事業アイデアを形にできない人へ
テレビ画面には今勢いのあるスタートアップの創業者がインタビューを受ける様子が映っている。どうやら今期の売上は100億円を超え、初の黒字化も達成したらしい。
そのスタートアップがやっていることは遊休資産をまとめて売る、よくあるビジネスモデルだ。
実を言うと、今取り上げられているこの企業が創業するよりも2年早く、私が起業しようと考えていた事業アイデアだ。
あの時、起業していたら今頃この画面に映っているのは俺だったのかもしれない。
明日は月曜日、こいつは満員電車で揺られて通勤なんてしてないんだろうな。あの事業アイデアを実現しなかった自分を恨むぜ。
なんて、現実で思っている人が居たら相当に"痛い"人ですよね。儲かりそうな事業アイデアを思いつくのは確かに偉い。ただ、そのアイデアは実際に形にしてみるまではただのアイデアでしかありません。
ぼくのかんがえたさいきょうのあいであ、でお金が稼げるのは妄想の中だけ。
実際の事業として形にするまでは、あれやこれやと脳内でアイデアを弄り回すのとは比較にならないほど大変です。
事業を作るために必要なことは多岐にわたります。資金に乏しい個人が起業するために資金調達のために事業計画を作る、エクイティでの調達を視野に入れて投資家をたずねて回る。
プロダクトを実現するために少しでも開発を進めたり営業をしにほうぼうを飛び回る。到底一人では成し遂げられない量のタスクがあるが、人を沢山雇えるほどの資金はない。
知り合いに無償で働いてもらっても、熱量が全く違うため遅々として進まないプロジェクト。
やっと形になったプロダクト。しかし誰も使う人はおらず……。
起業する人はなぜかアイデアで悩むことが多い
起業したいと思っている人はなぜかアイデアに関係した悩みを抱えていることが多いんです。
「起業アイデアがない」、「アイデアはあるけど実現する方法が思いつかない」と。
起業アイデアがない人は楽。
起業アイデアがない人はまだ楽です。なんせ儲かる事業を探してそれを真似すればよいだけですから。
そのために必要な具体的な情報は既にスモールビジネス大全でもお伝えしています。
問題は起業アイデアがある人
問題なのは「良い起業アイデアがある!」と思い込んでいる人のほうです。
いやね、儲かりそうなアイデアが思いつくのは偉いんですよ。ただ、それを実現するための経路が存在してないんです。
空高く、雲の上に儲かりそうなアイデアがプカプカと浮かんでおり、それを指さして「アレをとれば大金持ち間違いなし!」と無邪気にはしゃいでいる人が多いこと多いこと。
そして、そのアイデアを聞かせて何がしたいのかと思えば「このアイデア、形にしていいですよ」と。そこらへんの学生でも思いつくようなアイデアを。
社会人にもなって「アイデアがある」だけの人は相当に痛い。当然、スモビジ大全の読者の皆さんにはそんな人になってほしくありません。
「良い起業アイデアがあるのにーー」と言わずに済むように今回のnoteを書いています。
「儲かりそうなアイデア、いかにして実現していけばよいのか?」知りたい方はぜひ読み進めていきましょう。
アイデア実現のための大前提
まず、大前提ですが「俺はアイデアを出す係だから」なんて思うのは辞めましょう。そのアイデアに夢を持っているのはあなただけです。
友人・知人を頼ったところで本気でコミットしてくれる人は多くないです。アイデアを思い付いた勢いでいろんな人を誘う。週末に数回集まって会議っぽいことをしたものの、徐々に参加者は減っていきいずれ自然消滅。
このパターンをいくつも見てきました。
持ってないと99%失敗するモノ
あなたは否が応でも「アイデアを実現する主人公」にならなければなりません。それがアイデアを形にするための大前提。
「でも、俺は開発とかできないし……」
開発ができないならできるようになる。必要な人を集める活動をする、人を雇えるだけのお金を集める。あなたがやるべきことは沢山あります。
カネもコネもスキルもない。それなのにいいアイデアができたから成功できるなんて信じるのは大学生までにしてください。
アイデアはある、でも金は出さない。
アイデアはある、でも人が居ない。
アイデアはある、でも行動はしない。
これじゃただの妄想です。ぼくのかんがえたさいきょうのビジネス、に酔っているだけ。本当にそのアイデアに惚れ込んでいるなら行動できるはずなんですよ。
行動をしないのは、自分でもどこかで、そんなにいいアイデアじゃないことに気付いているということ。
分からないことがあっても、不安にさいなまれても、次に何をやるべきか見えなくなったときも行動し続ける行動力を身に付けているという大前提をクリアしましょう。
前提が身に付けられてない人は「行動力大全」を実践して身に付けてください。
率先して行動し、アイデアを実現する主人公たれ。
アイデア実現のためのステップ
アイデアを事業にするまでに必要なステップは以下の通り。シンプルですね。
実現のためのプランニング
必要なリソース集め
実行!ゾス!
