僕がヤフーを辞めて、今あえてクックパッドに行く理由
先日の退職エントリーから気づけば2ヶ月。長い有休消化も終わり、また会社勤めを開始します。
僕がヤフー株式会社の次に選んだ会社は、クックパッド株式会社です。
近しい方にお話しした時には「なんで今さら?」「もっと他に会社あるでしょ」「それならヤフーの方がいいんじゃない?」と言うような反応がほとんど。まあ色々とあまり良くない意味で話題になった会社だと。
実は僕自身も転職を考えたときに、クックパッドという会社には全く興味を持っていませんでした。クックパッドと言えば20周年を迎えた老舗サービス。そのサービスに対して今さら僕ができることはあるだろうか、という気持ちが強かったのです。
何よりそういった歴史あるサービスのグロースはヤフーでの経験として持っていました。僕の今回の転職の目的は「自身の市場価値の向上」が根底にありましたので、せっかくなら「ヤフーで経験できないこと」にこだわりたいという思いがありました。
なので、今回お話をしてオファーを頂いた他の会社は規模の小さな会社・チームの会社です。
そこでなぜあえて「今あえて」クックパッドなのかいうと、むしろ「今だからこそ」クックパッドだと思ったからです。
デザインしなければならないものが、今たくさんあるから
毎日の料理を楽しみにする
これがクックパッドという会社のミッションです。ここに今本当にフォーカスをしています。
僕がCEOの岩田に初めて会った時に「宇野さん、クックパッドって何の会社だと思います?」と質問されました。「レシピサイトの会社ですよね、日本一の」と答えたんですが、「それじゃダメなんだよね、うちは料理の会社になるんです。」って言われて、すごく色々としっくり来ました。
料理ってレシピだけじゃないよなー。今日の料理を何にするか決めたり、調理器具選んだり、食器選んだり、買い物に行ったり、料理をするための体験はあらゆる領域に広がってる。家で料理を作るまでに料理体験は始まってる。カスタマージャーニーマップどれだけ書けばいいんだか。
いつも自サービスの範囲だけで体験を語るなという話をしていたのに、他サービスに関して視野が狭くなってることを痛感しました。
今のクックパッドは「料理」という領域に会社の事業を絞ったことで、逆にやるべきことが明確になり、やるべき挑戦がはっきりとしています。日々あらたな向き合うべき課題が発見されていて、どんどん新しいものを生み出そうと準備していました。
新たなものをたくさん作れる環境と、そのために今のクックパッドというサービスさえも今一度見直してみなければいけないという大きな転換点にあったのです。それを聞いて「僕ができることめっちゃあるじゃん!」と俄然燃えてきました。
まさにこれが「今だからこそ」クックパッドという理由です。
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デザインに意思を注ぎ込みやすいミッションがあるから
繰り返しになりますがクックパッドのミッションは「毎日の料理を楽しみにする」です。
これを全員が向き合い、当然経営陣も本気で考えています。そうなると迷った時は「このサービスは毎日の料理を楽しみにしてるか?」というのがとても大事な判断軸となります。これはデザイナーとしてデザインを決める上でもとてもわかりやすいです。
デザインって表層的な部分のものですが、実際はその裏に沢山の目的や要件、それによって世界がどうなるかなど、たくさんの意思と思いが込められています。
前にもnoteで書いているのですが、僕がデザインをする上で一番大切にしているのはサービスの意思であり「道に迷ったらゴールを見る」ためのゴール設定です。
デザインに迷ったなら、体験設計に迷ったなら、「このデザインって毎日の料理を楽しみにできてる?」と振り返ればいいんです。
便利なだけじゃダメで、楽しみにしなくてはならない。非常に難しい課題ですが、とてもわかりやすい判断軸です。明確な指針があればそこに対しての解決策を提案していくのはデザイナーの腕の見せ所。
いくらでもデザイナーが活躍できますし、この場で新たな挑戦をすることで僕の市場価値を高めていけると考えたのです。
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海外への進出を本気でしていたから
実はクックパッドって海外に向けて大きく進出してる会社なんですね。現在は71ヵ国26言語に展開し、海外だけで月間4,000万人が利用しているとのこと。
以前ジンガジャパンという外資系の日本ブランチにいたことはありますが、それはあくまで日本向けの事業。海外向けに事業をやってる会社って初めてです。
当然まだまだこれからの領域であるのと、こと「食」というと宗教や文化レベルまで染み込んでいるものですので難しいことも多々あるようです。しかしこういったチャレンジに参加することができるのは、僕の将来にとっても非常に有意義なキャリアパスとなるでしょう。
海外のプロダクトを日本では直接は手がけていませんが、やりたければ海外へ飛ぶこともできますし、デザインの部分でいうとブランディングは日本を主として手がけています。そのためグローバルの部分との接点は今後ますます増えるのだそう。やりがい感じます。
ん?英語??うーん、、、高校受験で勉強したのが最後です。英検すら持ってません。頑張ります。。(´;ω;`)
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では、僕が何をやるのか
CEO室所属 デザイナー統括マネージャーというのが僕の今の肩書です。しかしこの肩書は、僕の実現しなければいけないミッションをほんの一部しか表していません。
そもそもクックパッドには優秀なデザイナーが揃っていると以前から思っていました。そういった意味で憧れの会社でした。入社した今もその認識は変わりません。ただ、その一方で最近のクックパッドはあまりデザインの会社という印象が僕には無かったのです。
既に退任をされている池田さんが作られていた「ユーザーファースト推進部」へのあこがれも残っているのは確かです。
そこで僕はクックパッドを「デザインの強い組織にしましょう」という話をCEOの岩田として入社を決めました。
