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Box Japan佐藤氏に聞く!全員野球で勝つためのセールスイネーブルメント

こんにちは。イノベーションの池上です。今回は、株式会社Box Japanの佐藤範之さんに全員野球で勝つための『セールスイネーブルメント』について聞いてみました。

この記事で分かること
・Box Japan急成長の秘訣。
・驚異の営業力育成に欠かせないセールスイネーブルメントとは何か。
・セールスイネーブルメントとは何をするのか。どうすれば成功するのか。
・これから
Box Japanが目指す先が魅力的すぎること。

佐藤範之さんとBoxの紹介

佐藤 範之(さとう のりゆき)
株式会社Box Japan 上席執行役員
エンタープライズ営業本部長
1996年に富士通株式会社に営業として入社。その後、大手外資系IT企業で営業を担当。SaaSベンダーでは、セールスフォースをはじめ、サクセスファクターズ、Boxの3社で、立ち上げフェーズも含む豊富な経験を有する。各社において様々な業界のお客様の全社導入を支援し、日本の企業・組織のクラウドシフトをサポート。

◆Box
Boxとは、Box社の提供する法人向けコンテンツクラウド。コンテンツを一元管理することで、セキュリティの強化と時間や物理的な場所にとらわれない多様な働き方を支援するSaaSサービス。米国に本社があり、2005年に設立。

Box Japanが急成長している理由

Boxの日本での利用者数は2019年の約5,000社から、2021年に1万社以上となり、2年間で倍増しました。そして、コンテンツクラウドの領域で認知度も上がり、お客様の課題を解決できるベンダーに成長したと感じています。

この急成長はコロナの影響が追い風となっています。多くの会社でテレワークの導入が余儀なくされ、ランサムウェア対策や脱PPAPの議論が加速しました。結果、これまで保守的だった官公庁、金融、病院もBoxの新たな顧客となりました。

Boxのグローバルビジネス全体の中でも、日本市場は特に目覚ましい急成長を遂げており、コロナの影響だけではないと考えています。この追い風をさらに加速させる営業戦略と営業力があったと考えています。

それは、ABM(アカウントベースドマーケティング)によるエンタープライズ営業パートナー戦略、そして営業力を育成するために欠かせないのはセールスイネーブルメントです。

日本市場飛躍に欠かせない営業戦略とは

Box Japanでは大きく2つの営業戦略があります。1つ目はセンターピンだけを狙うエンタープライズ営業です。具体的には、日経225に入るような大手企業だけに売りに行くという戦略を取っています。

このセンターピンを狙う戦略によって、顧客のラインナップには誰もが見たことのある企業のロゴが並んでいます。そうなると、Boxの信頼や認知度のアップにつながり、さらに導入を決めていただける企業が出てくるんです。

2つ目はSaaSサービスでは珍しい完全パートナーモデルの販売戦略が成功していることです。すでに300社ものチャネルパートナーがおり、市場拡大における大切なパートナーになっていただいております。また、一見競合サービスとなりえる大手の企業とも協業ができていることも、日本市場が成長している大きな要因と考えられます。

脅威の営業力育成に欠かせないセールスイネーブルメントとは

急成長中の企業にとってセールスイネーブルメントはなくてはならないファンクションだと思っています。Box Japanで専門のセールスイネーブルメントチームを立ち上げたのは3年前です。立上げの背景には、営業担当者の採用を加速させたことがありました。

チームが10名程度であれば、現場のマネージャーの目が行き届くため、育成を任せていても特に問題はありません。しかし、チームが30名を超えても、現場のマネージャーだけに育成を任せたままでは、営業担当者ごとのパフォーマンスや成果にばらつきが生じてしまいかねません

営業の成果やパフォーマンスのばらつきを少なくし、トップセールスだけではなく、全員野球で勝つためにセールスイネーブルメントを導入しました。結果、過去8年間の営業成績はレコードを更新し続けており、Boxグローバルセールスランキングトップ10の過半数に日本の営業がランキングしています。

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全員野球で勝つための取組みとは

セールスイネーブルメントは、採用時のオンボーディングプログラムとその後の継続プログラムの2種類があります。オンボーディングプログラムは、導入研修とOJTを目的としています。継続プログラムは市場や顧客ニーズの変化、最新情報をインプットする機会として設計し、常に営業担当者に刺激を与えることを目的としています。

セールスイネーブルメント取組み内容
■オンボーディングプログラム(=
営業担当者のOS(=戦闘能力)を高める)
採用後2ヶ月間に渡って、Boxの商材理解、営業戦略や戦術について徹底的に身につけるための数十のプログラムを行います。講師は各部門のマネージャーやヘッドが担い、生きたスキルや知識を提供しています。
OJTでは、パフォーマンスや成果が一定以上の品質になるまでマネージャーが寄り添います。マネージャーは評論家にならず、やってみせる、フィードバックする姿勢で実施します。