ステップ1. 実現までのプランニング
計画は往々にして変わりますが、スタートの段階から「とりあえず動こう!」と走り始めるのがベストとは言えません。
実行に迷いを出さないために、最低限の設計はしておきましょう。そうすることで。設計が悪かったのか、実現が悪かったのかの評価ができます。
評価ができれば改善することができます。
改善ができればいずれは売上につながります。
行き当たりばったりで成功しないとは言いません。しかし、その道は過酷です。成功者の自伝などで「計画は崩れるから無駄」と書いてあっても信じてはいけません。
あなたと成功者の間で”計画”という言葉に大きな認識ギャップがあるかもしれません。
私が思う最低限の設計とは、誰にどんなベネフィットを与える商品なのか?という商品コンセプトの設計、お客様が私たちから購入する理由はなんだろうか?というUSPの設計。
事業化して利益が残るようなビジネスモデルの設計。
見込み顧客にアプローチするための経路、集客チャネルの設計。
他にも、事業化までに検証しなければならない仮説は何か?仮説を最小のリソースで検証する方法は?なども考えておきましょう。
これらは最低限やっておくべき設計。これが完了したら次のステップに進んでください。
ステップ2. 必要なリソースを集める
アイデアが事業になるための最低限の設計が完了しました。テンションが上がっているかもしれませんが所詮はまだ机上の空論にすぎません。
設計した事業を実現するためにはリソースを費やして、設計(仮説)が正しかったのか?を検証していく必要があります。
仮説検証を最小リソースで行える方法を考えましょう。いくら最小リソースで行うと言っても全くのゼロで検証することはできません。
あなたは検証のためにカネやコネ、スキルなどの必要なリソースを集める必要があります。
ステップ2-1. カネの集め方は大きく2種類ある
カネを集めるやり方は大きく分けるとエクイティとデットの二つ。エクイティは株式を発行してお金を集める方法。デットは簡単に言うと借金。
どちらもメリットデメリットありますが、成功確率が低いスタートアップはエクイティで集め、スモールビジネスはデットで集めるイメージがあります※。
※「スキマバイト」アプリを展開するタイミーなどは183億円を無担保・無保証かつ金利年1.0%未満で借入したと話題になりましたし、スタートアップはエクイティ調達と決まっているわけではありません。イメージです、イメージ。
全くの未経験で副業的に行うのであれば自己資金で対応できる範囲をおススメしていますが、場合によってはデットでの資金調達を考えましょう。
ステップ2-2. 無担保・無保証で3000万円の資金調達する方法
日本政策金融公庫(公庫)の新創業融資制度は無担保・無保証人で最大3000万円まで資金調達ができます。
デットファイナンス、つまり借金ではありますが「無担保・無保証人」です。ありえないくらい好条件。
そして、借金をするのは法人格であって代表取締役のあなたではありません。つまり、事業がうまく行かず返済ができない状態になってもあなた個人の財産は保護されますし、信用情報も毀損しません。
ちなみに、使えるのは原則一度だけ。当たり前ですね。詳しく知りたい方は公庫のページをご覧ください。
ステップ2-3. コネを作る
カネがあれば事業が成功するかというと、そんなわけはありません。コネがあった方が上手くいくことの方が多いでしょう。
「でも、自分にはそんなツテないし……」という人も多いのですが、よく考えてください。SNSやネットが発達して今ほど人にアプローチしやすい時代はありません。
「コネがない……」と嘆いている人の99%は自分にどんな人が必要なのか?を考えたこともない人です。だからその人にアプローチするための方法を思いつかず、行動に移れないのです。
顧問紹介・派遣サービスを少し調べれば、ビザスクパートナーやSPEEDA EXPERT RESEARCHなどエキスパートとつながれるサービスが見つかります。
コネやツテがないのではありません。たった数十秒かければサービスを見つけられるのにその手間を惜しんでいる、ただの行動力不足にすぎません。
ステップ2-4. コネを作る寝技的なやりかた
