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関学インターン生2人と1日BIGISSUE(ホームレスの自立を応援する雑誌)を屋体で運んでみて感じたこと。

きっかけは今日発売のビッグイシュー 425号にSALAのインタビューを掲載していただいたことです。

表紙はオードリー・タンさん

私の母校は関西学院大学人間福祉学部社会起業学科。「社会起業」は社会問題をビジネスの力で解決する手法なので、その学科でまず学ぶことの代名詞として「BIGISSUE」の事例があります。

定価450円の雑誌『ビッグイシュー日本版』をホームレスである販売者が路上で売り、230円が彼らの収入になります。最初の10冊は無料で提供し、その売り上げ(4,500円)を元手に、以降は1冊220円で仕入れていただく仕組みです

ビッグイシューは市民が市民自身で仕事、「働く場」をつくる試みです。2003年9月、質の高い雑誌をつくりホームレスの人の独占販売事業とすることで、ホームレス問題の解決に挑戦しました。ホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業です。ビッグイシューの原型は1991年にロンドンで生まれました。
社会的企業とは、ビジネスの手法で社会問題の解決にチャレンジする企業のことです。最も解決が難しいと思われていたホームレス問題ですが、野宿をしているホームレスの人でも、その多くが働いており、働いて収入を得ることを望んでいます。ビッグイシュー販売者となった人は1冊450円の雑誌を売れば、半分以上の230円を収入とできる、ビジネスパートナー、代理店主、自営業者となります。

ビックイシュー日本公式ホームページより引用

実際私も大学1年生の時にBIGISSUEで販売体験をホームレスの方とさせていただきました。もう十数年も前のことですが大阪梅田の風の強い歩道橋の上で1日一緒に雑誌を販売するという体験です。

雑誌の中身が面白い、声出せば売れる!って思ってました。

確かに天候は悪かったです。実際売ってみましたが何時間かけても数冊しか売れない。全然売れない。なかなか辛い体験でした。

今だったら事業を立ち上げてたくさん苦悩があったからわかるんです。

「この料理美味しいですよ〜!!!」

そこに美味しい料理があるだけでは売れないんです。
実現したい社会を叫んで、コンセプトを叫んでいるだけではダメなんです。
オープン当初、お客さんがゼロのこともたくさんありました。
なんで??
そもそもSALAのこと、誰も知らないとこからのスタートだから。
じゃぁ、知ってもらうためにどんな努力をする?興味を持ってもらうためには??

そこを突き詰めた時に、積み重ねて初めてお客さんが増え始めました。


大学生の私は一緒に販売するホームレスのおっちゃんに「なんで売れないんでしょう・・・」ソワソワして。気にしてばかりの私の言葉をふむふむ優しく聞きながらも、おっちゃんは淡々とどっしりと販売し続けていました。
売れない間にも常連さんに支えられていること、今までの人生のこと、BIGISSUEの仕事のこと、たくさん話を聞くことができました。

声を上げて路上で販売する、当時の私にはとても恥ずかしかった。声を上げるしか「ここで雑誌を売っています!」と伝える方法がわからなかったんです。

下から上までたくさんの冷たい視線にさらされながら、声をかけても無視され続けることはしんどかったです。世の中なんてみんな冷たいんだろう。私だったら・・・そればかり考えました。でもそもそもこの雑誌の中身を知らない方にとっては当たり前の反応だったのかもしれません。

そんな中でもおっちゃんが築いてきた信頼関係で培った常連さんが購入してくださり、温かい声をかけてくださる方もいらっしゃいました。BIGISSUEが培ってきたブランド力もあります。きっとそこに行き着くまでにはたくさんの工夫や努力があった。

数冊、ということはこの日のおっちゃんの収入は約1000円ちょっと。1日かけた販売が終わる頃には1000円ちょっとの売り上げの中から私に缶コーヒーをおっちゃんはおごってくれました。

1日で厳しい現実を肌で感じましたが、あたたかい人の「優しさ」に触れました。
この瞬間があるから人は頑張れる、希望を持てる、立ち上がれる、勇気を持てる。
だから私もそんな人になりたいと感じたし、そんな場所を大切にしたい。今があるのもこれが一つのきっかけです。
努力は誰かが必ず見てくれていて応援してくれる。

