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【テーブルマナー】フォークとナイフ(1)

みなさまごきげんよう。

都内はきょうは夕立があったおかげで夜は昨日までにくらべるとぐっと過ごしやすくなりましたね。いかがお過ごしでしょうか。

さてさて、本日のテーマはずばり、「フォークとナイフ」です。

洋食のテーブルマナーに馴染みがない場合、一番最初のとまどいはずらりと並ぶフォークやナイフです。
どんな順番でどう使ったらいいの?

きょうはそんな疑問を解決して参りたいと思います。

ブルトレダイニングセット

こちらは「走る五つ星ホテル」の異名を持つ、南アフリカの大地を駆け抜ける列車『ブルートレイン』のダイニングセットです。
このセットでは飾り皿(位置皿)はない状態ですが、概ねいわゆる基本のテーブルセッティングの形を取っています。
因みに飾り皿(位置皿)とは、レストランを訪れると、お料理の乗らない大きなお皿がフォークナイフのセッティングの中央にセットされていることがあります。典型的なのは披露宴会場で、その大きな装飾が施されたお皿の上にナフキンと名札が乗っていることが多いですね。
そのお皿のことを「飾り皿」または「位置皿」と言います。

きょうはフォーク&ナイフのお話ですのでお皿のことはひとまずおいておきましょう。

こうしてずらずらっとフォークとナイフが並んでいると、慣れない方はそれだけで気圧されてしまったりしますが、使う順番は外側から中央へ向って、一皿につき一組ずつ使っていくのが基本です。
このフォークとナイフの間にお皿がセットされることを想像してみていただきたいのですが、その場合、お皿に近い方のフォークやナイフを手にしようとするとどうしたってその隣にあるフォークやナイフに手が当たってしまって取り難いのです。ですので、セットされているカトラリーの一番外側-すなわち、物理的に取りやすい方から内側へ向って順に使っていくとお考えいただければ問題ありません。

そしてこのセッティングから推察できることがあります。
フォークが3本ということは、ナイフがセットされている右側にあるスプーンは、スプーン単独で使う、ということです。
慣れてくると見た目で判別がつくようになりますが、スプーンにはまん丸の円形のもの、楕円形のもの、そしてソーススプーンやフィッシュスプーンと呼ばれるくぼみのほとんどないスプーンがセットされる場合もあります。
一般的なまん丸のものと楕円形のくぼみのしっかりあるスプーンはスープ用ですが、比較的ひらべったいスプーンはお魚の調理方法次第でお魚料理の為にセットされます。この場合、そのスプーンはナイフの役割も兼任します。
スプーンが単体の場合は基本的にスープ用のスプーンですので、この場合ナイフは不要です。

そして今回のセッティングでは、向かって右側のカトラリーが一番外側から順に少し小ぶりのナイフまん丸スプーンお魚用のフィッシュナイフディナーナイフとあり、正面奥にデザート用のカトラリーがセットされていますので、この日の夕食は前菜・スープ・お魚・お肉・デザートによる基本の構成、いわゆる5コースディナーであることが読み取ることができます。

デザート用の小さなカトラリーも使い方が良く分からない!というお声をきくことがありますが、左手にフォーク、右手にナイフまたはスプーンを持って使います。このため、デザートフォークの柄の部分は左側を、そしてナイフとスプーンの柄は右側を向いてセットされています。

デザート用のカトラリーがフォークしかなければ、ケーキなどもフォーク一本で召し上がっていただいて問題ありません。しかし、ナイフも一緒についている場合はお肉やお魚を頂くとき同様、ケーキもフォークとナイフでひと口大に切ったものをお口に運ぶと良いでしょう。

以上のように、右手で持つカトラリーは右側に、左手で持つカトラリーは左側に...お食事をするひとにとって使い勝手がいいようにセットされています。ときどき、フォークを右手に持ち替えて食べてはだめですか?というお問合せを頂きますが、基本的にNGです。
アメリカでは持ち替える方も実は多いのですが、世界基準のマナーであるプロトコール・マナー上ははしたない行為とされますので控えましょう。

上記のセッティングは右利き用ですが、予め左利きの方がいらっしゃると分かっている場合にはレストランなどへお伝えしておくと左右逆にセットしてくださいますので、そのあたりはどうぞご遠慮なさらずにお伝えしてみてくださいね。

いろいろ書きましたが、基本は「外側から内側へ」です。
そして、例え間違えて使い始めたとしても動じることはありません。必要なタイミングで必要なセットをサービスの方があらためてお持ちくださいます。

また、フォークやナイフをうっかり床に落としてしまった時も慌てずに落ち着いて、アイコンタクトでサービスの方をお呼びしてから落としてしまったことをお伝えして拾っていただきましょう。ご自分で拾うのはNGです。
ただし、落としてサービスの方を煩わせてしまっているのはこちらですので、ここで横柄な態度に出ることの無いようにだけ注意してくださいね。できれば拾っていただいたときに「お手を煩わせてごめんなさい」など声をお掛けし、新しいカトラリーをお持ちくださったときに「ありがとうございます」と一言添えましょう。
サービスを提供する側とそれを受ける側に、本来上も下もありません。
お互いにお互いへの敬意を持って接する。
これが基本です。この基本が双方にできていれば、必ずそこには心地よい循環が生まれ、あたたかく豊かな時間が流れるようになります。

ぜひ素敵なお食事の時間をお過ごしくださいませね。


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