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2024.6.24 プーチンが抑えられない内部分裂

今回は、ロシアの内部事情をテーマに、
・ロシア軍とワグネルの関係
・プーチン独裁の実態
について、少し書いていこうと思います。


現在、ウクライナとロシアの戦争では、実に興味深い現象が見られます。

例えば、ロシアの主力は民間軍事会社ワグネルです。

しかも、民間軍事会社はロシアで“違法な存在”です。

そのワグネル創設者のプリゴジン氏は、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長を頻繁に非難しています。

要するに、ロシアの戦力は分裂している状態です。

この状態をショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長は、
「なんとかしたい」
と考えているでしょう。

そこで、ロシア国防省は、
「ワグネルを支配下におこう」
と試みました。

6月13日の共同通信では、
<ロシア国防省は13日、直接の管轄下にない志願兵部隊などと7月1日までに契約を交わし、ロシア軍と同様に扱う方針を明らかにした。
ウクライナの反転攻勢が本格化する中、正規軍と志願兵部隊の足並みの乱れを正し、統制強化を図る狙いとみられる。>

もちろん、この最大のターゲットはワグネルです。

「ワグネルは国防省と契約を結び、傘下に入りなさい!」
と言っているのです。

しかし、これに対しプリゴジン氏は、続く共同通信の記事に、

<これに対し民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は反発し、契約を拒否する姿勢を示した。
・・・
プリゴジン氏は11日、「ショイグ(国防相)といかなる契約もしない」と表明。
ショイグ氏は軍を「正常に管理できない」と改めて批判した。>

といった、コメントを残しています。

実をいうと、ショイグ国防相は極めて評判が悪い大臣です。
その理由は、元々軍人ではないからです。

ショイグ国防相は1991年~2012年の21年間、非常事態相に就任していました。

非常事態省は、自然災害や大事故の時に出動し人々を救う省です。

当時は、
「困ったときはショイグが助けに来てくれる」
と人気が高く、その結果、2012年に国防大臣に任命されました。

ウクライナ戦争が始まるまで、ショイグは“プーチンの後継者候補ナンバー1”と言われていました。

しかし今、ウクライナ戦争が長引いていることで、次期大統領候補は消えたようです。

プリゴジン氏は、そんなショイグ国防相の悪口を毎日のように言い続けています。
ショイグ国防相は、彼を“管理したい”と願いましたが、上手くいきませんでした。

そこで、プーチン大統領自身が登場します。

6月14日のロイター通信では、

< ロシア国防省がウクライナで戦う志願兵部隊に対して今月中に同省と契約を結ぶよう命じたことについて、プーチン大統領は13日、命令への支持を表明した。記者団に語った。>

つまりプーチン大統領は、“ワグネルを国防省、ロシア軍の管理下に入れること”を支持したのです。

つまり、プーチン大統領はプリゴジン氏に、
「国防省、ロシア軍の支配下に入れ!」
と命令したようなものです。

しかし、プリゴジン氏はプーチンの命令を聞きませんでした。

まだ日本語版は出てないようですが、6月16日のロシア『DZEN』に情報があります。

ここには、
<(プーチン大統領は)嘘をついた>
と、プリコジン氏がプーチン大統領を非難している発言が掲載されています。

<「祖国が困難に陥ったとき、俺たちの助けが必要なとき、そして俺たち全員が祖国を守るために行ったとき、大統領は俺たちにあらゆる社会保障を約束してくれた。」>

しかし、プリゴジン氏によると、プーチン大統領はこの約束を守らなかったようです。

そして、自分が死んだとき、ワグネルのメンバーは路頭に迷うことになるのではと心配しています。

<「俺は部下を養う準備ができている。
しかし、今日は俺がいても、明日にはいなくなる(死ぬ)かもしれない。
だから当然、任務を完了した人々に対して国は社会的保障を与える必要がある。」>

更にプリゴジン氏は、戦争が始まった時は誰も
「国防省と契約を結べ!」
とは言わなかったと批判しています。

<「俺たちがこの戦争に参加し始めたとき、国防省と協定を結ぶ義務があるとは誰も言わなかった。
俺の部下の誰も、再び恥の道を歩むつもりはない。
したがって、誰も協定を結ぶつもりはない!」>

このように、公然とプーチン大統領に反逆し始めたプリゴジン氏。

プーチン大統領は今後、彼をどうするのでしょうか?

そしてプリゴジン氏は、どう動くのでしょうか?

前述の通り、現在のワグネルはロシアの最強戦力です。

それが、プーチン大統領の言う事を聞かない現状。

つまり、プーチン大統領の完全独裁政権に亀裂が入ってきているということなのでしょう。

今後の続きに注目していきたいと思います。

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