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虎に翼90話(一美)

航一「ごめんなさい…
僕に言えるのは  それだけです」

太郎「我々は無力
どう あがいたって戦争を
止められた訳じゃない」

航一「こんな話をするつもりじゃなかったのに…」

寅子「昔…私の兄が  よく言ってました『思っていることは  口に出した方がいい』」
寅子「だからと言って
無理に話せ  という訳ではないですけど…」

航一   ふぅ〜
「……僕  総力戦研究所に居たんです」

次郎「申し訳ない  勉強不足で…」
航一「知らなくて当然です『そこでの事を 口外するな』と禁じられていましたから
研究所の目的は
大戦に向けて
軍も 国民も 指揮監督する
人材を育成すること。
僕ら研究生は模擬内閣
発足させ、
日米戦争を想定した総力戦の机上演習を行った。
机上演習の結果は
日本が敗戦する。
その理由は
資源の自給率低さなど
さまざま」

*この頃  既に
自給率は低かったんだ…
        一美

航一「何度  演習を重ねても
その結果が覆ることは無かった
僕らは机上演習の結果を
当時、国の中枢を握ってた人達の前で 報告。
万に 一つも勝利は無し。
日米開戦は避けるべき と。
でも…
彼らは言った
『これは机上演習であって
実際の戦争とは全く異なる
この演習の結果は
政府の方針とは  何らの関わりも無い』
僕らは口外を禁じられて解散。
その後  戦争は 机上演習を
なぞるように進み
日本は敗戦した
さすがに
原爆投下は予想できませんでした」

*閣僚は
自分達の"勝ちたい欲求"
"我らが正しいを通したい
欲求" が 手放せないのよね
もっと
国民全体が視野に入っていたら…
                                一美

寅子「それで…
『ごめんなさい』なんですか?
戦争を阻止できなかった
責任を感じて…」

航一「もちろん  僕 一人が
何ができるかなんて…
タカ知れてる
だけど…
大事な人を失った人間が
大勢 居る
妻も…
死んでいった。
その責任が微塵も無いなんて 僕には言えない」

*ここから なんですよ
         一美
航一「その罪を…
僕は  誰からも裁かれること無く 生きている」

このキツさ
ですね…      一美

航一「僕は  そんな自分と
いう人間を“何も信じていない"
*こういう自分の観方では  
自分が可哀そう

航一「だから…謝る しか
できないんです」

航一「僕自身は信じられ
なくても
法律は信じられるから
でも…
それ以外は  全てに距離を
置いていたのに…」

*ん…   置いていたのに…
寅子が入って来ちゃった
って  ことかな…

太郎「おめさんを 恨めば
ちったぁ楽になるんでしょ
さろも
誰を恨んだとこ で
娘も孫も  帰ってこねぇ
おめさんは  よっぱら苦しんだ
だけ…気に病むことは ねぇ
謝らんだって  いいって」

*人に話してみること、
出すこと の大事さを
感じます   一美

頭を冷やしに  外に出る
航一

後を追う  寅子

寅子航一さんの立場だったら…私も『自分のせいじゃ無い』とは言えない。
『ごめんなさい 』と謝るしか できない。
だからこそ
少し分けてくれませんか
(寅子の声が詰まる)
航一さんの抱えてるもの
私に…。
あなたが抱えているものは
私たち誰しも  に
何かしらの責任があることだから。
だから…寄り添って
一緒に もがきたい
*(打ってて  一美は
 涙…涙…)

航一  声を上げて泣き出す

その背中を さする寅子

     一美:泣…




                         



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