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アンクール宣言

7歳の息子マツいわく、私は「かっこわるすぎ」らしい。

いろんなことが下手すぎるからって。そうね、ノルウェー語もいまだに下手だし、運動オンチ。駐車も注射も苦手でギャーギャー。マツがすきなスプラトゥーンとかいうゲームもできない。バーべーキューで火をおこすのもいつもお友達家族やマツ任せ。

「でも、面白い。もうほんとにかっこわるすぎて、違うレベルにいっちゃってる。だからほんと面白い。マツの友達もママのこと面白いって。」

ねえ、それホメてんの?バカにしてんの?

「ほめてる」

ふーん。

マツの「ママはかっこわるすぎ」にはあっぱれ。今の私は本当にかっこわるいから。

わんぱくすぎる7歳と4歳児を追いかけて、もう何語で叫んでるのかも記憶ないくらい、毎日酸欠状態で振り乱してる。そういえば、しばらく白髪染めもしてないし、コロナ太り後のダイエットする余裕もなし。おしゃれ?ヒールとかもう10年以上履いてないね。

ノルウェー郊外の多文化で多様な地域社会での母ちゃん業。地域の人たちと互いの価値観、習慣、背景、個性を尊重し合いながら、多文化ファミリーを自ら築いていく。子供たちが戸惑わないよう、文化も背景も異なる夫と自分たちなりの一貫性を探りながら。家庭内の課題ももちろんたくさんあるけど自分たちだけで閉じて解決しないよう、常にふんわり開いて風通しを良く。

共に在ること、生きること。簡単じゃない。多文化共生は私たちにとって今生きる生活そのもの。そう、24時間7日365日ノンストップ多文化共生。

そんなこんなのノルウェー生活も今年で10年。育児、家庭、隙間を狙って研究活動。どれも満足いくほどできてなくて…。それでも、こうやってマツを含む地域の子供たちに「かっこわるすぎて面白い」といってもらえるレベルに達したということを喜ぶべきか。

13年ほど前にイギリスで出会った認知症ケアサポートグループでギターを弾いていた女の子との会話を思い出す。

その子は「私はキレイでもないし、背も低くて太ってて不器用でアンクール(uncool=クールではない)なの。でもね、だからか認知症のおじいちゃんおばあちゃんたちがよく声をかけて助けてくれる。アンクールであることってこんな場ではプラスになるんだよ」って。

そうか、私も堂々とアンクールでいたらいいんだ。戸惑いも喜びも、かっこわるさも開いて。そんな私の「アンクールさ」がきっとノンストップ多文化共生の術になる。

(写真は家の前の道路で寝転ぶ私をマツ(7歳)が型取りしてアイナ(当時3歳)が色を塗ったストリートアート)


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