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【考察】西岡監督考案のクラブミュージック攻撃は成功だったのか


考察カテゴリーでは真面目なものから不真面目なものまで真剣に推論していきます。
これらは全てサク来の個人的な考えであり、他の意見も尊重したうえで書かせていただきます。
なおカテゴリーの特質上、ご意見・ご感想等は全てお受けしますのでお気軽にご連絡ください。


Title Photo by @kitaphoenix

22シーズンよりKALに所属する福岡北九州フェニックス。西岡剛監督は従来のスタイルから脱した新しい数多くの試みを取り組みました。その中でも、今回は、北九ホーム開催時における俗に言う「クラブミュージック攻撃」について考えてみます。
(「なんで火の国が北九の事に口出すんや!おかしいやろ!」と思われるかもしれませんが、今回はKALの応援に関する考察であり、私自身興味があったため挙げさせて頂きました。ご了承ください)

なおこの考えは全てサク来のものであり、サラマン隊の意向とは別でございます

クラブミュージック攻撃

こんにちは、サク来です。

皆さんは福岡北九州フェニックスのクラブミュージック攻撃をご存知でしょうか。
初めて見聞きする方のために軽い説明をさせていただきます。

クラブミュージック攻撃は、北九の西岡剛監督考案の打者応援のスタイルの名称です。
自軍の攻撃中にクラブで流れるEDM・音源を流すことで、打線に波を起こし起点を利かす効果が期待されました。

存じ上げない方は、上記の動画を参照してください。

この作戦が採択された理由について西岡監督はインタビューでこのように答えています。

”(前略)笛や太鼓で応援してくれているファンの方々にも感謝していますよ。でも、あれもNPBの満員のスタンドやれば迫力も出ますが、太鼓の音がトントンと続くのはちょっと変えてもいいんじゃないかと思ったんです。決して否定しているわけじゃないんですけどね。すでに応援団があるチームはそれでいいと思うんです。でも僕たちは、今年1年目なんで、応援団というかたちではなくて、スピーカーで音楽を流したほうが、ファンの人も乗りやすいし、飽きないんじゃないかと。野球も興業だから、プロデュースしてみたということです。ゼロから立ち上げたんなら、新しいものをつくったほうが面白いだろうと思って。実際、選手も見てのとおり、ワイワイやっているでしょう”

「スピードスター」から「スキップ」へ。新球団・福岡北九州フェニックス監督、西岡剛の挑戦
より引用。以下記事

この記事を読み解く限り、以下のことが西岡監督の狙いと考えます。

  • 選手の精神的サポート

  • 観客の退屈防止

  • 応援団など外部の力を使わずに観客の流れを作る


ホーム開幕戦の北九州市民球場から用いられるこの作戦、サク来も現場で確認しています。
一年間通してほとんどの試合で行われましたが、SNS上から球場内まで、様々なフィールドで賛否両論の声が上がりました。
この試みで何を得られたのか、また課題点は何か、そもそも成功と言っていいのかを考えて参ります。

成果と問題・課題点


サク来は、
”西岡監督の狙いは果たされている点では成功だといえるが、それを上回る問題点や課題点が散見される”と考えます
これについて、詳しく示して話させていただきます。

成果

  • 流れを自主的に作れた点

クラブミュージックは基本DJが意図的にビートをストップさせるまで延々と流れ続けます。
もし曲が終了しても、間を置かずに次の曲が流せられるためです。心理的に情緒を興奮させるクラブミュージックを自軍の攻撃で止めどなく流し続けることで、アッパーな雰囲気を作り、勢いと流れを産みやすくしました。
実際に、22シーズンの北九のチーム打率は.292とKALトップの数字を叩き出し、打線の繋がりの強固さを見せつけました。

  • 選手の士気を保られた点

22シーズン、北九州Pの野手は独立リーグ経験者が豊富に揃いました。

4番に座ったラモン選手兼コーチ・チーム最多出場の妹尾選手は前茨城AP、西岡剛監督・ルーカス選手兼コーチは前栃木GB、松尾選手は前琉球BO、前サラマンダーズの選手は宇土憲伸郎選手といった具合で、Baseball Times vol.49に記載された野手では、16人中14人が独立リーグ経験者です。
戦い方を知っている人がいることは勝利への近道になりますが、慣れた環境から異なる環境で慣れない生活を営むことは、大きなを不安を抱えると考えられます。
そこにクラブミュージックという全選手共通で新しい刺激を加えることで、選手のモチベーション維持に繋がりました。

少し反れますが、共通のコミュニケーションを持つことは仲間意識の形成に繋がります。北九州Pではクラブミュージックのほかに、フェニックスポーズ(下記動画参照)などの打者とベンチの一体感の作り方が上手だなぁと感じます。


