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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは!
「不思議な薬箱を開く時」です。
古今東西に名立たる妙薬が、ずらりと!
信じて服用すれば、たちまち、その効果の虜となるかも・・・。
さて、真実のほどは如何に?
では、お薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・⑱

「美声になる薬」

美しい声で話すと、
誰もが、うっとりとして、
普通ならば、通らない案件も、
さらりと受け入れられたりすること請け合いです。
恋愛にも、お仕事にも、役に立ちそうでしょう?
1700年代、イタリアで、大人気を博していたカストラート、
カルロ・ブロスキ、通称ファネッリは、
その美声で、女性たちをしばしば失神させていましたが、
実は、カストラートではなく、
この薬を服用していたと言われています。
この薬は、アラビアの医師であり、
錬金術師でもあった、アフリッドが、
スルタン(皇帝)からの命令により、
命がけの研究の成果を出した結果です。
アフリッドは、いかなる理由からか、
死罪となる運命から、ヴェネチアへ逃亡し、
アフリッドの叡智の提供を条件に匿ったのが、
薬剤問屋を営んでいたメディチ家でした。
この薬の調剤法は、メディチ家の書庫に残されていたものです。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「美声になる薬」処方

オオコウモリガの冬虫夏草・・・・・・・・・・・・5匹分
ベトニー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
タンジー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
カッコウの卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
クロツグミの卵・・・・・・・・・・・・・・・・・1個
若い葡萄酒(赤)・・・・・・・・・・・・・・・・・30㏄
ゴマ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50g
生のアーモンド・・・・・・・・・・・・・・・・・10粒
イェニの琥珀・・・・・・・・・・・・・・・・・・小1個

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備考欄
さても、美しい声とは、
まともに聞けば、気を失ってしまいそうなほど!
そんな薬をカラオケ大会やら、地方ののど自慢大会程度のために、
服用しないほうがよいのでは?
一生を歌うことに捧げたい!など、
刹那的かつ芸術的な願いを叶えるためなら、
冬虫夏草に侵されたオオコウモリガの幼虫を探しに、
チベットの奥地に分け入り、
命と魂の危険を覚悟して、
砂漠を絶えず放浪しているらしい、
イェニという怪物の体内にある、
世にも珍しい琥珀を入手する旅へと出掛けるのも、
まあ、仕方のないことかもしれませんね。
この薬を服用したあなたの取り合いが開始されると、
戦争の勃発も予想されますから、
美声がゆえのもてはやされる人生を楽しめる反面、
休める暇なく、狙われる人生もありということを
覚悟しておきましょう。

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