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2023.7.8 覇権への道が閉ざされた中国

中国は、2008年~2010年に起きた危機を短期間で克服。
しかし、高成長は2020年まで。

当時、日本では、“2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博後バブルが崩壊し、共産党の一党独裁体制も崩れる”という『中国崩壊論』が大流行していました。

しかし実際は、中国はまだ国家ライフサイクルで成長期で、立ち直りも早く済みました。

その後は、中国の高成長時代は終わりました。

とはいえ、ここ数年、世界全体に影響を与える年が続いています。

2020年と2021年は、『新型コロナパンデミック大不況』。
2022年は、『ウクライナ戦争インフレ』。

異常事態が続いているので、中国の状況が分かりにくいのです。

そんな中、7月3日付の『フォーブスジャパン』に面白い記事を見つけました。

<中国の東南アジアへの政府開発融資(ODF)は、データが入手できる直近の年である2021年に再び減少した。
同年のODFは39億ドル(約5630億円)相当で、最も多かった2015年の76億ドル(約1兆970億円)の半分強の水準だ。
2010年以降の年平均額である55億3000ドル(約7940億円)をも下回っている。>

中国の東南アジアへの政府開発融資が、2015年の1兆970億円から2021年には5630億円まで減少。

6年の間でざっくり半減しています。

<中国に代わって他国や国際機関の存在感が増している。
2015年以降、中国はこの地域最大の単独投資国として全体の25%を占めていたのが、わずか14%にまで落ち込んだ。
実際、中国の投資はピーク時から急減し、今ではアジア開発銀行と世界銀行にトップの座を譲っている。>

2015年~2021年までで、東南アジア投資に占める中国のシェアは、全体の25%から14%まで減少したそうです。

本当に“急減”です。

<日本は継続的に投資しており、2015年からの累計額は中国にほぼ追いついた。
中国の累計投資額は379億ドル(約5兆4690億円)で、そのほとんどが期間の前半に行われた。
地道な取り組みにより日本の累計投資額は280億ドル(約4兆405億円)で、韓国もそう劣らず200億ドル(約2兆8860億円)強だ。
以下、ドイツ、米国、オーストラリア、フランスの順に多く、各国の累計投資額はそれぞれ85億ドル~54億ドル(約1兆2265億~7790億円)となっている。>

日本もなかなか健闘しています。
そしてもう一つ。

日本、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、フランスは『反中包囲網』の“チーム”です。
但し、“一枚岩”とまでは言えない状況ですが。

日独米豪仏が東南アジアに投資すれば、それだけ中国と東南アジアの関係が薄くなります。

では、中国の対東南アジア投資額は、なぜ減っているのでしょうか?

<中国の劇的な投資減は海外における優先順位の転換を反映するものではない。
東南アジアは地理的に近く、貿易ルートそして国防の観点からしても中国にとって極めて重要であることに変わりはない。
また、マレーシアのように中国の「一帯一路」構想への関わりに消極的な国もあるが、東南アジアの国々が中国マネーから一斉に目を逸らしたわけでもないだろう。
むしろ、中国が投資を控えていることは、中国が経済と金融の問題を抱え込んでいることを改めて示している。
最近のデータが入手できるようになっても、中国の投資が戻っている可能性は極めて低い。>

中国が投資を控えている理由は、“中国が経済と金融の問題を抱えこんでいることを示している”そうです。

中国は、
1.国家ライフサイクルで、高成長の“成長期”から低成長の“成熟期”に入っている。
2.人口が減少し始めている。
3.習近平は、奇跡の経済成長を成し遂げた鄧小平を軽蔑し、『大躍進政策』で経済を破壊した毛沢東を信奉している。
そのため、
「マンションは住むもので、投機するものではない」
など、経済音痴な言動で中国経済を破壊している。

この3つの理由で、もはや高成長時代は戻ってきません。
中国のパワーと影響力の源泉は、『チャイナマネー』です。

しかし、東南アジアの例を見ても分かるように、中国経済の問題で、ばら撒けるチャイナマネーの量が減少しています。

そういった理由から、中国は覇権国家になれないのです。

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