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放任主義の賜物

私は2児の母だ。中学2年男子と小学6年生女子の子どもがいる。
周りには、子育ても仕事もして凄いね。と言われるが、全然凄くない。
ほぼ放置である。ポジティブに言うと、子どもにお任せしている。
凄いねと言われるほど、ちゃんと子育てをしているとは言いがたい状況だ。
 
この放任主義のおかげで子どもたちは、自分で何とかしようとする自立力が養われたと自分の中で正当化している。
 
先日、これでよかったのかもしれない。と思った出来事があった。
 
先週、小6の娘の修学旅行があった。
ママにも持ち物チェックを一緒にやってほしいといわれ、面倒だな~ と思いながら渋々付き合った。
 
学校から配布された修学旅行のしおりを見ながらチェックをしていたが、
驚いたのは、持ち物リストの細かさだ。
 
・お風呂の時に着替えを入れるビニール袋
・お土産を買う時の買い物袋
 
えっ? そこまで細かく書いてあるんだ! と驚いた。
余計なものを持って来ないようにという予防線なのだろうか。
忘れ物をしないようにという配慮かもしれない。
細かく書いてあげることは、上記を回避できる反面、
自分で考えて必要なものを考え、失敗して、次の対策を練るという大切なスキルを身に付けられないのではないかと感じたのだった。
 
息子と娘はよく忘れ物をしていた。特に息子はいまだに呆れるほど忘れ物をする。だが、その都度何とか自分で対処をして乗りえている。
(何とかなるから忘れ物がなくならないのかもしれないが……)

我が家は、家族でよく旅行やキャンプに出掛ける。
小学入学前は、持ち物の用意は私がやっていたが、小学校に入ってからは、すべてお任せしている。
 
そうすると、毎回必ず、靴下やパジャマなどの忘れ物がある。
「言ってくれないとわからないじゃん!」とか
「ママ、教えてくれなかった」
と怒られるが、困るのは自分なので、次からも用意はしない。何度か忘れ物が続くが、そのうち改善されている。
 
学校の持ち物も同様だ。前の日までに用意をしておくようにと、最初は2-3度伝えても、なかなか言うことは聞いてくれない。
そのため、忘れ物をしてしまったり、朝になって慌てて気づいて購入が間に合わないということも起こっていた。
このような失敗を繰り返し失敗していくうちに、子供たちは、前もって自分でアラートを出したり、準備をするようになるのだ。
最近は失敗経験が活き、前もって準備したり、私に細かくアラートを出してくるようになった。
 
子どもは、何度も忘れ物をして自分が困るので、自分事になる。次は失敗しないようにと考えるようになる。
ここで親が、忘れ物をしないようにと手を出してしまうと、なかなか変わらない。手を出してしまうと私が言ってくれなかったと、私を頼るようになってしまうだろう。
 
私も含め、反省しないといけないのは、子どもに細かく指示を出してしまうことだ。
どうしても、予定通りに、想定通りにやってほしい想いが先行してしまい、あれやこれやと指示をしてしまう。
子どもたちは、この細かく指定してもらうスタイルが日常になっているうちに、自分で考えるということをしなくなってしまっているのではないかと。
 
旅行の持ち物準備は、旅程を思い浮かべながら、過去の経験を元に、起こる出来事を想像して、困らないよう持ち物を考える。
その考える行為が本当は大切なのに、ここまでお膳立てされてしまっていると、子どもたちは言われた持ち物をただ揃えるという行動だけになってしまい、思考停止してしまうのではないか。
 
私の放任主義は、子どもが自分で考える力に繋がっていたのでは? と思い、これまでは若干後ろめたさがあったが、よかったかもしれない。と思えたのだった。
 
また、こんな出来事もあった。
子ども会の行事で、ウォークラリーが開催された。祖父、両親、子供の3世代が1つのチームとなり、歩いてクイズを解きながら、三世代の交流を楽しむというものだ。
 
オリエンテーションでは、司会を小学生が担当し、原稿を読み上げていた。
すると、子どもが発言をするたび、後ろから大人が、何度も何度も細かく指示をしていた。
指摘をされる度に、司会をしている小学生は、話を止められて混乱している様子だった。

あまりに細かく指摘され続けると、子どもはとにかく言う通りにすることだけを主眼に置き、そもそも司会の役割、聞いている人に何を伝えないといけないのか。ということを考えることは1ミリたりともしなくなるだろう。
 
見栄えや世間体しか考えていない、あれしなさい。これしなさい。という本質的ではない細かい指摘より、私たち大人が伝えるべきことは、何のためにやるのか、こういうやり方だとどういうことが起こるのか等、本当の意味・意義を伝えることではないだろうか。
 
子どもは大人が思うほど、できなくはない。
本当の意味を伝えたら、きちんと自分で考えられる能力を持っているのに、
大人がその思考を狭め、止めてしまっているのだ。
 
子どもの発想はとても柔軟だし、斬新だ。
凝り固まった大人の思い込み、前例に囚われていた常識を覆してくれることだってある。
 
失敗をして、自分で学び、自分の頭で考える。
そのためには、大人はお膳立てをしすぎない。
失敗しても、怒るのではなく、次どうしたらいいのか? を問いかけてあげる。
そして、本当に困った時に、大丈夫な状態にだけ影でしておく。
極力、最後まで手を出さない。

かくいう私も、あれやこれやと指示をしてしまう時があり、あらためて子供にお任せすることと、親がフォローしてあげることのバランスの大切さを考えた出来事であった。

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