#6【物流DX】物流において何故DXが必要なのか
物流に馴染みがある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
おそらく、物流に関わる方々以外はほとんど馴染みがなく、物流といえば宅急便? というくらいのイメージしかないと思います。
しかし今、物流は電気や水道などと同様、私達の生活に無くてはならない重要な社会インフラの一つになっています。
みなさんは日々ご利用されている通販の商品を自宅まで届けてくれる宅急便はもちろん、コンビニやスーパーへの商品の配送、レストランへの食材の供給なども物流の役割で、これが麻痺すると買い物すらできなくなります。
さらに、その食品や日用雑貨を製造しているメーカーの工場に原料を届けるのも物流の役割なので、店の棚に運ぶどころではなく、そもそもそれらの製品を作ることすらできなくなってしまいます。
物流はこのように、私達の生活と経済を支える主要インフラなのです。
この物流の領域に、今危機が訪れようとしています。
人手不足によって、モノが運べなくなるという事態です。
既にイギリスでは、その状況が実際に起っています。
#3 「Logistics Resource Planningとは」で書いたとおり、日本においても物流業界は深刻な人手不足に見舞われています。
これは何故かというと、物流業界は全職種平均よりも労働時間は2割長く、平均賃金は1~2割少ないため、なり手がいないからです。
そんな状況なので、若年層の割合はどんどん低くなり、業界全体で高齢化が進んでいる状況です。
では、どんどん若者を雇いましょう、となりますが、そう簡単な話ではありません。
今の若者は、小さな頃からゲーム機やスマホに慣れたデジタル・ネイティヴ世代です。
緻密な配送計画は熟練の職人の頭の中で立てられ、物流を知らない素人は罵声を浴びせられ蔑まれる。
紙、電話、FAXなどの昔ながらのコミュニケーション。
そんな昭和全開の業界に、スマートな働き方を望むデジタル世代の若者が足を踏み入れようと考えるでしょうか。
私でも考えません(笑)
実際、物流に対する知識のなさもあり、物流業界を志す学生はほとんどいないそうです。
この後継者不足という課題のほか、法規制等の外的要因も物流危機を加速させる要因のひとつになっています。
旧来、物流は人の努力で無理やり成り立たせてきました。
地方から都心部まで夜通し走る長距離輸送、体力勝負の肉体労働。
納期重視で荷物がほとんど載っていなくてもトラックを走らせる。
これらは、人がたくさんいて長時間労働が奨励されていた時代だからこそ成り立っていました。
しかし今は最早そのような時代ではありません。
2024年には長時間労働の規制も更に厳しくなります。
また、二酸化炭素排出量削減など、企業の社会的責任を果たすための制約も積み重なってきます。
様々な要件によって複雑化する物流の業務を、少ないリソースで回そうとするには、いよいよ人手では限界が近づいている、ということです。
そこで各企業はシステム導入を考えます。
しかしそれはシステム導入の下手な日本企業のこと、今やっている業務の延長線上で表面上は少し楽になる、しかし根本は変わらないという「現行踏襲型のシステム化」を目指します。
しかも各社ごと、下手したら業務領域ごとにバラバラのシステムを自社要件に合わせて開発してしまいます。
個別最適はそれぞれの現場にとっては良いかもしれませんが、この記事に書いたとおり、サプライチェーンは個社では決して完結せず、関係するたくさんの企業同士が複雑に連携しながら「ものを運ぶ」という業務を行います。
結果、情報の定義や粒度はいつまで経っても揃わず、昔ながらのアナログな運用やコミュニケーションばかりで全体を可視化することはできず、様々な”無駄”は排除どころか見つけることもできず、人手が足りない、ものが運べない、という物流危機の到来を防ぐこともできずにいる、という状況です。
解決するためには、Logistics Resource Planning™ ”MOVO”のような、全てのプレイヤーがアクセスして各業務を行う共通プラットフォームをサプライチェーン全体で導入すれば良いのですが、上記にあるように「現場主義で職人気質」の方々が、「現場も知らずに理想論を語るんじゃねえ」などと凄んでこの変革を阻害するのです。
この考え方は物流危機の解決を阻害する、そして結果物流を衰退させる癌でしかありません。
DXとはDigital Transformation。
ただデジタル化するのではなく、トランスフォーム、つまり変革するのです。
商習慣も、運用も、物流に携わる人々の考え方も、全てを変革し、日本の経済と人々の生活を支える物流の最適化のために全員が同じ方向を目指す。
これができなければ、日本の物流の未来は明るくなりません。
日本の物流の未来のために、物流DXは必須なのです。
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