エキスパートとつながれるサービスを利用するのが最も手っ取り早いですが、”この人”という明確なイメージがあるのであれば寝技的なやりかたも考えましょう。
例えば出版している書籍を全部買って手紙を書く、イベントを開いていれば参加する、など。相手が喜んでくれそうなことをとにかくやり続けてください。
あなたがつながりたいと思った人は恐らく超多忙ですし、有象無象からDMなどで何の得もない「会ってください」というオファーをもらいまくってます。
その有象無象の中に紛れてはいけません。
あなたが若ければ若いほど、反応してくれる可能性は高くなるでしょう。
まぁ、いくらコネを作ったところで事業化をするための主体はあなたです。コネができたから成功する、なんてことはないので夢は見ないようにしましょう。
ステップ2-5. スキルを手に入れる
サービスを提供するためには、動画編集やプログラミングなどのスキルが必要なものがあります。
ここで、何も考えずに「スキルを習得するために勉強しよう!」というのは悪手です。他にいい方法がないか考えましょう。
例えば人を雇う。業務委託で人に頼んだ方が早く、クオリティが高いのであればそうした方がいいですよね。
スキルが必要だからスキルを習得する、が悪いとは言いません。リソースの消費を抑えるために最も合理的な選択になることもあるでしょう。しかし、固執してはいけません。
事業を作るためにスキルが必要なのであって、必ずしもあなたがスキルを身に付ける必要はありません。
例えば時給3000円(年収600万円弱)の人がいるとしましょう。そしてスキル習得には200時間、その後活用するのに追加で300時間かかる。
この場合、約150万円分のコスト+時間リソースが費やされているのです。
本当にあなたがスキルを身に付けるべきなのでしょうか?事業化のためにやるべきことは他にないのでしょうか?よく考えてスキルを集める方法を考えてください。
ステップ2-6. 時間を手に入れる
最も貴重な経営資源が時間。
ほかのリソースはどうにかして調達することができますが時間を増やすことはできません。富める者も貧しい者も1日24時間という制約の中ですべてを進めていく必要があります。
人を雇って疑似的に時間を増やすことはできますが、1日が25時間になるわけではありません。
自分が何にどのくらいの時間を使っているのか?を正確に把握してください。恐らく事業と関係ないことに使っている時間が大量に見つかることでしょう。
それが無駄だとは言いません。ソファに座ってNetflixを見る時間は至福かもしれませんからね。
ですが、「事業のためにとれる時間がない」など嘆くのは辞めてください。時間はあります。ただあなたが事業に使ってないだけです。
ステップ3. とにかくやる!ゾス!
なんだかんだこのステップが大事。
計画もあって、リソースもあるならあとはやるだけ。四の五の言ってる場合ではありません。
行動力大全などをお供にやり切る。以上。ゾス。
当然、最初からうまく行くとは限りません。仮説を検証した結果、「あれ?なんか思ってた結果にならないな」となることもあるでしょう。
そうなれば仮説を変えて検証すればいいだけ。
失敗ではありません。仮説を検証し、どうやら間違っているらしいという結果を得ることができたのです。成功です。
その成功を繰り返していくうちに売上につながる成功、利益につながる成功、利益が大きくなる成功、労力が小さくなる成功など沢山の成功が積み重なっていくことでしょう。
簡単ですね。
言い訳するとき最高のクリエイティビティを発揮するのが人間
事業化するためおおカネがなくて
本業が忙しくて時間が無くて
副業が禁止されてて
やったことが無くて
コネが無くて
家族が反対していて
ーーわかります。アイデアを形にしない言い訳、無限にできますよね。
人間は言い訳をするときに最高のクリエイティビティを発揮しますからね。
でも、その創造性があなたを豊かにしてくれることはないです。どうやってやるのか?という方向に創造性を働かせてみてください。
プラスの方向性に発揮されたクリエイティビティこそがあなたに豊かさをもたらしてくれるでしょう。
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