはどうでしょうか?

親の介護で泣く人が一人でも減りますように、、、、、

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