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読書メモ2 ほどほどの資本主義は可能か?

第2章 小川さやかさんの、

「手放すことで自己を打ち立てる」  
ータンザニアのインフォーマル経済における所有・贈与・人格

は、こころ をほっと落ち着かせてくれる。
決して 豊かでも無く、好ましい政治・社会環境でもなく、当事者が充分満足している訳でもない のかも知れない。けれどそこには、人間の温もりがある。

本文から引用すると、
「かくいう私(小川さん)も20年にわたる調査で、さまざまな人びとに支援を要請されてきた。足踏みミシンをプレゼントした調査助手の妻ハディジャは、調査にいくたびに、プリント布でワンピースを仕立てて帰国の時の土産に持たせてくれる。『もう十分もらった』と断ろうとしても、『私の楽しみなの』と言って聞かない。・・・
20年後の今では、いつでも卸価格で売ってくれる古着商人も、無料で乗せてくれるタクシー運転手も、私がスリに逢うたびに取返しに奔走してくれる強盗の親分もいる。それは所有せずに、さまざまなモノや能力へのアクセスが増えている状態とも言える。」

豊かさを分け与えてくれる まれびとへの「心尽くし」だけとは言えない、こころのつながり が有る。

第1章 岸政彦さんの、

「所有と規範」
ー戦後沖縄の社会変動と所有権の再編

は こころ を締め付ける。
戦争による規範と制度の破壊に抗して自生する「秩序」 の歪み。

どちらも、一面からの見方 でもあるが、「こころ」と「制度」の調和 の模索とも思える。

共同体の紐帯と、それを「開放」=切り離す 貨幣の力。
ほどほどの調和点、はあるのだろうか?

渋沢栄一が、「合本主義」によって、次々と事業を立ち上げていった様は、規模の違いはあっても タンザニアのインフォーマル事業者の様と、どこか 重なるように、感じられる。

ほどほどの資本主義 は可能だろうか?     光

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