■継続プログラム(=営業担当者のアプリケーションを更新していく)
1年間の営業戦略に沿って、ファーストコール、アクセラレーション、クロージングなどその時期によって必要なスキルのトレーニングプログラムを行います。
営業担当者とマネージャーでスキルチェックシートもスコアリングしています。強みを活かした人員配置、課題スキルに対する育成計画に活用します。
週1回「学びの部屋」を開催し、学びになる案件やノウハウ共有の場を企画しています。
ヘッドがSalesforceに蓄積しているお客様との面談履歴を毎週すべて読み込み、営業戦略や戦術と照らし合わせてよいアクティビティ、顧客のニーズ、市場の変化、そしてセールスの課題などを週次でニューズレターにしてSlackで共有しています。

オンボーディングプログラムは年単位で見直してますが、継続プログラムは常に状況の変化に対応できるように更新をし続けています。セールスイネーブルメントに終わりはありません。

セールスイネーブルメントを成功させる秘訣とは

セールスイネーブルメントを成功させるためには、オープンなカルチャーがなくてはならないと考えています。セールスイネーブルメントはGTM(Go-to-Market)に関わる全員参加が必須です。また自分自身のノウハウや商談時の情報を包み隠さずオープンに情報共有することも必要なんです。

例えば、四半期ビジネスレビューなどはチームに所属していなくても誰でも参加できるようになっており、オープンに情報が共有されます。

また、Box Japanのエンタープライズ営業部門は、顧客との最初の接点となり、面談機会を獲得するOBR(アウトバウンド)チームと非常に密に連携しております。多くの会社では、商談を行うチームが面談を獲得するチームよりも上だ、のように上下関係があったりします。

しかし、Box Japanではチーム間、メンバー間の上下意識がなく、常に対等なビジネスパートナーの関係です。全営業が週次で担当OBRとMTGを持ち、自分のターゲットリストにおけるお客様へのアプローチ方法の検討や、お客様やマーケットのトレンドなどを共有してます。

また、セールスイネーブルメントチームだけに任せるのではなく、営業チームと連携することが不可欠です。Box Japanでは継続プログラムのコンテンツは営業チームと共に企画することで、現場に適したプログラムを開発し、旬なうちにデリバリーすることで成果を出しています。

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これからBox Japanが目指すもの

これからのBox Japanはもっとおもしろくなります。日本では既に1万社以上のお客様がBoxを導入していますが、まだまだホワイトスペースだらけです。2023年にBox Japanは設立から10周年を迎えます。それまでに次の目標を立てています。

■Box Japan10周年に向けた目標
企業のコンテンツ管理の領域でデファクトスタンダードになる。
具体的には、上場企業400社のうち30%以上の企業で全社導入することを目指します。さらに、業界トップ企業への全社導入を目指します。

この目標を達成するためには、もっと多くの仲間とチャレンジしていく必要があります。エンタープライズ営業に挑戦したいという方にもっと出会いたいと思っています。Box Japanの営業職はとても魅力があります。

■Box Japanの営業職の魅力
Box Japanでは他社では経験できない、こんな経験ができます。
〇トップコール、チャレンジャーセールスの経験ができる。
〇数億単位の大型の取引きも経験できる。
〇SaaSサービスではめずらしい完全パートナーモデルのアプローチを経験できる。
〇継続的に成果を上げるためのセールスイネーブルメントを経験できる。

ただし、魅力がある一方で厳しさももちろんあります。価格も高く、大手の競合があり、今までのファイルサーバーを使い続けることもできるため、Boxは売るのが難しい商材だと思います。また、営業戦略や戦術、必要な情報が与えられているため、それでも成果が出ないときは自責にするしかできない環境です。それでも、キャリアに新たなメタデータを刻み、自分の市場価値のレア度を上げて磨きたいと思う方、待っています!詳しくはこちらをご覧ください。

この記事のまとめ

今回、佐藤範之さんに伺ったポイントをまとめます。

この記事のまとめ
・Box Japan急成長の秘訣

コロナの追い風をさらに加速させる営業戦略と営業力があった。営業戦略はセンターピンだけを狙うエンタープライズ営業とパートナーモデル、脅威の営業力を育成するためにはセールスイネーブルメントが欠かせない。
・驚異の営業力育成に欠かせないセールスイネーブルメントとは
営業担当者のパフォーマンスや成果のばらつきをなくし、全員野球で勝つために欠かせない。
・セールスイネーブルメントの取組み内容
採用時のオンボーディングプログラムと継続プログラムがある。セールスイネーブルメントに終わりはない、市場の動向や顧客のニーズ変化を捉え、常に更新していくことが必要。
・セールスイネーブルメントの成功に必要なこと
オープンな情報共有と営業チームとの連携が不可欠。
・これからBox Japanが目指す先
2023年までに企業のコンテンツ管理のデファクトスタンダードを目指す。目標達成のために新たな仲間を募集中!

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インタビュアー自己紹介

池上 朋子
2021年7月、株式会社イノベーション入社。
セールスイネーブルメントツール「Sales Doc(セールスドック)」のマーケティング担当。
セールステック業界ド新人の視点で「法人営業ってかっこいいな」を伝えていきたいと思っています。
Twitter|@tomoko_ikegami