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虎に翼70話(一美)


「ちょっと失礼するよ」
家裁事務所を訪れた  穂高

寅子「えっ…  げっ元気ですか
穂高先生」

多岐川(……そのゴマかし方は無理がある)

*「元気ですか…」って
昨日の今日    昨日 怒声を浴びせたばかりじゃないの…     一美

寅子穂高先生   昨日のことですが…」
間髪入れず
「済まなかったね  佐田君 」と 穂高

穂高「私は古い人間
理想を口にしながら
現実では
既存の考えから抜け出すことは  できなかった。
だが…
君は違う
君は既存の考えから飛び出して  人々を救うことが
できる人間だ
心から誇りに思う」

寅子「私は 先生が古い人間とは思いません。
尊属殺の最高裁判決も、
先生の反対意見も読みました。昨日のことは撤回はしませんが、先生の教え子であることは  心から誇りに思っています」

穂高「ありがとう
あとは、君たち若い者に
託したよ。
よかった
最後に笑って
すっきりした顔で
お別れできそうで」

穂高佐田君   気を抜くな
君も いつかは古くなる
常に  自分疑い続け
時代の先を歩み
立派な"出涸らし"になってくれたまえ」

…………………

【その気持ちを優先する】


数日後

栄二と話をする 寅子

何も話さない栄二に…

寅子栄二君が 今 抱える苦しみは  本来 背負わなくていいこと じゃない?
私は本音では…ね
別に両親に こだわる必要は無い  と思ってるの
もっと本音をいえば
ご両親に  あなたを委せたくない
あなたは  犯した罪と向き合わなければならない。
それと同時に
あなたが生きて 大人になるまで  見護り 育てることは
私たち大人全員責任なの

『親に愛されたい』と思うのは  自然なことよ
その場合、どちらと暮らしたいか  正直に教えて」

栄二「………
どっちとも暮らしたくなかったら…?」

寅子「あなたに優しかった大人…   誰が浮かぶ?」

栄二「………勝枝さん
父さんの姉さん」

寅子勝枝さんに  連絡をとってみましょうか?
あなたの味方になってくれるかもしれない」

栄二「    味方…⁉︎」

寅子栄二君が 頼る大人は
親である必要は無いの
私は  あなたがこれ以上
苦しい思いをしないで済む道を あなたと探したいの」

その後  家事部と少年部が
協力して 勝枝さんを探した。
事情を話すと
彼女は 栄二の監護者になることを快諾。
それを条件に 父親が親権を持つことに。

栄二「ありがと…」

寅子「元気でね」

…………………

穂高先生
  眠ったまま…
      穏やかに 亡くなる

        一美






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