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虎に翼67話(一美)

自分にしか出来ないこと

「法改正された箇所を改稿すれば
さらに  長きに渡り 愛される著書に間違い無いと…」と寅子

航一
「なるほど」

*↑  やりにくい…

寅子「どうでしょうか?」

寅子
改稿した箇所を見てもらう

『むしろ  民法は 現実の家庭生活を目標にして、その中で人々が 互いに尊重し合いながら 協力していくような民主的な家庭をつくり出そうと…』
航一「いいですね   ここ」

3日め にして
この場に 初めて
長官 現る

航一「これ 佐田さんと僕が書いた原稿
帰って読んでおいて」

長官「はい はい
佐田さん 楽しみに読ませていただくよ」

寅子航一が  お互いの原稿を読み合い  調整したものを
長官がさらに書き直す。

仕事抜きで  法律と向き合える この時間が
寅子は  楽しくて 楽しくてたまらない
…………………

【なんだか  
   とても寂しくて…】


竹もとで…

航一「序文は父が自分で書きたいと…  」

寅子「今日で お手伝いも終わりでしょ
なんだか…とても寂しくて…」

そう言った後で
航一の様子を見て

寅子「あらっ  航一さんも?」

*始まりました
ちゃんの 思わせぶりな
言葉の発し方…

"なんだか…とても寂しくて…"に

*航一さんの表情が…

だけど寅ちゃんは
今日で お手伝いも終わることが 寂しいのよね  一美



航一「最後の確認をしていきましょう」

寅子「ええ  そうですね」

寅子「ん…? え、 これは…」

航一「表紙の装丁です」

寅子「えっ  では なくて…
なぜ ここに 私の名前が…」

航一佐田さんも この本
書かれているでしょう」

寅子「いぇ 私はただ…
お手伝いを頼まれただけで…」

航一「お手伝いの度は
とうに超えてますよ


もの想う 寅子の 様子に…
航一佐田さん…?」

寅子「あ、ごめんなさい
夫が言ってたんです
『法律の本  出したかった
僕が法律を学ぶ楽しさを知ったように  誰かに伝えられたらなぁ』って…
いつか法律の本を出すのがだって…
"代わりに夢を叶えた" ってことにしちゃおうかしら」

航一「なるほど」

寅子「あ  出た!なるほど」

*『なるほど』が
感じ悪く なくなってる寅子

航一「そんなふうに喜んでもらえるならば  父さんも
"出涸らし冥利“に尽きます」

寅子「え、出涸らし?」
…………………
長官   穂高教授に
最高裁判事就任を 要請する

長官「もう自分は人生を頑張り尽くした。
時代も変わった
役目を終えた
言わば 出涸らし
だけどね
出涸らし だからこそ
できる役目
若い奴らに残せる事があるんじゃないかい」

航一「今は この本も父なりの  出涸らしの役目なのかな」

*実際の 穂積重遠は
東宮大夫を続けたかったのだが…
それなりの花道を用意された(ある意味左遷だが)カタチで 最高裁判事に。            
      一美

寅子「…でも  その時の自分にしかできない役目みたいなものは 確かにあるかもしれないわね」

長官「待たせて済まないね  ホヤホヤの序文  聞いてくれるかい」

*序文のうち  一美の心に響いた箇所を書き出してみますね

「人がつくったものです
古くなるでしょう
間違いも あるでしょう
私は  この民法が早く国民に馴染み  新しいものに変わっていくことを望みます。
民法は世間万人 知らねばならぬ法律。
決して法律家に のみ 託しておいて差し支え無い  法律ではありません

*もの凄く愛を感じて…涙涙

この本が
諸君の  民法に対する注意と
興味
等を喚起する縁となることを得たなら…………続」

*希いが込められてますよね       
       一美

出版前に

長官    逝去
          一美









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