それが私が大学1年生の時の経験です。

2月からSALAにインターンシップに来ている2人も母校の社会起業学科の学生です。なのでもちろんBIGISSUEさんのことは知っています。
でも!!驚いたことに、SALAでアルバイトしてくれている大学生4人はBIGISSUEのことを全く知らないと言います・・・意識しながらいろんな方に聞いてみるのですがほとんどの方が知らないという事実に驚きました。知ってる人は知っている、でももっと広く知ってもらいたい。そのために私たちに何ができる?
まずはSALAのことを知っていてBIGISSUEのことを知らない方に訴えよう。

SALAのSNSで発信し、事前予約で購買してくださる方を募りました。そしてチャルメラ屋体で配達するという企画です。

インターンの2人が少しでも自分が1年生の時に感じた経験ができればという願いも込めて。

SALAが先にBIGISSUEを一括購入することでホームレスの方の収入にもなり、インタビュー記事を掲載いただいているのでSALAのコンセプトをより広く伝えるきっかけにもなる。一方的ではなく互いにとってHAPPYな企画です。

初めは路上販売員さんと一緒に販売をさせてもらおう、と思ったのですが感染対策の観点で現状はできないということ、それならばSALAで50冊販売員さんから購入(JR元町駅前・三宮ポートライナー前)、チャルメラ屋体で販売するのはどうか?(予約制で運ぶ)と考え実行しました。

神戸だけでなくとも購入可能です。下記が全国の販売場所です。


私たちはJR元町駅・三宮ポートライナー連絡改札前で購入しました。


突然の提案にも関わらずあたたかく承諾してくださり協力いただいたBIGISSUEさんに心より感謝申し上げます。

まぁ、しかし、想像していた通りですが全然売れない!!!

いろんなことを考えてみましたが・・・ことごとく売れない!!!

寒い!かぜが強い!めっちゃ疲れました、が、インターン生と同様、やってみることで本当に学びが多かったですし初心を思い出しました。
もちろん、SALAの常連様がたくさん応援してくださり数十冊は販売することができました。
嬉しくて励みになりました。素直に嬉しかったです。
押し売りしたみなさん、私たちのわがまま、ありがとうございました。


学生スタッフと今回の企画を考えている時

それでも、
SALAのことを知らなくてBIGISSUEのことを知っている方
BIGISSUEもSALAのことも知らない方

十数名のたった2人なんです。この方々に販売することができたということが奇跡に近く、貴重な経験でした。
この方々に訴えかけること、リーチすることの難しさと
知っていただいてファンになっていただくことの重要さ。それの繰り返しがビジネスやコンセプトの大きな支えになります。
それを今日、インターンの2人と体感できたことが宝物です。

「販売する」の観点からの広告的な勉強も盛り沢山でしたが

SNSを見て駆けつけてくださった方、道すがら声がけしてくださった方、いつものやおやさん、いつもの常連さん、PAPAさんのお友達、BIGISSUEのファンの皆さん

購入で応援いただいたみな様、ありがとうございました!
優しい気持ちに救われました。

引き続きSALAでは残り部数のBIGISSUE販売いたしますのでぜひお気軽にお声がけください。

そして、今回のBIGISSUEの表紙であるオードリー・タンさんのインタビュー、めちゃくちゃ感動しました。

特に台湾の駅で、文化がら床に座り込む出稼ぎの外国人が増えた時に、景観を崩す!という意見に対して、それを解決した方法。私は床に座り込む人に、座り心地がとてもいい椅子を提供することだと思いました。でも、それを解決する方法はもっと自然で穏やかな方法。少しの優しさで根本を解決する方法。こんな風景や社会が求める世界だ。


ぜひ、2月15日号のBIGISSUEを読んでみてください!

最後まで読んでくださりありがとうございます。サポートは全てSALAの事業発展、スタッフのサポートの為に使用させていただきます。ぜひ、応援よろしくお願い致します!