デザイナーが強い組織 ≠ デザインが強い組織
僕の考える「デザインの強い組織」は「デザイナーが強い組織」とイコールではありません。むしろ非デザイン職の人が積極的にデザインに興味を持ち関与し、一緒にデザインを作り上げていくことができる組織です。
広義の意味でのデザインはそもそも何かを作り上げる行為なので全員がやるべきことですが、狭義の意味でのいわゆるデザインもまたデザイナーだけのものでは無いと考えています。
技術職や企画職はもちろん、カスタマーサクセスや営業、マーケティング、広報、法務など、あらゆる職種のメンバーとデザインを一緒に考えていきたいという強い思いが僕にはあります。
以前も書いたように僕のスペシャリティはUIデザインです。UIはユーザーとサービスが一番はじめに持つ接点であり、そこでサービスの印象は大きく変わります。そこがとても楽しくて今もデザイナーををしています。
しかし、あくまで接点がデザインなだけで、その裏には開発要件やビジネス要件、売り上げや会社イメージ、ユーザー対応、編集方針など、あらゆる人が関わってきた最終的なアウトプットでもあるんです。僕らの作るデザインは美しさはもちろんですが、そこには機能性や事業性、会社の意思全てが乗ってなければいけない。
UIデザインはそれら全ての要件を盛り込んだ上で作られているので、そもそもデザイナーだけで作り上げるものでは無いんですね。UIデザインってそう考えると「みんなで作ってる元気玉みたいなもの」です。それをみんなが意識して、デザインの意識をより強く持っていける組織にするのが僕に課せられたミッションです。
入社時にデザイナー向けの自己紹介をしたときにも話したのですが、僕はあらゆるものを掛け算して作ってくこの元気玉が得意技です。一人で頑張る界王拳も時として必要ですが、あれは体に悪い。
※ 元気玉:漫画ドラゴンボールに出てくる必殺技。周りの人達の元気をちょっとずつもらって繰り出す。元気が集まれば集まるほど強くなる。一人では出せない。
※界王拳:同じくドラゴンボールに出てくる必殺技。一時的に限界以上の力を引き出す。体の負担が大きくリスクが高い。
しかし周りを巻き込むには、当然そもそものデザインのアウトプットをより洗練し新たなデザインの可能性を示す必要があります。
幸い前職のヤフーで僕がいた検索やニュースといった部署では、デザインを軽視せずきちんと体験ベースから作り上げていこうという人たちが多くいました。おかげでエンジニアやマネージャーに多くのツッコミや「それだせえ」という率直な意見ももらえましたし、ビジネスサイドでも体験向上のために他社との契約を巻き直すといった提案が可能でした。
こういった良き文化と体験を取り入れることでクックパッドのデザインはもっと強くなれる。組織全体を巻き込んだデザインを作り上げる世界が、今クックパッドには求められていると強く感じたのです。
・いろいろな人とたくさんデザインの話をする
・経営陣にひたすらデザインをインプットする
・あちこちに顔を出してうるさいデザインおじさんになる
・プロダクトに合わせたそれぞれのミッションを作り上げる
・ミッションに沿ったデザインを再定義する
・そのデザインを成すための組織構造を作る
・そのデザインを自らたくさん発信していく
とりあえず僕がこれからやることはこんな感じ。特に最後大事。マネージャーってどうしてもマネジメントの割合が大きくなりがちですが、あくまで僕はデザイナーですしデザインの方針はデザインで示してなんぼ。
どうしても歴史あるサービスはどこかでデザインの流れにおいていかれがち。クックパッドもそんな印象があります。こればっかりはきちんとデザインでその方向性を示していくしかありません。
ヤフー時代は言ってもそれまで作ってきた貯金や肩書でなんとかしてしまいましたが、新たな挑戦の場ではそうは行きません。頭でっかちのデザイナーなんてつまらない。
よりデザインを楽しみ、より料理を楽しみ、クックパッドという会社のデザインの成長に寄与していきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします!
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最後に
お声がけや実際にオファーをくださった会社さま、本当にありがとうございました。本当にどれもお世辞に抜きで非常に良いお話で嬉しかったです。今回はこのような決断をしましたが、決してクックパッドに劣っていた点があったとは思っていません。
ぜひ引き続きお付き合いをいただけますと幸いです。
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おまけ
そんな話をさっそく外向けに僕が話すらしいです。申し込みはもう締め切っちゃってるのですが。。
申込期限過ぎてから僕の名前は追加されました。すみません(;´Д`)
タイトルでだいぶ期待値あげちゃってますが内容はこれから考えます。
「行けないけど興味ある!」って方はぜひTwitterやら直接でもお声がけください。飲みに行きましょう🍺「セミナー登壇してよー」という酔狂な方がいらっしゃいましたら、そちらもご遠慮無く。
また最近はデザインの顧問やアドバイザーのような形で、関わらせていただく会社も出てきていますのでもしご興味あればどうぞ。
おまけのおまけ
最後の最後に書くことでもないんですが、そもそも僕料理は好きなんですね。なので元からクックパッドのプレミアムサービスユーザー。
年末にPayPayの100億円キャンペーンにのってヘルシオホットクックを買いました。勝間和代さんが絶賛してるやつです。
無水調理もできるし低温調理もできる。控えめに言って最高です。ちと値ははるのですがオススメ。時短料理には向かないけど完全放置ができるのでその時間に別のことができる。
今の所サーモンのコンフィがスマッシュヒット。
おまけのおまけのおまけ
一応こういうのの定番だと言われたのでウィッシュリスト貼っておきます。転職を祝ってやってもいいぞという方、ポチっとな。
本当にこれプレゼントしてくれる稀有な人いるんかいな。。
一応クックパッドの人なので料理関係も多めです。
駄文を最後まで読んでくれた方に感謝。