  • 応援のテンポを新しい面から産みだした点

クラブミュージックに限らず、音楽にはテンポが存在します。
通常、応援団がリードする場合、テンポは太鼓やホイッスルなどを用いて人為的に生み出し、応援の促進に繋げます。
しかし、前述の通り、西岡監督は応援団という形をとらずに新しいアプローチからこの流れを作ろうとしました。
そこで、球場のスピーカーからクラブミュージックを流すことで、分かりやすい4つ打ちのリズムが流れるため、観客はそこに合わせて「手拍子を取ればいい」と分かりやすさと流れの乗りやすさを産みました。

  • 観客数関わらず場の流れを掴める点

平日開催となると、観客動員は著しく低くなります。
カランッとした球場は悲壮感が漂い、スタンドよりグランドの方が人が多い日は尚更感じます。
ですが、大音量のクラブミュージックは圧倒的な流れの制圧力を持つため、常に一定の流れを出し続けられます(これは課題点でもありますが)。

以上がサク来の考える主なクラブミュージック攻撃の成果です。
攻撃面における選手の精神をサポートしていることが伺えます。

一方、問題点や課題点についても書かせていただきます。

問題・課題点

  • 広報が十分に行われなかった点

22シーズンの開幕戦、北九州市民球場には多くの観客が詰めかけました。

初回表の攻撃が終わった後、投球練習前に流れ始まったクラブミュージックはそのまま攻撃に移っても流れ続けます。
選手には予め伝えているとは思うのですが、観客からすれば急に野球場でクラブミュージックを流れて戸惑うでしょう。
SNSを漁る限り予告らしいものも見当たらず、充分な広報を行われなかったと言えます。
これはクラブミュージックにではなく球団に落ち度があったと言えましょう。

  • 他のリズムが発生とテンポが崩れる点

成果ではクラブミュージックに合わせて手拍子を叩くことで全体の流れを作ると述べました。
しかし、シーズンではこのミュージックを無視して2・3拍子(通常の応援で用いられるテンポの取り方)が自然発生する場面が散見されました。(下記動画参照)

メインのリズムと異なるリズムが流れると違和感が生じ、テンポが崩れてしまう脆弱性も課題点となります。

  • 観客との感覚の中でズレが生じている点

これはそもそも論ですが、クラブミュージックは自分たちでリズムを生み出すものあり、観客はこれに対して拍子を合わせること以外は流れを崩してしまう、違和感の原因になってしまいます。
本来、球場の流れは観客が起こすものです。ボルテージが上がる時の一体感や押せ押せムードは試合の展開から観客が生み出します(その時の暴走や先走りを抑えるためにも応援団は存在します)。
その点で、観客の自主性を除外することは応援に対するモチベーションも維持できなくなりかねません。
手前でつくった流れが観客と乖離していると西岡監督の狙い通りに行かず、観客が応援する意義が薄れてしまいます。

23シーズンに向けての改善


以上が私の考える問題点、課題点になります。
西岡監督の狙い通りならば、こういった自然発生の手拍子ではなく音に合わせた4つ打ち(それかプレーに対する拍手)が溢れるはずです。
しかし実際は、従来のスタイルの応援が発生することが多く見られます。

ここに観客とのズレが大きく影響していると考えます。
もしも、来シーズンもこのスタイルを続けるとなると改善する必要があるでしょう。
ここからはサク来が考える改善について書きたいと思います。

広報が十分に行われなかった点

先述の通り、球団広報の告知不足が原因です。
開幕戦では騒音による苦情が殺到したように、監督の意図を全く広められませんでした。
球団として試行錯誤の一年目だとは言え、観客の目線から物事を考えられていなさすぎると感じます(これは広報に限らず、球団単位でその目線が得られていないのではないかと思う時があります。無論、全部が全部ではありません)。
これに関してはまず情報発信を徹底すべきとしか言えません。

他のリズムが発生とテンポが崩れる点、観客との間にズレが生じている点

プロ野球選手にも応援のリズムでタイミングを取る方がいます。応援においてリズムを意識することは非常に重要です。

クラブミュージックを流すことは打者のリズムも作ることが出来ます。
しかし、外部から別のリズムが流れると聞く人にとって気味悪いものになります。この場合、外部とは観客です。

本来、応援団はこのような流れを纏める役割も持ちます。応援団ではなくても、観客と共に手拍子を行うアイコン的存在を作ることがサク来の改善案です。
現に、北九州Pは「フィーバーズ」と打って付けの存在があります。
台湾野球のように最前列でお手本として手拍子を促すことができたらベストだと考えます。


最後に


今回は西岡剛監督のクラブミュージック攻撃の成果と課題について考察させていただきました。

結論、広報の徹底と観客を導くアイコン的存在を置くことがサク来の考える改善策となります。

サク来はこの取り組みはすごく面白いものだなと感じます。
8月に北九州市民球場にて応援活動をした試合では、チャンスになると所謂「フロア熱狂」な音楽を流すなど、開幕戦から本当に試行錯誤していると感じます。
西岡監督のフロンティア精神には脱帽するばかりです。
しかし、音量による苦情を始めとした様々な問題も抱えます。
それを解決して、23シーズンはどのように進化しているのか、「超えるべき壁」北九州フェニックスが火の国にとってどのような存在になるか、ビジターで活動するのが楽しみに思います。



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