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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
お薬にも、ブランドがありますね。
よく聞く製薬会社のお薬は、
良く効くというイメージがあるのてしょう。
最近は、ジェネリックという、
ブランド外のブランドがあります。
少しだけ、安くなると言うのが売りですが。
プラシーボ効果を狙うなら、
やはり、ブランド志向も、大切なのですかね。
では、今日もお薬箱を開けてみましょう。

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「氷漬けにされても死なない薬」

普通ならば、低体温症、
凍傷などの症状を発症したり、
果ては、凍死という結論に至るわけですが、
このお薬を服用すれば、
極寒の世界であっても、
氷の中に埋もれたとしても、
平気で生きていることが可能です。
このお薬を開発し、調剤をさせたのは、
ロシアの怪僧、
グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチンです。
この帝政ロシア末期に現れた祈祷僧は、
異能者、超能力者、
はたまた、ロシア王室を牛耳ろうとした、
国家的犯罪者など、
王族との不思議な関わり合いから、
怪しい伝説の主人公にされていますが、
彼は、有能な医者と薬剤師を抱えていたことが、
大いに幸いしていたのです。
ラスプーチンが、社会的地位を
王位に近くまで上げたかったのは、
製薬のために必要な財力を
手にしたいがためであったと言われています。
ラスプーチンが、1932年の秋に、
ニコライ・ニコラエヴィチ大公から、
極寒の戦場であっても全く支障がなく、
寒さが障害にならない手段を考え出すようにと、
命じられたことから、
この薬の開発が始められました。
ラスプーチンは、厳寒をなくすことはできない、
それよりも、人間の身体を変える方が早いと、
判断したのです。
もちろん、検体の犠牲となったのは、
数多の囚人たち、特に政治犯たちです。
記録によれば、服用しただけで、
死亡してしまった例は、数限りなしと記されています。
サンクトペテルブルグの囚人だけでは、
検体数が足りなくなり、
近郊からも、囚人を集めたようです。
怨讐の人体実験を経て、
5年後の春、薬はなんとか成功を見たのです。
当初は、「生神女マリヤの慈悲」と呼ばれていました。
兵士たちは、薬を服用して、
まるで、夏場のような身軽さで、
極寒の戦場で戦ったとあります。
ラスプーチン本人が、不死を噂されるほど、
恐ろしく強い生命力と精力の持ち主でしたから、
薬に対しての信頼は、揺るぎないものでした。
ラスプーチンの謎の予言を残した悲惨な死後、
ラスプーチンのお抱え医師と薬剤師は、
姿を消し、ようとして行方は知れないままでしたが、
ラスプーチンの名が入った調剤書が、
なぜか、スペインの大学書庫で発見されました。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「氷漬けにされても死なない薬」処方

サラマンデルのミイラ・・・・・・・・・4匹分
カカオ油・・・・・・・・・・・・・・・大匙2杯
ニンニク・・・・・・・・・・・・・・・10個
ショウガ・・・・・・・・・・・・・・・10個
マムシの毒のシロップ・・・・・・・・・大匙1杯
山羊の睾丸・・・・・・・・・・・・・・1頭分
タマネギ油・・・・・・・・・・・・・・大匙2杯
ラムプレイの肝臓・・・・・・・・・・・20匹分
コーカサス牡牛の肝油・・・・・・・・・小カップ1杯
アゾフ海産の牡蠣・・・・・・・・・・・10個

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備考欄
極寒の中で、身軽な薄着のまま、
風邪をひくこともなく走り回れて、
凍傷にかかって、手指や足を切断するような、
酷い事態にもならない。
これは、なかなかの戦略ですが、
この薬は、1日に6度の服用が必要であり、
その上、服用量が微妙に違っただけでも、
汗をかく暑さに見舞われます。
身軽どころか、半裸で走り回りたくなるほど。
敵側の記録には、
怪しい兵士の集団あり、
極寒の中、真夏のように軽装備で、
彼らの頭上には、ゆらゆらと陽炎が立ち、
目は悪魔のように据わり、
汗を浮かせながら、突進してくるとあります。
当然、薬が切れてしまうと、
猛烈な寒さが、一気に襲ってきます。
そのせいで、心臓麻痺を起こすこともしばしばでした。
サラマンデルのように、稀少な調剤料も必要ですから、
何度も製剤するのは、たいへんなように思えますね。
しかし、実は、この薬を服用した人間の肝油は、
同じ効果を表すことが判明したらしく、
戦死した兵士を解体して、
肝油を精製し、兵士たちに服用させていたようです。
さすがは、怪僧が関わったお薬ですね。

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